goo blog サービス終了のお知らせ 

シネマと虎とグルメたち

犬童一心監督作品に「ジョゼと虎と魚たち」があった。オイラは「観た映画が面白くて、美味いもの食って阪神が快勝」を望んでる。

小さい秋

2007年10月14日 | グルメ・他
今日は町内の秋祭りで少しばかりの志を納める。
五穀豊穣を願った祭りだった筈だが、周囲からはすっかり田畑が消えて祭りの意義も失われつつあり淋しい限りである。

誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
めかくし鬼さん 手のなる方へ
すましたお耳に かすかにしみた
よんでる口笛 もずの声
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた

ちいさい秋はさらに

お部屋は北向き くもりのガラス
うつろな目の色 とかしたミルク
わずかなすきから 秋の風

さらに、むかしの むかしの 風見の鳥の
ぼやけたとさかに はぜの葉ひとつ
はぜの葉あかくて 入日色

と続く。

サトウハチローの詩である。
目下、ハチロー氏とは異母兄妹である佐藤愛子さんの「血脈」を読書中。
ハチロー氏は小説家・佐藤紅緑氏の長男として生まれたが、父も父なら子供も子供といった無茶苦茶な人生を送る。
父も無茶なら、兄弟たちもまた無茶苦茶である。
中学を落第し、喧嘩、勘当、拘置所入りを重ねる。
四男は次男の嘘のため、19歳で女と心中。
兄弟たちは父から金をせびり、彼自身は三度の結婚を繰り返す。
そんな無茶な人生を歩んだ人から、どうしてあんな優しい詩が生まれるのだろう。
生きるという事に一所懸命、精一杯の生き方に、持って生まれた才能、感受性に神が共感したのだろうか。

作品は長編である。
佐藤家の厄介事の始末を常に引き受けさせられる、詩人・福士幸次郎氏に共感めいたものを感じる。
いつか彼の詩集も読んでみよう。