映画「怪物」を見ました。
「怪物」 2023年 日本
監督 是枝裕和
出演 安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太 高畑充希 角田晃広 中村獅童 田中裕子
ストーリー
消防車がサイレンを鳴らしながら向かった先には、上部から激しい炎を吹き出す雑居ビルの姿があった。
翌日、早織がクリーニング店で働いていると、ママ友の女性がやってきて、昨夜の火事の出荷元は雑居ビルの3階にあるガールズバーで、湊の担任の保利が通っていたらしいと噂した。
湊が塞ぎこんでいるので心配した早織が問いただすと、湊は自分の脳が「豚の脳」だと担任の保利から言われたと告げた。
早織は校長の伏見に会い抗議したが、学校の対応は事なかれ主義で無難なことばを言ってお茶を濁そうとする。
早織はまた学校へ出かけ、保利を見つけた早織が追いかけると、保利は湊が同じクラスの生徒・星川依里(より)をいじめていることを告げられた。
家に帰った早織は、湊の部屋を覗くと、部屋に点火棒ライターがあったので動揺する。
保護者たちが呼び出され、その前で保利が湊に暴力を振るったことが明らかにされた。
保利は謝罪し、地元の新聞にも大きく報じられた。
それからしばらくの後、巨大な台風8号が日本列島に接近した。
翌朝、早織が目覚めると、湊がいなくなっていた・・・。
保利は覇気がないように見えて誤解されやすいのだが、彼なりに教師として努力していた。私生活では広奈という恋人がおり仲も順調。
学校で起きた事柄も保利の視点から見ると、また違ったものだった。
同じように湊と依里の視点から見れば、また違った。
寸評
嘘、欺瞞、事なかれ主義がはびこっているのも現実の社会だ。
早織はシングルマザーで一人息子の湊を必死で育てている。
しかしその必死さは盲目的に息子を信じさせてしまっている。
子供との信頼関係を疑うことはなく、息子の言うことに嘘はないと確信している。
しかし、子供は巧妙な嘘をつくものなのだ。
事故で亡くなった夫への愛を今も持ち続けているようだが、夫は不倫相手との旅行中に事故死していて、実はその事を息子である湊も知っている。
湊は仏前で見せる早織の態度に疑問をいだいていたのではなかろうか。
校長の伏見に教育に対する熱意は感じらず、自ら先頭に立つことはない。
スーパーで走り回る子供を注意するのではなく、足を引っかけて倒すことで自分の気持ちを表している。
伏見夫婦は孫を誤ってひき殺しているが、運転していたのは夫なのか妻なのか不明である。
もしかすると夫は妻の身代わりとなったのかもしれない。
その態度は学校側の事なかれ主義を助長していく。
事なかれ主義は大人たちの間にあるだけではなく、湊も依里も取り繕うことでもめ事から逃避している。
背景にはモンスターペアレントの存在やイジメ問題がある。
見て見ぬふりをする体質はイジメの実態を見逃がしてしまう。
物語はそれぞれの視点で描かれていくが、多くの謎を残したまま進んでいく。
サスペンスとして謎解きを追求するのではなく、浮かび上がってくるのは人間の愚かさだ。
大人の世界、子供の世界、学校という組織など、存在している社会で行ってしまう人間の愚かな行為である。
真相が徐々に明らかになってくるのは構成上自然な流れである。
たしかに子供たちは怪物的要素を持っているが、ここで言う怪物はむしろ学校側の者たち、いや学校と言う組織そのものだったのかもしれない。
「怪物」 2023年 日本
監督 是枝裕和
出演 安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太 高畑充希 角田晃広 中村獅童 田中裕子
ストーリー
消防車がサイレンを鳴らしながら向かった先には、上部から激しい炎を吹き出す雑居ビルの姿があった。
翌日、早織がクリーニング店で働いていると、ママ友の女性がやってきて、昨夜の火事の出荷元は雑居ビルの3階にあるガールズバーで、湊の担任の保利が通っていたらしいと噂した。
湊が塞ぎこんでいるので心配した早織が問いただすと、湊は自分の脳が「豚の脳」だと担任の保利から言われたと告げた。
早織は校長の伏見に会い抗議したが、学校の対応は事なかれ主義で無難なことばを言ってお茶を濁そうとする。
早織はまた学校へ出かけ、保利を見つけた早織が追いかけると、保利は湊が同じクラスの生徒・星川依里(より)をいじめていることを告げられた。
家に帰った早織は、湊の部屋を覗くと、部屋に点火棒ライターがあったので動揺する。
保護者たちが呼び出され、その前で保利が湊に暴力を振るったことが明らかにされた。
保利は謝罪し、地元の新聞にも大きく報じられた。
それからしばらくの後、巨大な台風8号が日本列島に接近した。
翌朝、早織が目覚めると、湊がいなくなっていた・・・。
保利は覇気がないように見えて誤解されやすいのだが、彼なりに教師として努力していた。私生活では広奈という恋人がおり仲も順調。
学校で起きた事柄も保利の視点から見ると、また違ったものだった。
同じように湊と依里の視点から見れば、また違った。
寸評
嘘、欺瞞、事なかれ主義がはびこっているのも現実の社会だ。
早織はシングルマザーで一人息子の湊を必死で育てている。
しかしその必死さは盲目的に息子を信じさせてしまっている。
子供との信頼関係を疑うことはなく、息子の言うことに嘘はないと確信している。
しかし、子供は巧妙な嘘をつくものなのだ。
事故で亡くなった夫への愛を今も持ち続けているようだが、夫は不倫相手との旅行中に事故死していて、実はその事を息子である湊も知っている。
湊は仏前で見せる早織の態度に疑問をいだいていたのではなかろうか。
校長の伏見に教育に対する熱意は感じらず、自ら先頭に立つことはない。
スーパーで走り回る子供を注意するのではなく、足を引っかけて倒すことで自分の気持ちを表している。
伏見夫婦は孫を誤ってひき殺しているが、運転していたのは夫なのか妻なのか不明である。
もしかすると夫は妻の身代わりとなったのかもしれない。
その態度は学校側の事なかれ主義を助長していく。
事なかれ主義は大人たちの間にあるだけではなく、湊も依里も取り繕うことでもめ事から逃避している。
背景にはモンスターペアレントの存在やイジメ問題がある。
見て見ぬふりをする体質はイジメの実態を見逃がしてしまう。
物語はそれぞれの視点で描かれていくが、多くの謎を残したまま進んでいく。
サスペンスとして謎解きを追求するのではなく、浮かび上がってくるのは人間の愚かさだ。
大人の世界、子供の世界、学校という組織など、存在している社会で行ってしまう人間の愚かな行為である。
真相が徐々に明らかになってくるのは構成上自然な流れである。
たしかに子供たちは怪物的要素を持っているが、ここで言う怪物はむしろ学校側の者たち、いや学校と言う組織そのものだったのかもしれない。