東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 地主が突然底地を売却、どのようなことに注意をしたらよいか

2011年02月21日 | 地上げ・借地権(底地)売買

(問) 地主から突然底地を売却したので、今後は新しい地主と話し合ってくださいという通知が来ました。私に無断で底地を売却することは出来るのですか。また、新しい地主は底地をの売買を専門にしている業者と聞いていますが、どのようことに注意したらよいのでしょうか。


(答) 最近、地主は相続などで、借地の処分をするときに借地人に買い取って欲しいなどの希望を伝えずにこのような業者に一括して借地を売却する事例が増えています。新聞やインターネット上でもこのような業者が宣伝をしています。

 地主は借地人の承諾なくして底地を売却することは可能です。逆に借地人は、地主の承諾なくして借地上の建物(借地権)を第三者に譲渡したりするとはできません(*)。

 このような底地を買い取った新しい地主は、そのほとんどが底地の売買を業務としていますので、「底地を買い取るか、借地権を売却するか、どちらかだ。借地の継続は一切認めない」と強圧的に言ってくる業者もいます。そのような業者の中には、契約は**年前に終了し、再契約がなされていないので売るか買うかしなければ更地にして明け渡せと法律上の借地人の権利を無視して脅かしをかけるてくる業者もいます。

 一帯がこのような業者に買い取られたならば、みんなで借地借家人組合に入会して対抗していくことが望ましいのです。その後の対応など、少しでも不明な点や不安の点がある場合は組合まで相談してください。

 

全国借地借家人新聞より


(*)民法612条は「①賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、または賃借物を転貸することができない。②賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用または収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」と規定している。

 しかし、民法の特別法である借地借家法19条は地主の承諾がなくても裁判所の代諾許可があれば、第三者への譲渡は認められると規定している。

借地借家法
土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可
第19条  借地権者(借地人)が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者(地主)に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。

 借地借家法19条 の規定による借地権譲渡承諾に関する裁判所の譲渡許可を受ければ、地主が譲渡に反対しも、その承諾がなくても、適法に借地権の第三者への譲渡は可能である。裁判所が認める譲渡許可承諾料は、概ね借地権価格の10%前後であり、それだけの承諾料(名義書換料)を借地人が地主へ支払えば許可されるということである。

 底地を買うか、借地権を売るかは借地人が判断することで、地上げ屋にとやかく言われる筋合いはない。借地権を売るという場合でも、買い叩かれることは目に見えている地上げ屋に売る必要はない。借地借家法19条を使って高く買ってくれる第三者に売ることもできる。また、借地のままでいるという選択肢は当然ある。

 それよりも、地上げ業者が本当に所有権移転登記を完了しているかを調べる必要がある。賃貸不動産の譲受人は所有権移転登記をしない限り賃借人に対して所有権の取得、賃貸人たる地位の承継を主張することが出来ない。賃借人は民法177条の第三者に該当し、譲受人の移転登記がない場合には賃料請求をすることが出来ない」最高裁1974年3月 19日判決)。

 前地主と底地の売買が完了していたとしても、所有権移転登記が済んでいなければ、新所有者として認められない。当然地代の請求があっても地上げ業者に支払う必要もない。債権譲渡の通知を受けたが、借地人が賃料の支払の相手が誰なのか断定出来ない場合、「債権者が確知できない」との供託事由により供託することが出来る。供託に関しては各組合へ問合せて下さい。

 地代の値上げ請求なども埒外である。立退請求を要求する権利などもあり得ない。1974年最高裁の判例では、新所有者が賃借人の賃借権を否定して明渡を請求する場合にも、登記を具備する必要があるとしている。   ・・・・(東京・台東借地借家人組合)

参考記事
 【Q&A】 地代を誰に払えばいいのか判らない場合 

 

東京・台東借地借家人組合

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