Ma Vie Quotidienne

一歳に二度も来ぬ春なればいとなく今日は花をこそ見れ

読書 ポートレイト・イン・ジャズ  和田誠/村上春樹

2015-04-23 21:23:33 | Book


イラストレーターの和田誠さんが描いたジャズメンたちの肖像画に、
村上春樹さんがそれぞれエッセイをつけた本。
50名ちょっとのジャズメンたちが紹介されています。

今年に入って、ジャズの歴史をマンガで学びつつCD聞いたりして
ちょっとずついろんなジャズメンの顔と名前と音楽が一致してきたところだったので、
とても楽しく、すぐ読み終わっちゃいました
とはいっても、
これからジャズのお勉強が進むにつれて何度も開くことになろう本です。


和田さんの絵があってこその村上さんの文章なのですが、
ジョン・コルトレーンとかキース・ジャレットとかサラ・ヴォーンとか
有名だけど載っていない人もいる一方、
なんだか全然知らない人もたくさん載っていて、
それはもちろん私の勉強不足なんですが、
そんな私でも知っている結構なマニアック処は載っていたりするので、
もしかしたら和田さんや村上さんとジャズの趣味が合うのかもしれません

たとえば、
あんまりメジャーじゃないけど私は結構好きなビックス・バイダーベックとか
ライオネル・ハンプトンとかが載ってたり、
トランペットでは、わたくし今のところクリフォード・ブラウンが一番好きなのですが
村上さんもそうみたいだし、
わたくしアニタ・オデイも結構好きなんですが
村上さんも白人女性歌手では一番好きみたいなこと書いてるし・・・。
まだ勉強不足なんで、これからもっと学んだらもっと共通点が出てくるかも

あと、音で聴いていて、
あれとこれはちょっと違うな、とか、
感じることはできてもそれを言葉で表現できないことがまだいっぱいあるんですが、
それが、ぴたっと書いてあって、「ああ、そういうことか!」と腑に落ちることも多いし。
また村上ワールド全開で、
わかりやすいのかわかりにくいのか判別困難な例えで説明してあったりしてね・・・ 

各ジャズメンのアルバムで村上さんのイチオシっていうのも載ってるんですが、
いつか、自分が行きやすいジャズ喫茶とか見つけたら、
そのイチオシをひとつずつ毎回リクエストして全部聴いてみたいなーとか思ったり

村上春樹は小説もまあいいけど、
こういうエッセイみたいなののほうが好きかも。
マラソン、ウイスキー、クラシック、ジャズ・・・
なんとなく趣味が一緒なのでね

読書 もしも僕らの言葉がウイスキーであったなら 村上春樹著

2015-04-20 18:09:38 | Book


村上さんと奥様が、
ウイスキーを主な目的としてスコットランドのアイラ島とアイルランドに行ったときの旅行記です。

さくっと読めました。
字は大きいし写真はきれいだし、
なんといってもウイスキーのお話ですから。

アイラモルトのラフロイグを例えて、
10年物は、サックスにジョニー・グリフィンが入ったセロニアス・モンクのカルテット、
15年物は、同じくジョン・コルトレーンが入ったセロニアス・モンクのカルテット、
だって(爆)
村上ワールド全開ですな
でもなんとなくわかるような気がする。
ウイスキーもジャズもちょっとお勉強したら
こんなのがわかるようになっちゃいました・・・

こうなったら私もね、ウイスキーに特化して、
なんか行ってみたい気もするんだけど、スコットランドとアイルランド・・・
ロンドンは3回ぐらい行ったことあるんですけどねー、
寒いし、イギリス英語の聞き取りが難しくて、
居心地あんまりよくなかった印象しかない(笑)

でもねー、いまはバーとかパブとか楽しめると思うので、
昔よりは居心地良く感じそうな気もする。

まあいつか、行くかもしれません・・・


読書 文藝春秋 100人の作家の言葉

2015-04-16 21:22:59 | Book


東日本大震災から1年経った2012年3月に発行された、「文藝春秋」の臨時増刊号。

「文藝春秋」創刊は大正12年、
その年に関東大震災が起こり、文藝春秋も発刊の危機に陥りましたが、
創刊人の菊池寛らの尽力により継続され、
当時の作家さんたちが震災体験を綴った「震災文章」が掲載されました。

それにならって、
東日本大震災後の多くの作家さんの文章と、
合わせて関東大震災後の「震災文章」、阪神淡路大震災後の文章も掲載された、
たいへんボリュームのある一冊です。

実はこれ、発刊直後に買って、読み始めたんですが、
少し読んであとが続きませんでした。
涙が出て全然進まなかったんです・・・。

今回「よし!読みきるぞ!」と気合い入れて始めたんですが、
やはり泣けてしまったり考えさせられたりして、
読み終えるまでひと月以上かかってしまいました(汗)
いろいろ思い出したりしたと言うのもありますが、
「日本人とは」と問う内容が多かったことも
読むのに時間がかかった一因かもしれません。

これは完全保存版ですね。
生きている間に、日本人として、何度も読み返したいです。
復興の様子を見守りながら・・・。


興味の有無って・・・

2015-03-31 23:39:59 | Book
ひさびさに村上春樹の本を買いました。




「ポートレート・イン・ジャズ」と「もし僕らの言葉が…」は、
けっこう前から出版されているのは知ってましたが、
なんせジャズにもウイスキーにも全然興味なかったんで、
村上春樹はけっこう読んでる方なんですけど、
いままでこれらの本には全く見向きもしませんでした(笑)


「セロニアス・モンクの…」は昨年秋に出版されてて、
紀伊国屋で見かけてたんですが、
これまた当時はジャズをこんなに勉強する予定じゃなかったし、
だいたいセロニアス・モンクは、曲は聞いたことあっても彼の名前自体知らなかったんで、
この本には全く見向きもしてませんでした(笑)

興味が有る無いってすごい違いですよね・・・
たった半年でこうも変わるんですから。
あ、私だけですか?(爆)


いま読んでる本を(なかなか捗らないのですが)読み終わったら、
じっくりページめくっていこうと思います。


それにしても、マラソンとかウイスキーとかジャズとか、
なんだか村上春樹の方向に向かってますね、わたし(汗)

読書 3.11を心に刻んで 岩波書店編集部

2015-03-08 23:34:58 | Book



2011年5月11日からスタートした、
岩波書店のウェブ連載「3.11を心に刻んで」を書籍化したもの。

連載では、毎月11日に、3名の様々な執筆者が、
過去から蓄積されてきた「言葉」を書籍などより引き、
その言葉に思いを重ねています。

この本は、2012年2月11日号までの全10回分を収録するとともに、
大震災から一年にあたり、おなじ30名の執筆者の書き下ろしを加えたものです。

各執筆者が引用している「言葉」は、
小説や随筆のほか、詩集、聖書、辞書、、新聞記事、
歌詞、ドラマのセリフ、民話、講演会での言葉など、多岐にわたり、
またその言葉を選んだ各執筆者の思いも様々。

それは、
あの震災で亡くなった多くの方々の人生がさまざまであるのと同じ。
被災されて傷を負い、もがいている多くの方々の人生がさまざまであるのと同じ。

そして、人間というのは、
かくもはるか昔から同じ過ちを繰り返してきているのかと愕然とします。

こんなにも多くの言葉が残されているのに、
それに気づかず、それを忘れ、それを無視して
大切なものをを置き去りにして先へ進み、
また大切なものを失う。

それでも私たちは、様々な局面で、言葉をつなぐしかないのです。
世の中の言葉を全部拾って覚えているわけにはいかないけれど、
こうして多くの人がふと心に入ってきた言葉とその時の自分の気持ちを表し、
それを紡いでいくしかないのです。

この本の引用文の中で私の心に残ったのは・・・

「それ、言葉だけが、失われないものとして残りました。
 そうです、すべての出来事にもかかわらず。
 しかし損言葉にしても、みずからあてどなさの中を、恐るべき沈黙の中を、
 死をもたらす弁舌の千もの闇の中を来なければなりませんでした。」

「あらゆる動物の中で、赤面するのは人間のみである。
 赤面に値することをやらかすのも、人間のみ。」

「死者を弔うということは、消えていった人たちを弔うということではない。
 死者がこの社会を支える永遠の存在になったことを死者とともに確認することであり、
 これからも死者と共に生き続けることを約束することでもある。」

忘れないように、そしてまた新たな言葉を知るために、
繰り返し読みたい本です。

さらに、このウェブ連載は脈々と続いていて、
2013年版、2014年版と書籍化していると知りました。
そちらも読んでみたいと思います。

読書  希望の地図 3.11から始まる物語  重松清著

2015-03-05 22:48:31 | Book


以前、有名な作家さんの作品を立て続けに読んでいた時期があって、
「よし、次は重松清だ。」と思っていたのですが、
震災関連の本をたくさん読むようになって
フィクション小説を読むのはお休みしていました。

そんなときに、この重松さんが書いた震災関連本を見つけて即購入。
でもいままで読んでなかった
読書はしていたんですがね・・・

前置きはさておき・・・

2012年3月11日発行の本です。
ドキュメントノベル、事実に基づいた小説って感じかな。

震災から半年・・・
不登校の13歳、光司が、
父親の友人のフリーライター田村章の東北取材に同行し、
津波のあとの町を見てまわったり現地の方のインタビューを見学したりするなかで
少しずつ成長していく・・・といった内容。

田村章というのは、実際に重松さんのペンネームのひとつだそうです。

実際、
この物語の中に出てくる取材やインタビューの対象はみんな実在しているので、
フリーライター田村章が東北で取材っていうのはドキュメントで、
男の子が同行して・・・っていうのはフィクションなんだと思います。

重松さんの小説の作風って
少年少女の葛藤や家族の絆みたいなのがテーマのことが多いような気がしますが、
まさにそんな感じのストーリでした。

取材地は、
写真救済プロジェクトをおこなう東京の富士フィルムから始まり、
山元、石巻、仙台荒浜、気仙沼、南三陸、
釜石、大槌、宮古、大船渡、陸前高田、
飯舘、いわき・・・

各インタビューから
実在の地元の企業のリーダーが自分の会社のことだけではなく
地域のために活動する様子が分かります。

八木澤商店やホテル観洋、三陸鉄道など馴染みのある企業や
今まで知らなかった小さな企業や町の活動など・・・・。

取材の内容や投げかけられる問いかけを13歳の光司がゆっくりと反芻していくので、
こちらもゆっくりとインタビューの内容について考えることができます。

あのころ私も、自分に何ができるんだろうかと葛藤していたことを思い出しました。
これからも忘れずにいたいと思います。


読書 津波の墓標 石井光太著

2015-02-26 20:27:20 | Book


2013年1月発行。
映画にもなった「遺体 - 震災、津波の果てに」の著者が、
震災直後の3月14日から新潟経由で仙台に入り、
そこを拠点に約2か月半の間毎日、その後も2か月に一度現地に足を運んで
宮城と岩手の震災の様子を取材した、
「被災地の現実」により近いルポです。

「遺体」は岩手県釜石市が舞台のお話でしたが、
それ以外の町でも取材していたのですね。

「遺体」と同様に、
きれいごとじゃない多くの真実が記録されています。

美談として伝えられている一部のことの裏で行われていた多くの心無い行為、
被災した方々の震災直後の生活状況と心情、
家族を失った人たちの様々な心の在り方、
ご自身を含めた報道関係者の内情、
遺体捜索や身元照合がなかなか進まない原因、
土葬された遺体を掘り起こして火葬したときの様子など、
あの混乱の中で起きていた多くの出来事の中の、
より泥臭くて報道しにくいことが記述されています。

これまでも様々な震災関連の本を読んできましたが、
この本で初めて知った事実もありました。

いろいろな意味で「人間って弱い生き物だな」と思いました。

今この時期に、
このような当時の様子の記述を読み、当時を思い出すことで、
私自身、いまも年に数回現地に行っているのですが、
ちょっとなにか薄れてきている部分があるのかもなーって感じました。

「あの出来事を忘れない」という気持ちに気合を入れてくれた1冊です。


読書  前へ!東日本大震災と闘った無名戦士たちの記録  麻生幾 著

2015-02-18 19:55:24 | Book


東日本大震災発生後、
停電や通信機能麻痺の中で、
多くのプロフェッショナル集団たちが日本全国から集まり、
それぞれの経験と機転でこれまでの常識を覆して動き、
職業的責任感で自ら危険を冒して現地に向かい、
東北を、日本を、救おうと奔走してくださいました。

この本では、
福島第一原発放水活動に従事した自衛隊、消防ハイパーレスキュー、警視庁機動隊のみな
さん、
沿岸と内陸を結ぶ道路の啓開に従事してくださった国交省の皆さん、
救急医療関係者のみなさん、
政府や各関係官庁のみなさんの、
震災後2週間程度の動きが記されています。

いままでも震災関連の本をいくつか読んできているので、
医療関係や道路啓開については重なる部分もあったのですが、
原発関連はいままで、
読みはじめても言葉に馴染みがないせいか、
途中で読むの止めちゃったりしてたので、
今回これを読んで、
あのときニュースで言ってたことなんかを思い出しつつ、
なんだか情けなくなっちゃいました。

すごく印象的だったのは、政府と東京電力と原子力保安院の迷走ぶりです。

度重なる指示の変更、誤報、冷静さを欠く態度、無視、
空気を読まない勝手な動きなど、
現場で命がけの覚悟で前進する人たちがどれだけ振り回されたことか。

特に東電ののらりくらりした態度には、
こいつらには二度と原子力を扱ってほしくないと思っちゃいました。

あれからもうすぐ4年。
ちょっと気合いを入れて、原発関連の本を読もうと思います。

読書 命をつないだ道 東北・国道45号線をゆく   稲泉連 著

2015-01-08 20:57:05 | Book


国道45号線。
八戸と仙台の間の沿岸部の
リアス式海岸の険しい峠と港町のアップダウンを、
何度も繰り返しながら縦走する道。

所々に内陸と繋がる県道が入り込んでいますが、
内陸の町とはたいてい2時間ほどかかる距離なので、
45号線は沿岸となり町への病院だったり買い物だったり生活に欠かせない道路。

東日本大震災では、海沿いを走るこの45号線、
瓦礫に埋もれ、アスファルトは一部剥がれたり崩落したり、橋は決壊。
沿岸各市町村は孤立しました。

そこに自衛隊が行って道路啓開、仮橋設置した・・・って、
マスコミではそういうことになってましたけど、
自衛隊や他の支援隊が到着する前にすでに動いていた人たちがいたんです。

国交省から赴任している道路管理事務所、
そしてその下請けをしている各市町村の建設会社。
彼らはいち早く状況を把握し、
残っている重機で道を作り始めていたんです。
住民が避難したり、病院に運ばれたり、物資を届けたりする命の道を。

自衛隊が被災地に到着したのは翌日以降で、
しかも瓦礫に阻まれて町の中心部に切り込んでくのに時間がかかっていましたが、
被災地の中から道路啓開がすでに始まっていたことで、より早い支援に繋がったと思います。

国交省管轄ってことで普段は縦割り行政、
指示なしで勝手なことはできない世界ですが、
通信も絶たれたなかで、
「そんなこと言ってる場合でないべ」という使命感で
自分たちの「仕事」を無償でしてくださった方々の思いに、
胸が熱くなります。

小さな山道まで知り尽くした地元の人々が、
出先で被災、
車を置いて徒歩で山を越えて重機がある会社にたどり着き、
燃料を工面しながら孤立した地域に道を通す様子を読みながら、
個人的に何度も足を運んで歩き尽くしている、
国道45号線とその側道や交差する県道・市道に思いを巡らしました。

特に、この本で書かれている宮古・山田地区、釜石・大槌地区、気仙沼・南三陸の、
震災後初めて行った時の状況から今までの変化を回想し、涙が出てきました。

いま被災地ではかさ上げ工事か始まり、
国道45号線もかさ上げされたり、内陸に移設されたり、仮橋を本設にしたり、
新しく生まれ変わろうとしています。

新しい45号線も新しい町とともに、
地域にとってより良い生活をもたらすものになりますように。



読書  虹の向こうの未希へ    遠藤美恵子著

2014-10-07 20:25:42 | Book



東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県南三陸町。

そこで暮らすあるご家族の物語です。


わたしは震災後、毎年秋に南三陸を訪ねているのですが、
今年もその旅を数日後に控え、
たまたま書店でこの本を見つけて、行く前に読んでおこうと思いました。


津波でご長女を失ったお母さんと、
このご家族と長く繋がりのある記者さんの共同執筆のような形となっています。

亡くなられたご長女さんのお名前は遠藤未希さん。

南三陸町の防災対策庁舎で
最後まで町民に高台への避難を防災無線で呼び掛けていて津波のまれたということで、
メディアにも多く取り上げられました。

この本では、
震災の前のことから震災後3年4ヶ月となる今年の夏までの
ご家族の悲しみや葛藤、気持ちの変化を読み取ることができます。

残された者の一生消えることのない自責の念、
それを抱えつつも前に進まなければならないなんて、
生きると言うことはなんという苦行なのでしょう。
それでも生きる。
またいつか会える日に胸を張れるように。



この本ではまた、
被災者を取り巻く様々な問題を知ることができます。

メディアや被災地観光の在り方、
特殊公務災害認定や行政の災害対策の在り方に関する訴訟、
行政と町民の温度差、
土地や建築資材の価格高騰、
震災遺構を残すか解体するか、などなど。

南三陸町は、
遠藤未希さんはじめ多くの職員・町民が命を落とした防災対策庁舎を
残すか否かで揺れています。

いろんな意見があって難しい問題です。
遠藤さんのお母さんもはじめはあの赤い鉄骨を見たくもないと思っていたのに
少しずつ想いは変わってきたようです。

わたしも昨年
「これで最後かもしれない」という気持ちで防災対策庁舎に手を合わせてきたのですが、
今年も防災庁舎の鉄骨は残っています。
南三陸に行く前にこの本を読んだことで、
また引き締まった気持ちで手を合わせることができると思います。