シネマと虎とグルメたち

犬童一心監督作品に「ジョゼと虎と魚たち」があった。オイラは「観た映画が面白くて、美味いもの食って阪神が快勝」を望んでる。

崖上のスパイ

2023年02月16日 | 映画
「崖上のスパイ」 2021年 中国


監督 チャン・イーモウ
出演 チャン・イー ユー・ホーウェイ リウ・ハオツン チュウ・ヤーウェン
   チン・ハイルー ニー・ターホン ユー・アイレイ リー・ナイウェン フェイ・ファン
   
ストーリー
1934年、冬の満州国。
ハルピンにやって来た張憲臣(チャン・イー)、小蘭(リウ・ハオツン)、楚良(チュウ・ヤーウェン)、王郁(チン・ハイルー)の男女4人。
その正体は、ソ連で特殊訓練を受けた共産党の工作員であった。
彼らは日本軍の秘密施設から脱走した生き証人を国外に脱出させ、同軍の蛮行を世界に知らしめるというミッションを受けており、“ウートラ計画”と名付けられていた。
2班に分かれて行動するスパイ・チームは、行く先々で特務の執拗な追跡や襲撃に遭い、次々と放たれる罠により、ついにはリーダーの張憲臣が特務の手に落ちてしまう。
残された王郁、楚良、小蘭の3人と、彼らの協力者となった周乙(ジョウ・イー)は、八方塞がりの危機を突破しながら救出作戦に挑んで行く。
相手を見たらまず疑ってかかる、そして動転している素振りを表に出さない。
また2人1組で危険な場面では、状況に応じて単独行動を取る。
彼らはよく訓練されているが、ただ一人小蘭だけが頼りない。
しかし、その動きは仲間の裏切りによって天敵である特務警察の高課長(ニー・ターホン)に筒抜けとなってしまう。
やがて特務の執拗な追跡の前に、リーダーのチャン・シエンチェンが捕まってしまい、窮地に陥るスパイ・チームだったが…。


寸評
満州国が存在していた時代の話だが、内容的には現在の中国共産党が仮想敵国としている日本を意識したプロパガンダ映画と思える。
二転三転する陰謀と裏切り、繰り広げられるアクションが見どころとなっているが、アクションシーンは流石にアメリカ映画に一日の長がある。
同じ事の繰り返しで、チャン・イーモウ作品とは思えない出来だ。
行方不明になっていた子供の話などは、何のためのエピソードだったのかと思ってしまう。
そしてそのエピソードは唐突と感じる終わりを見せる。
厳寒の地での話として、降り積もる雪の印象だけが残る。
この手の作品は韓国映画の方が面白い作品を提供しているように思う。
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久しぶりのチャン・イーモウ

2023年02月15日 | 映画

今日は寒かった。
雪もちらついた一日であったが、映画「崖上のスパイ」を見に行った。
私にとっては久しぶりのチャン・イーモウ作品であった。
私も従来の生活を取り戻しつつある。
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イニシェリン島の精霊

2023年02月09日 | 映画
「イニシェリン島の精霊」

監督 マーティン・マクドナー
出演 コリン・ファレル ブレンダン・グリーソン ケリー・コンドン
   バリー・キオガン ゲイリー・ライドン パット・ショート

ストーリー
1923年、アイルランドの孤島“イニシェリン島”。
島の向こうの本土では依然として内戦が繰り広げられていた時代である。
島民全員が顔見知りののどかな島で、純朴な男パードリックと音楽家で飲み仲間のコルムは、長年友情を育んできた親友同士。
ところがある日、パードリックはコルムから一方的に絶縁を宣言されてしまう。
理由もわからず激しく動揺するパードリック。
諦めきれないパードリックに対してコルムは「これ以上話をしようとすれば自分の左指1本を切り落とす」と突拍子もない宣言をした。
一方でパードリックは友人ドミニクを父親の暴力から救うために家に泊める優しさを見せたのだが、しかしドミニクの父親の逆鱗に触れて暴力を受けてしまう。
そこで助け舟を出してくれたのはあのコルムだった。
2人の関係が修復するかに思われたが、コルムはパードリックのしつこい行動に嫌気が差していた。
そしてついにコルムは左指を一本切断し、パードリックの家に投げつけた。
パードリックは島を離れる妹の荷物運びを手伝った帰りに左手の指を全て失ったコルムと出会う。
家に投げつけられた指をパードリックの友人ともいえるロバのジェニーが誤飲し亡くなってしまっていたので、パードリックはコルムを叱責する。
さらに明日の2時に家を燃やすと宣言し、翌日コルムの家は跡形もなくなっていた。


寸評
イニシェリン島は終始薄暗く見えない壁に包囲された孤島である。
海を隔てた本土では内戦が繰り広げられていて砲弾の音が聞こえてくる。
そんな危険な向こう側には行きたくないというのが普通の人間の気持ちだと思うが、この閉ざされた世界にだけ留まることの方がよっぽど恐ろしいのだと感じさせる。
パードリックの妹シボーンは島を離れるが、外の世界は素晴らしいと告げてくる。
今の状況に安住しているのではなく、常に進歩を目指し変革を求めることで新たな世界を発見できる。
イニシェリン島は我々の社会そのものなのだ。

不毛な人間のやりとりは愉快だが、描かれる内容はショッキングだ。
パードリックは親友のように付き合っていたコルムからある日絶縁を言い渡される。
何かのことが原因で疎遠になってしまうことは我々の周りでも起き得ることであろう。
パードリックはその原因をコルムから説明されても理解できない。
コルムがパードリックを拒絶するために取る方法は現実離れしているが、すさまじいものである。
それほどまでに拒絶するのかと思っていれば、パードリックがドミニクの父親の警官から暴力を受ければ助け舟を出してやっている。
パードリックがドミニクを父親の暴力から救ってやるのは、いじめっ子に救いの手を差し伸べる優しさの様なものだ。
人はそのような優しい一面を持っているが、内に秘めた悪魔的な感情も有している。
コルムとパードリックの間に起きていることを見て、僕は現実の家庭で起きていることを思い浮かべていた。
夫婦の一方は心の内では離婚を望んでいるが、慰謝料やら離婚後の経済的なことを考えて我慢して関係を維持している状況だ。
他方は相手が秘かに離婚を望んでいることを夢にも思っていないし、その原因が何かを全く気付いていない。
表面上は仲の良さを装いながら過ごしている夫婦は随分といると思う。

ロバのジェニーが死んだことで、今度はパードリックがコルムを憎むようになる。
二人の関係が最悪となることが決定的なのだが、それでも友情は続いているということを思わせるラストは余りにも人間の愚かさを著していて、ある意味でのブラック・ジョークとなっている。
僕はこの映画を、「あるよなあ・・・このような気持ちと関係・・・」と思いながら見続けていた。
いやはや、人間関係は複雑で不思議なものでもある。
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活動再開

2023年02月08日 | 映画
コロナ禍の為に映画館から足が遠のいていた。
自粛しているうちに映画館に行くことを忘れてしまっていたようだ。
今年は何とかコロナ前に戻そうと思う。
それで今年初めての映画館となった。

作品は「スリー・ビルボード」の監督、マーティン・マクドナーの新作「イニシェリン島の精霊」。
ブラック・ユーモアと言えば、言えなくもないが笑える話ではない。
イニシェリン島は我々の社会そのもので、人間関係の危うさと面白さを感じた作品でした。
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