麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

台湾の大地を潤した男

2007年06月29日 | 鑑賞
 僕の父は土木建築会社の社長だ。
 社長といっても、吹けば飛ぶような、社員も僕目線でいえば弟やいとこ、父からすれば、子供に甥っ子など半分以上が一族郎党の会社だ。妻の母の妹の旦那さんや、その息子なんてのまで…。
(でも偽装はしていません
 まあ、会社の構成はともかく、高校を出てからずっと土木畑を歩いてきた父の率いる家族が、全員揃って観た最初の映画が『海峡』だったりする。
 ・・・普通、子供向けのアニメとかだろ。

 『海峡』は高倉健主演の、青函トンネルを造り上げる男たちや、その家族のドラマであり、かつ東宝が創立50周年を記念して放った作品(82年)だけに健さん以下、吉永小百合、三浦友和、さらには森繁久弥といった超豪華キャストだったのに、父は、そんな生身の人間の芝居はおかまいなしで、ひたすらスクリーンの中に描かれる土木技術のオンパレードを凝視していたことが、観賞後の銀座アスターでジャミスン茶を飲みながら食事をした際に判明したのだった!

 で、そんな父の血が流れている僕なので「金沢が生んだ不世出の土木技師・八田與一。大正・昭和を生き、世界を驚嘆させた日本人の底力!」と謳われた作品を観て、悲しいかな確かに血が騒いでしまいました

劇団昴『台湾の大地を潤した男』
(作/松田章一 演出/村田元史)
調布市グリーンホール

 台湾南部に当時東洋一と言われた「烏山頭ダム」を建設し、その下流に大小さまざまな給水路を造った八田與一。その給水路の全長は万里の長城より長いという。結果、15万ヘクタールに及ぶ荒地を肥沃な農地に変え、60万の人々に豊かな暮らしを創出したとして、台湾では英雄視されているのだという。
 関東大震災により工事がストップ、またトンネル内で爆発が起き、尊い命を失うなどの苦難の末の大プロジェクト! ちなみに当時、日本は台湾を植民地にしていた・・・。

 この壮大な歴史スペクタクルをたった10人の俳優が、複数の役を担いながら進行する。その裁きはさすが昴だ! 『大地のカケラ』で美術を担当していただいた岡田志乃嬢が美術と衣裳を担当したが、ダムを連想させる重々しい可動パネルと、対照的に台湾の農村の素朴さをイメージさせるドロップを組み合わせた舞台美術の中に、リアルかつ色のバランスのいい衣裳で、多場面の芝居を生き生きとさせていた

 既に、6月12日~26日まで小松、七尾、金沢と地元・石川県内で7ステージを行っての凱旋公演。
 東京は、この1ステのみのため、1300のキャパがいっぱいでした。


 そうそう、台湾総統の名前で八田與一を称える賞状が、ロビーには飾られていました。また、今なお民間レベルの交流が続いているのだといいます。
 まだまだ知られていない偉人は沢山いるということだ

 
コメント
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