Ma Vie Quotidienne

一歳に二度も来ぬ春なればいとなく今日は花をこそ見れ

映画  アンナプルナ南壁 7,400mの男たち

2014-10-14 20:53:08 | Movie


原題 Pura vida - The Ridge
製作 スペイン 2012年


地球上に14座ある8000m越えの峰。

そのうち最初に登頂がなされたのが標高世界第10位のアンナプルナ峰だが、
14座のうちもっとも難易度が高いと言われているのもこの峰だ。

というのも、
世界最高峰のエベレストでさえ、登頂者の死亡率が4%強なのに対し、
アンナプルナは何と40%というから尋常ではない。

この映画は、
登頂が困難を極めキラーマウンテンの異名を持つアンナプルナにおける
救出活動を描いた山岳ドキュメンタリーです。

2008年5月、
危険度が突出して高いこの山の南壁に挑んだ
スペイン人ベテラン登山家のイナキ・オチョア・デ・オルツァが
途中高山病に見舞われ、
同行者がSOSを発信。
インターネットを通じてその報を知った世界10か国12人の登山家は、
危険を顧みずイナキの救出に向けて出発した。

事件から数年後、
スタッフは救出活動をした12人の登山家たちを世界各地に訪ねた。

自らの登山計画を断念してまで救助に参加したスイス人登山家ウーリー・ステック、
カザフスタンの登山家デニス・ウルブコ、
2013年にエベレストで命を落としたロシアの登山家アレクセイ・ボロトフら
救助活動に参加した有名登山家たちの証言を中心に、
貴重な映像を交えながら当時の様子を振りかえる。

(以上、様々な映画評より抜粋)



イナキは残念ながら生きて戻ることはできませんでしたが、
とても美しい人生を送ったのだろうなと思います。

だから多くの人が
彼を何とか生きて下ろすためにベースキャンプに
そして、
イナキがいる7,400mのキャンプ4に向かったのでしょう。

SOSを受けて誰でもすぐ行けるわけではありません。
お金とか時間とかとは別に、
その時点で高度順応しているかどうかが最重要条件。
ベースキャンプで4200m、
そこからイナキのいる7400mまで行かなければならないのです。
しかもキラーマウンテン・アンナプルナ。

これだけの優秀な登山家12人がすぐに集まれる条件を持っていたことに
感動しました。

そして、
彼らのような世界的登山家が語る、
山と向き合い自分と向き合う信念や死生観 に強く共感しました。

『登山とは限界との戦い。
 さまざまな辛さと向き合い、受け入れ、やり過ごし、
 不快をどのように快適に変えるか・・・。
 山は力技で登るのではない。心で登るのだ。』

『登山で興味深いのは、
 自分がどうやって困難を乗り越えるか。
 どうやって厳しい局面で親友と親友のままでいられるか。』

『山ではいろんな国の人が行き交っている。
 でも我々はそれぞれ違う国から来ているというより
 “山”という同じ国の人間なんだ。』

『登山はばかげていると人は言う。
 誰かが山で命を落とすと、その声は大きくなる。
 だが、山に登るのは死ぬためじゃない。
 生きていることを噛みしめるためだ。』

一番最後の言葉は、
特に9月27日の御嶽山の噴火で亡くなられた方のご遺族や、
九死に一生を得た人たち、その周囲の人たちに聴いてほしい言葉です。

「山に登るのは生きていることを噛みしめるため」
字幕のままだとこういう表現なのですが、
原語ではこう語られています。
“We go there to taste the real taste of life.”

もうひとつ、
この映画の原題に感動しました。

“Pura Vida”

英語にすると”Pure life”.

山に登る人は、
生きることを純粋に味わい噛みしめることに魅了されている人、
そのように生きた人、
そのように生きようとしている人、なのだと思います。



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