竹取翁と万葉集のお勉強

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古今和歌集 原文推定 巻二十

2020年04月19日 | 古今和歌集 原文推定 藤原定家伊達本
者多末幾仁安多留未幾
はたまきにあたるまき
巻二十

於保宇多止己呂乃於保武宇多
大哥所御哥
大哥所御哥

於保奈本比乃宇多
おほなほひのうた
大直日哥

歌番号一〇六九
原文 安多良之幾止之乃始尓加久之己曽知止世遠可祢天多乃之幾遠川女
定家 あたらしき年の始にかくしこそちとせをかねてたのしきをつめ
解釈 新しき年の始めにかくしこそ千歳をかねてたのしきを積め

日本紀尓八川可部万川良女与呂川与万天二
日本紀にはつかへまつらめよろつよまてに

歌番号一〇七〇
布留幾也万止末比乃宇多
ふるきやまとまひのうた
古大和舞哥

原文 志毛止由不加川良幾夜万尓布留由幾乃万奈久止幾奈久於毛本由留可奈
定家 しもとゆふかつらき山にふる雪のまなく時なくおもほゆる哉
解釈 しもとゆふ葛城山に降る雪の間なく時なく思ほゆるかな

歌番号一〇七一
安不美布利
あふみふり
近江振

原文 安不美与利安左多知久礼八宇祢乃々尓多川曽奈久奈留安計奴己乃与八
定家 近江よりあさたちくれはうねのゝにたつそなくなるあけぬこのよは
解釈 近江より朝立ち来ればうねの野に田鶴ぞ鳴くなる明けぬこの世は

歌番号一〇七二
美川久幾布利
みつくきふり
水茎振

原文 美川久幾乃遠可乃也可多尓以毛止安礼止祢天乃安左个乃之毛乃布利者毛
定家 水くきのをかのやかたにいもとあれとねてのあさけのしものふりはも
解釈 水茎の岡の屋形に妹と我れと寝ての朝けの霜の降りはも

歌番号一〇七三
志者川夜万布利
しはつ山ふり
四極山振

原文 之者川夜万宇知以天々美礼八加左由日乃志万己幾加久留多奈々之遠不祢
定家 しはつ山うちいてゝ見れはかさゆひのしまこきかくるたなゝしをふね
解釈 しはつ山うち出でて見れば笠ゆひの島漕ぎ隠る棚無し小舟

加美安曽比乃宇多
神あそひのうた
神遊哥

歌番号一〇七四
止利毛乃々宇多
とりものゝうた
採物哥

原文 加美可幾乃美武呂乃夜万乃左可幾者々加美乃見末部尓之个利安日尓遣利
定家 神かきのみむろの山のさかきはゝ神のみまへにしけりあひにけり
解釈 神垣の三室の山の榊葉は神の御前に繁りあひにけり

歌番号一〇七五
原文 志毛也多日遠个止加礼世奴左可幾者乃多知左可由部幾加美乃幾祢可毛
定家 しもやたひをけとかれせぬさかきはのたちさかゆへき神のきねかも
解釈 霜八度置けど枯れせぬ榊葉の立ち栄ゆべき神のきねかも

歌番号一〇七六
原文 満幾毛久乃安奈之乃夜万乃夜万比止々比止毛美留可尓夜万可川良世与
定家 まきもくのあなしの山の山人と人も見るかに山かつらせよ
解釈 巻向の穴師の山の山人と人も見るがに山かづらせよ

歌番号一〇七七
原文 美夜万尓者安良礼布留良之止也万奈留末左幾乃可川良以呂川幾尓个利
定家 み山にはあられふるらしとやまなるまさきのかつらいろつきにけり
解釈 深山には霰降るらし外山なるまさきの葛色づきにけり

歌番号一〇七八
原文 見知乃久乃安多知乃万由美和可比可者寸恵左部与利己志乃日/\尓
定家 みちのくのあたちのまゆみわかひかはすゑさへよりこしのひ/\に
解釈 陸奥の安達のまゆみ我が引かば末さへ寄り来しのびしのびに

歌番号一〇七九
原文 和可己止乃以多為乃之美川左止々遠美比止之久万祢八美久左於日尓个利
定家 わかゝとのいたゐのし水さとゝをみ人しくまねはみくさおひにけり
解釈 我が門の板井の清水里遠み人し汲まねば水久左生ひにけり

歌番号一〇八〇
飛累女乃宇多
ひるめのうた
日女哥

原文 佐々乃久万飛乃久満可者尓己万止女天志波之美川可部加計遠多尓美武
定家 さゝのくまひのくま河にこまとめてしはし水かへかけをたに見む
解釈 笹の隈桧の隈川に駒止めてしばし水飼へ影をだに見む

歌番号一〇八一
加部之毛乃々宇多
かへしものゝうた
返物哥

原文 安遠也幾遠加多以止尓与利天宇久比寸乃奴不部不可佐八武女乃者那可左
定家 あをやきをかたいとによりて鴬のぬふてふ笠は梅の花かさ
解釈 青柳を片糸によりて鴬の縫ふてふ笠は梅の花笠

歌番号一〇八二
原文 満可祢布久幾比乃奈可夜万於比尓世留本曽多尓加者乃遠止乃左也个左
定家 まかねふくきひの中山おひにせるほそたに河のをとのさやけさ
解釈 まがねふく吉備の中山帯にせる細谷川の音のさやけさ

己乃宇多八承和乃美部乃幾日乃久尓乃宇多
この哥は承和の御へのきひのくにの哥
この哥は承和の御辺の吉備の国の哥

歌番号一〇八三
原文 三未左可也久女乃左良夜万佐良/\尓和可奈八多天之与呂川与万天二
定家 美作やくめのさら山さら/\にわかなはたてしよろつよまてに
解釈 美作や久米の佐良山さらさらに我が名は立てじよろづ世までに

己礼八美川乃於乃美部乃三万佐可乃久尓乃宇多
これはみつのおの御へのみまさかのくにのうた
これは水の尾の御辺の美作の国の哥

歌番号一〇八四
原文 美乃々久尓世幾乃布知加者堂衣寸之天幾三尓川可部武与呂川与万天尓
定家 みのゝくに関のふち河たえすして君につかへむよろつよまてに
解釈 美濃の国関の淵河絶えずして君に仕へむよろづ代までに

己礼八元慶乃美部乃美乃々宇多
これは元慶の御へのみのゝうた
これは元慶の御辺の美濃の哥

歌番号一〇八五
原文 幾美可世八加幾利毛安良之奈可者万乃末左己乃可寸八与美川久寸止毛
定家 きみか世は限もあらしなかはまのまさこのかすはよみつくすとも
解釈 君が代は限りもあらじ長浜の真砂の数はよみ尽くすとも

己礼八尓无奈乃美部乃以世乃久尓乃宇多
これは仁和の御へのいせのくにの哥
これは仁和の御辺の伊勢の国の哥

歌番号一〇八六
於本止毛乃久呂奴之
大伴くろぬし
大伴黒主

原文 安不美乃也加々美乃夜万遠多天多礼八加祢天曽美由留幾三可知止世八
定家 近江のやかゝみの山をたてたれはかねてそ見ゆる君かちとせは
解釈 近江のや鏡の山をたてたればかねてぞ見ゆる君が千歳は

己礼八幾武之宇乃美部乃安不三乃宇多
これは今上の御へのあふみのうた
これは今上の御辺の近江の哥


安徒万宇多
東哥
東哥

美知乃久乃宇多
みちのくのうた
陸奥哥

歌番号一〇八七
原文 安不久満尓幾利多知久毛利安計奴止毛幾三遠者也良之末天八寸部奈之
定家 あふくまに霧立くもりあけぬとも君をはやらしまてはすへなし
解釈 阿武隈に霧立ち曇り明けぬとも君をばやらじ待てばすべなし

歌番号一〇八八
原文 美知乃久者以川久八安礼止之本可万乃宇良己久舟乃川奈天可奈之毛
定家 みちのくはいつくはあれとしほかまの浦こく舟のつなてかなしも
解釈 陸奥はいづくはあれど塩釜の浦漕ぐ舟の綱手かなしも

歌番号一〇八九
原文 和可世己遠美也己尓也利天志本可万乃末可幾乃之万乃末川曽己日之幾
定家 わかせこを宮こにやりてしほかまのまかきのしまの松そこひしき
解釈 我が背子を都にやりて塩釜のまがきの島の待つぞ恋しき

歌番号一〇九〇
原文 於久呂左幾美川乃己之満乃比止奈良八美也己乃川止尓以左止以者万之遠
定家 おくろさきみつのこしまの人ならは宮このつとにいさといはましを
解釈 おぐろ崎みつの小島の人ならば都のつとにいざと言はましを

歌番号一〇九一
原文 美左不良比見可左止毛布世美也幾乃々己乃之多川由者安女尓万左礼利
定家 みさふらひみかさと申せ宮木のゝこのしたつゆはあめにまされり
解釈 みさぶらひ御笠とまうせ宮城野の木の下露は雨にまされり

歌番号一〇九二
原文 毛可美加者乃本礼者久多留以奈舟乃以奈尓八安良寸己乃川幾者可利
定家 もかみ河のほれはくたるいな舟のいなにはあらすこの月許
解釈 最上河上れば下る稲舟のいなにはあらずこの月ばかり

歌番号一〇九三
原文 幾三遠々幾天安多之己々呂遠和可毛多八寸恵乃末川夜万奈美毛己衣奈武
定家 君をゝきてあたし心をわかもたはすゑの松山浪もこえなむ
解釈 君を置きてあだし心を我が持たば末の松山浪も越えなむ


左可美宇多
さかみうた
相模哥

歌番号一〇九四
原文 己与呂幾乃以曽多知奈良之以曽奈川武女左之奴良寸奈於幾尓遠礼奈美
定家 こよろきのいそたちならしいそなつむめさしぬらすなおきにをれ浪
解釈 こよろぎの磯たちならし磯菜摘むめざし濡らすな沖にをれ浪


飛多知宇多
ひたちうた
常陸哥

歌番号一〇九五
原文 徒久者祢乃己乃毛加乃毛尓可計八安礼止幾三可美可个尓万寸加遣者奈之
定家 つくはねのこのもかのもに影はあれと君かみかけにますかけはなし
解釈 筑波嶺のこのもかのもに影はあれど君が御影にます影はなし

歌番号一〇九六
原文 川久波祢乃峯乃毛美知八於知川毛利之留毛志良奴毛奈部天加奈之毛
定家 つくはねの峯のもみちはおちつもりしるもしらぬもなへてかなしも
解釈 筑波嶺の峰のもみぢ葉落ち積もり知るも知らぬもなべてかなしも


加飛宇多
かひうた
甲斐哥

歌番号一〇九七
原文 加飛可祢遠左也尓毛美之可遣々礼奈久与己本利布世留佐也乃中夜万
定家 かひかねをさやにも見しかけゝれなくよこほりふせるさやの中山
解釈 甲斐が嶺をさやにも見しかけけれなく横ほり臥せる小夜の中山

歌番号一〇九八
原文 可比加子遠祢己之夜万己之布久可世遠比止尓毛可毛也己止川天也良武
定家 かひかねをねこし山こし吹風を人にもかもや事つてやらむ
解釈 甲斐が嶺をねこじ山越し吹く風を人にもがもや言伝てやらむ


以世宇多
伊勢うた
伊勢哥

歌番号一〇九九
原文 於不乃宇良仁加多衣左之於保比奈留奈之乃奈利毛奈良寸毛祢天可多良波武
定家 おふのうらにかたえさしおほひなるなしのなりもならすもねてかたらはむ
解釈 おふの浦に片枝さしおほひなる梨のなりもならずも寝て語らはむ

布由乃可毛乃末川利乃宇多
冬の賀茂のまつりのうた
冬の賀茂の祭哥

歌番号一一〇〇
布知八良乃止之由幾安曽无
藤原敏行朝臣
藤原敏行朝臣

原文 知者也布累加毛乃也之呂乃飛免己万川与呂徒世不止毛以呂者可波良之
定家 ちはやふるかものやしろのひめこまつよろつ世ふともいろはかはらし
解釈 ちはやぶる賀茂の社の姫小松よろづ世経とも色は変らじ























家々称証本之本乍書入以墨滅哥

巻第十
毛乃奈乃布
物名部
物名部

歌番号一一〇一
飛久良之   川良由幾
ひくらし   つらゆき
蜩  紀貫之

原文 曽万比止者美也幾比久良之安之比幾乃夜万乃夜万比己与日止与武奈利
定家 そま人は宮木ひくらしあしひきの山の山ひこよひとよむなり
解釈 そま人は宮木引くらしあしひきの山の山彦呼びとよむなり

在保止々幾須   可良世三
在郭公   空蝉
在郭公  空蝉

歌番号一一〇二
加知遠武
勝臣
藤原勝臣

原文 加遣利天毛奈尓遠可多万乃幾天毛美武加良八本乃本止奈利尓之毛乃遠
定家 かけりてもなにをかたまのきても見むからはほのほとなりにしものを
解釈 かけりても何をか魂の来ても見む殻は炎となりにしものを

遠可多万乃幾   止毛乃利
をかたまの木   友則
小賀玉木  紀友則

歌番号一一〇三
久礼乃於毛   川良由幾
くれのおも   つらゆき
くれのおも  紀貫之

原文 己之止幾止己日川々遠礼八由不久礼乃於毛可个尓乃三美衣和多留可奈
定家 こし時とこひつゝをれはゆふくれのおもかけにのみ見えわたる哉
解釈 来し時と恋ひつつをれば夕暮れの面影にのみ見えわたるがな

志乃日久左 止之左多  遠幾乃為 三也己之満
忍草 利貞  をきの井 みやこしま

歌番号一一〇四
遠乃々己万知
をのゝこまち
小野小町

原文 越幾乃井天三遠也久与利毛加奈之幾者美也己之満部乃和可礼奈利个利
定家 をきのゐて身をやくよりもかなしきは宮こしまへのわかれなりけり
解釈 をきのゐて身を焼くよりもかなしきはみやこ島への別れなりけり

加良己止   幾与由幾
からこと   清行
からこと  安倍清行

歌番号一一〇五
曽女止乃安者多   安也毛知
そめとのあはた   あやもち

原文 宇幾女遠八与曽女止乃美曽乃可礼由久久毛乃安者多川夜万乃不毛止尓
定家 うきめをはよそめとのみそのかれゆく雲のあはたつ山のふもとに
解釈 憂きめをばよそ目とのみぞ逃れ行く雲のあはたつ山の麓に

己乃宇多美川乃遠乃美可止乃曽女止乃与利安者多部宇川利多万宇个留止幾尓与女留
このうた水の尾のみかとのそめとのよりあはたへうつりたまうける時によめる

可川良美也
桂宮



巻第十一
とをまりひとまき

歌番号一一〇六
於久寸可乃祢之乃幾布留由幾乃
奥菅の根しのきふる雪

原文 个不比止遠己不留己々呂者多保為加者奈可留々美川尓於止良佐利个利
定家 けふ人をこふる心は大井河なかるゝ水におとらさりけり
解釈 今日人を恋ふる心は大井川流るる水に劣らざりけり

歌番号一一〇七
原文 和幾毛己尓安不左可夜万乃之乃寸々幾本尓八伊天寸毛己比和多留可那
定家 わきもこにあふさか山のしのすゝきほにはいてすもこひわたるかな
解釈 我妹子に逢坂山のしのすすき穂には出でずも恋ひわたるかな


巻第十三
とをまりみまきにあたるまき

歌番号一一〇八
己比之久八之多尓遠於毛部武良佐幾乃
こひしくはしたにを思へ紫の

原文 以奴可美乃止己乃夜万奈留奈止利加者以左止己多部与和可奈毛良寸奈
定家 いぬかみのとこの山なるなとり河いさとこたへよわかなもらすな
解釈 犬上のとこの山なる名取川いさと答へよ我が名漏らすな

己乃宇多安留比止安女乃美可止乃安不三乃宇祢女尓多万部留止
この哥ある人あめのみかとのあふみのうねめにたまへると

歌番号一一〇九
可部之    宇祢女乃多天万川礼留
返し    うねめのたてまつれる

原文 夜万之奈乃遠止八乃多幾乃遠止尓乃美比止乃之留部久和可己日女也毛
定家 山しなのをとはのたきのをとにのみ人のしるへくわかこひめやも
解釈 山科の音羽の滝の音にだに人の知るべく我が恋ひめやも


巻第十四
とをまりよまきにあたるまき

歌番号一一一〇
於毛不天不己止乃者乃三也安幾遠部天下曽止本利比女乃比止利為天
思ふてふことのはのみや秋をへて下そとほりひめのひとりゐて

美可止遠己比多天万川利天
みかとをこひたてまつりて

原文 和可世己可久部幾与為也佐々可尓乃久毛乃不留万比加祢天之留之毛
定家 わかせこかくへきよゐ也さゝかにのくものふるまひかねてしるしも
解釈 我が背子が来べき宵なりささがにの蜘蛛の振る舞ひかねてしるしも

布可也不己比之止八多可奈川計々武己止奈良武
深養父こひしとはたかなつけゝむことならむ

歌番号一一一一
川良由幾
つらゆき

原文 美知之良八川美尓毛由可武寸三乃衣乃幾之尓於不天不己日和寸礼久左
定家 みちしらはつみにもゆかむすみのえの岸におふてふこひわすれくさ
解釈 道知らば摘みにも行かむ住の江の岸に生ふてふ恋忘れ草
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