シネマと虎とグルメたち

犬童一心監督作品に「ジョゼと虎と魚たち」があった。オイラは「観た映画が面白くて、美味いもの食って阪神が快勝」を望んでる。

四天王寺

2009年11月29日 | グルメ・他
五木寛之氏の「百寺巡礼」全十巻を読み終えた。
氏は第六巻・関西編の最後に第六十番寺として「四天王寺」にお参りされている。
私は大阪在住の身でありながら四天王寺さんはいつも素通りだったのでこれを機会に初めてお参りさせていただいた。
四天王寺は聖徳太子によって建立された日本初の官寺である。
奈良の法隆寺などよりも古い寺ということになるが、残念ながら当時の建造物は一切なくて再建が近年になるものも多くある。
観光バスが押し寄せ人々でごった返すといった雰囲気がないのは、大阪の中心部に3万3千坪の敷地を有している広さのためだけではなく、そのようなことも原因していると思う。
国宝の建物などないから再建は信者によってなされたと聞く。
大阪城も通天閣も民間だけで再建しているのは大阪人の気骨だと思えてなんだか嬉しい。
私は日本三鳥居の一つ、「石の鳥居」から境内に入った(他の二つは吉野の銅の鳥居、宮島の木の鳥居)。
四天王寺式と呼ばれる仁王門、五重塔、金堂、講堂が一直線に並んでいるのがよくわかる。
再建されたものとはいえ、五重塔に登れば隙間から大阪市内が一望できる。
階段の周りは檀家信者の位牌で埋め尽くされている。
敷地はとてつもなく広いがまぎれもなく庶民の寺である。
境内では護摩木を焚いたり、読経をしたりとおつとめが普通になされている。
金堂では読経が行われ信者が祈祷してもらっていた。
講堂正面には掛け軸が並んでいてまるで、日本宗教のオールスターだと五木氏も評していた。
一遍上人(時宗)、栄西禅師(臨済宗)、親鸞上人(浄土真宗)、弘法大師(真言宗)、伝教大師(天台宗)、法然上人(浄土宗)、道元禅師(曹洞宗)、日蓮上人(日蓮宗)の8幅があり、真中に太子の軸が一段高く掲げられている。
それぞれ日本仏教の創始者である太子信仰を深めた方々だし、四天王寺が和宗としてすべての宗教を受け入れていることによると思われる。
時間もあったのでイタリア料理店で昼食をとり界隈を散策することにした。
近くには清水寺があるのでそちらへ。
境内には市内唯一の滝があり、それは京都の清水寺と同じ作りであり、あちらが「音羽の滝」と呼ぶのに対し、こちらは「玉手の滝」と呼ぶ。
小さいながらも舞台もあり市内が眼下に見え通天閣が望める。
一帯を夕陽丘というだけあって、ここから見る夕日は美しいと思われるがあいにくの天候で今日は望むべくもない。
清水坂を下って、愛染坂を上り愛染さんへ。
お月さんと同じで、四天王寺さん、愛染さんと親しみを込めて呼ぶ。
大阪には珍しい多宝塔があり、大阪の夏祭りはここから始まる。
すぐそばにある大江神社には狛犬ならぬ日本唯一とおもわれる狛虎がいて、タイガースのメガホンが所狭しと並んでいる。
真言坂、口縄坂、天神坂とあるが源聖寺坂がカーブを切っていることもあって一番風情があった。
最後は生國魂(いくたま)さんへお参り。
上町台地が確かに台地であることを実感した一日で、坂を上ったり下ったりの一日であった。
ところで冒頭に書いた「百寺巡礼」を十巻そろえると専用ケースと扇子はもらえると言うので、500円の送料を添えて申し込むと過日に送られてきた。
和紙などを使ったもう少し良いものかと思ったが、昔のマンガ雑誌に付いていた附録のようなケースで、袴を切り取って500円で買ったことになるシロモノとしては少々ガッカリ。
いくらデフレの世の中といっても、タダで多くを望んではいけないということだ。
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七藝余話

2009年11月23日 | 映画
十三に第七藝術劇場という劇場がある。
劇場名がいいし、いわゆる芸術映画と呼ばれるジャンルの映画を雑居ビルのなかでやっているのもいい。
思えば随分とこのような映画館が少なくなってしまった。
2番館、3番館とよばれる映画館もなくなってしまい、見逃した映画を見るのは至難の業だ。
名画座といって良質なリバイバル作品を上映する映画館もなくなってしまった。
配給会社が抱えるフィルムの貸し出し事業はどうなっているのかといらぬ心配をしたりもする。
今回は12:35開場の「アンナと過ごした4日間」という映画。
前もってシニア割引で1000円のチケットを購入すると8番だった。
時間が有るので劇場の斜め前にある「がんこ寿司」で昼食を取る。
がんこ御膳が1,440円と1,940円であった。
鍋がつくと1,940円だそうだが、随分とボリュームがありそうなので1,440円のにした。
それでも目の前にバラエティ豊かな品々が並んで満腹になった。
ビールも飲んでいい気分になってそろそろ出ようかと思ったらコーヒーとデザートがあるという。
拷問に近いと思いながらも貧乏人根性が抜けない私はそれらを飲食。
そのため時間を費やして映画館いついたら番号順の整列が始まっていた。
細い通路に1~10、11~20と札が壁面に取り付けられていて、自分の番号当たりに並ぶシステムである。
この薄暗い通路というのもノスタルジーを掻き立てていい気分にさせてくれる。
いい気分といえば、帰りのエレベータで映画好きと思われる妙齢の女性と一緒になった。
僕と同じで、何種類かの映画チラシを抱えながら雑踏の中に消えていった。
素敵な光景だなあと感じてその後姿を見送った。
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ヨネヤ

2009年11月22日 | グルメ・他
昼前あたりから入ってのんびりと一杯やっていると面白い。
キャベツ好きの私としては、串カツの本数が少なく済むのも有難い。
混雑してくるまでは読書でもして粘っていても居心地の悪い店ではない。
僕は大抵の場合、中ほどより少し奥まった席に座る。
そこに座ると、全体が見渡せて耳を澄ませば会話の内容も時々聞き取れることがある。
若いカップルから年配の方まで幅広い客層である。
お客たちの様子をうかがうのが楽しみの一つなのだ。
サラリーマンの二人連れは先輩らしき中年男性が若い者に経験談を語り、説教とまでは行かないまでもアドバイスを与えている。
そのしたり顔の態度に思わず微笑んでしまう。
隣には中年の夫婦が座ったが、話す内容は串カツメニューの話が大半で、次は何を頼むかとか味はどうとかの内容で、食欲旺盛なことが分る。
ひとつ置いた前の席に座ったのは若いカップルで初々しい。
初々しいがリードは女性がしていて、男はどちらかといえば従っている感じで注文も女性が指定し男性が同意するパターン。
話題も女性が切り替えているような気がして、いまどきの男性の優しさ(あるいは頼りなさ)を垣間見た感じだ。
眺めているとどうしたわけか市井の人々のたくましさを感じるような気がして、何だか私まで元気になっていくような気がする。
酔っ払うにはまだ早いと表に出ると、歩くスピードが世界一速いといわれる大阪の人々の行きかう波に飲み込まれる。
地下街のスクランブルまで来ると、人の流れがあちこちに散っていく。
そこでもまたエネルギーを感じて家路に着く。
私の意識はそうなのだが、人から見ると酔っ払いが昼間からふらふら歩いているように見えているのかもしれないと思うと気恥ずかしくもあるのだが・・・。
期間限定だった鹿児島の豚を使った三味豚(さんみとん)が格別であった。
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