Ma Vie Quotidienne

一歳に二度も来ぬ春なればいとなく今日は花をこそ見れ

読書 3.11を心に刻んで 岩波書店編集部

2015-03-08 23:34:58 | Book



2011年5月11日からスタートした、
岩波書店のウェブ連載「3.11を心に刻んで」を書籍化したもの。

連載では、毎月11日に、3名の様々な執筆者が、
過去から蓄積されてきた「言葉」を書籍などより引き、
その言葉に思いを重ねています。

この本は、2012年2月11日号までの全10回分を収録するとともに、
大震災から一年にあたり、おなじ30名の執筆者の書き下ろしを加えたものです。

各執筆者が引用している「言葉」は、
小説や随筆のほか、詩集、聖書、辞書、、新聞記事、
歌詞、ドラマのセリフ、民話、講演会での言葉など、多岐にわたり、
またその言葉を選んだ各執筆者の思いも様々。

それは、
あの震災で亡くなった多くの方々の人生がさまざまであるのと同じ。
被災されて傷を負い、もがいている多くの方々の人生がさまざまであるのと同じ。

そして、人間というのは、
かくもはるか昔から同じ過ちを繰り返してきているのかと愕然とします。

こんなにも多くの言葉が残されているのに、
それに気づかず、それを忘れ、それを無視して
大切なものをを置き去りにして先へ進み、
また大切なものを失う。

それでも私たちは、様々な局面で、言葉をつなぐしかないのです。
世の中の言葉を全部拾って覚えているわけにはいかないけれど、
こうして多くの人がふと心に入ってきた言葉とその時の自分の気持ちを表し、
それを紡いでいくしかないのです。

この本の引用文の中で私の心に残ったのは・・・

「それ、言葉だけが、失われないものとして残りました。
 そうです、すべての出来事にもかかわらず。
 しかし損言葉にしても、みずからあてどなさの中を、恐るべき沈黙の中を、
 死をもたらす弁舌の千もの闇の中を来なければなりませんでした。」

「あらゆる動物の中で、赤面するのは人間のみである。
 赤面に値することをやらかすのも、人間のみ。」

「死者を弔うということは、消えていった人たちを弔うということではない。
 死者がこの社会を支える永遠の存在になったことを死者とともに確認することであり、
 これからも死者と共に生き続けることを約束することでもある。」

忘れないように、そしてまた新たな言葉を知るために、
繰り返し読みたい本です。

さらに、このウェブ連載は脈々と続いていて、
2013年版、2014年版と書籍化していると知りました。
そちらも読んでみたいと思います。


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