Ma Vie Quotidienne

一歳に二度も来ぬ春なればいとなく今日は花をこそ見れ

読書 津波の墓標 石井光太著

2015-02-26 20:27:20 | Book


2013年1月発行。
映画にもなった「遺体 - 震災、津波の果てに」の著者が、
震災直後の3月14日から新潟経由で仙台に入り、
そこを拠点に約2か月半の間毎日、その後も2か月に一度現地に足を運んで
宮城と岩手の震災の様子を取材した、
「被災地の現実」により近いルポです。

「遺体」は岩手県釜石市が舞台のお話でしたが、
それ以外の町でも取材していたのですね。

「遺体」と同様に、
きれいごとじゃない多くの真実が記録されています。

美談として伝えられている一部のことの裏で行われていた多くの心無い行為、
被災した方々の震災直後の生活状況と心情、
家族を失った人たちの様々な心の在り方、
ご自身を含めた報道関係者の内情、
遺体捜索や身元照合がなかなか進まない原因、
土葬された遺体を掘り起こして火葬したときの様子など、
あの混乱の中で起きていた多くの出来事の中の、
より泥臭くて報道しにくいことが記述されています。

これまでも様々な震災関連の本を読んできましたが、
この本で初めて知った事実もありました。

いろいろな意味で「人間って弱い生き物だな」と思いました。

今この時期に、
このような当時の様子の記述を読み、当時を思い出すことで、
私自身、いまも年に数回現地に行っているのですが、
ちょっとなにか薄れてきている部分があるのかもなーって感じました。

「あの出来事を忘れない」という気持ちに気合を入れてくれた1冊です。



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