ここんとこ雨の日が多い。
またまた台風がやってきそうである。
昨日は晴れ間をついて出かけた。
雨の日が多いこともあって、最近は録画しておいた映画と批評文を作成するのが日課となっていたので、映画館に足を運ぶのは久しぶりのことである。
早朝から出かけたので2本を見ることが出来た。
終わってしまいそうなので、先ずは「シン・ゴジラ」。
面白い!
僕にとっては1995年度の「ガメラ大怪獣空中決戦」以来の驚きである。
怪獣映画だが、全編ブラック・ユーモアに満ち満ちている。
従って怪獣映画なのに小学生ではこの作品が理解できないのではないか。
第一、おびただしいテロップの判読にネを上げてしまうだろう。
もしかすると中学生でも無理かもしれないと思ってしまう。
延々と描かれるのは政府の会議で、いろんな会議を重ねて現状把握や出現したゴジラへの対処法を考えるものの、指揮命令系統が不明確だったり、責任をなすり合ったりして何も決められない姿が描かれる。
会議は誰が誰だか分からなくなるほど多くの登場人物があれやこれやとセリフをしゃべりまくるだけのものだ。
おまけに御用学者は通り一辺倒のことを言うだけで、総理にも愛想をつかされる始末だ。
制作時には起きていなかった築地の豊洲移転問題で、盛り土がされるべきところを地下空洞に変更されていた事実が判明し、内部調査をした結果、誰がいつ決定したかがわからず、なんとなく進んでいっていて責任者は特定されなかったとの報告書が出た。
この報告書の信憑性だって信じられたものではない。
ブラック・ユーモアでなく、現実にそんなバカげたことが生じている政治の世界なのだ。
「シン・ゴジラ」は多分に原発事故を意識したものになっているが、直近のバカバカしさによって、ブラックがブラックでなくなってやけに生々しさを感じさせた。
時間接続がピッタリだったので「オーバー・フェンス」を見る。
5回も芥川賞候補になりながら41歳で自死した佐藤泰志の原作で、熊切和嘉監督の「海炭市叙景」、呉美保監督の「そこのみにて光輝く」と同じ原作者で、熊切監督、呉監督と同じ大阪芸大出身の山下敦弘監督作品である。
社会の底辺の人々が、そこから這い上がろうともがく姿は同じなのだけれど、山下作品はユーモアもあり、清々しささえ感じるものとなっていた。
ズシンとくるものはないけれど、ダメ男の描き方は上手いと感じさせた。
上手いと言えば蒼井優は相変わらず雰囲気がある。
下手をすればただのバカ女になってしまいそうな役柄を見事に演じていた。
もう1本と思ったが、時間と体力がなかった。
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