Ma Vie Quotidienne

一歳に二度も来ぬ春なればいとなく今日は花をこそ見れ

読書   塩狩峠  三浦綾子著

2015-07-22 23:25:06 | Book


7月の最終週末はハーフマラソンで道北の士別にいきます。
宿検索したところ周辺で空いているのは、
旭川の高級ホテル、士別よりさらに北の名寄にひとつ、
そして、士別より少し南の塩狩のユースホステルのみ。
料金が安いということと、なぜかその手作り感あふれるユースホステルに魅かれ、
塩狩泊を決めました。

旭川以北に足を踏み入れるのは何年振りでしょう。
ましてや塩狩に自分が降り立つことになろうとは想像したこともありませんでした。
せっかくだから、行く前に、
有名な「塩狩峠」という小説を読んでおきたいなと思い、
図書館から借りました。

実は、三浦綾子さんの作品を読むのははじめてです。
実家の母の本棚に「氷点」があるのは子どもの時から見ていたのですが、
手に取ろうと思ったことがなかった・・・
「塩狩峠」を読んだら「氷点」も読んでみようと思います。

いつも思うことですが、
物事との出会いのタイミングといいますか、
興味がわくタイミングというのはほんとうに不思議なものです。
いつも自分の周囲に存在していてそのことに気づいていながらも全く興味がないものを、
手に取ってみようと思うきっかけが突然舞い降りてくるのです。
今回も、士別市内やもっと他の便利なホテルが空いていれば
塩狩に泊まろうなんて思いもしなかっただろうし、
「塩狩峠」を読もうとも思わなかったと思います

でも登山でこれだけ旭川に行く回数が増えているので、
なんか別のきっかけで三浦綾子作品に導かれる運命だったのかもしれないし・・・・。
本当に物事がつながるタイミングというのは不思議かつ面白いものです。

この小説「塩狩峠」の中にも、そんな不思議な巡りあわせが描かれてあります。

明治の時代、キリスト教が忌み嫌われていたころ、
主人公も小さいころから周囲の影響もありそのヤソ教を毛嫌いしていましたが、
あるとき自分も洗礼を受けることになるのです。
それどころか、各地でキリストの教えを説いて歩くようにまでなります。
そしてその教えに忠実であろうとするがゆえに、
自分の身を犠牲にして多くの人の命を救うことになります。
名寄での信仰の会のあと、汽車に乗って札幌にむかっていた時のこと、
塩狩峠を越えようとしていたときに汽車の連結が外れ、
自分が乗っている客車が峠を逆走しながら暴走、
それを身を挺し命を投げ出して止めて多くの人の命を救ったのです。

これは明治のころに実際に起こった事故で、
長野政雄さんという方が殉職されているのですが、
この長野さんが当時通っていたのと同じ教会に、
著者でキリスト教徒の三浦綾子さんが通うようになり、この小説が生まれました。
これもまた不思議な巡りあわせです。

小説は、
主人公がどのような幼少期・青年期を送って信仰に至るかというお話が大部分で、
そこは三浦さんの作り上げたお話なのですが、
明治という時代に一人の青年がどのように成長していくかという点でも
とても読みごたえがありました。

塩狩に行くのも、他の三浦作品を読むのも楽しみになってきました


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