東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

事業用定期借地権の存続期間延長 (2)

2007年12月16日 | 定期借家・定期借地契約

 2007年12月14日、事業用定期借地権の存続期間延長法案が参院本会議で賛成多数で可決、成立した。

 現行の「事業用借地権」(借地借家法24条)は借地存続期間が「10年以上20年以下」と規定されている。その存続期間を「10年以上30年未満」(改正借地借家法23条2項)に変更して存続期間を10延長した。また、「30年以上50年未満」(改正借地借家法23条1項)を新設した。更に名称も「事業用借地権」から「事業用定期借地権」に変更された。

 今回新設された23条1項は、公正証書で契約すれば、特約によって①更新を認めない、②再築による期間延長がない、③建物買取請求権を認めない、ことが出来る。

 換言すれば、「事業用定期借地権」であるから、契約の更新は認められないが、当事者の合意があれば、再契約は勿論認められる。また、特約によって、建物再築による存続期間延長も可能であるが、その場合は50年未満の要件に合致していなければならない。更に「建物買取請求権」を認める「事業用定期借地権」も許容されるということである。

 しかし、23条2項は、従前と同じで公正証書で契約すれば、条文で上記の①~③は禁止措置が採られているので、①~③の特約をしなくても、正当事由による更新制度(借地借家法5条・6条)、建物再築による存続期間延長制度(借地借家法7条)及び建物買取請求権(借地借家法13条)認められない。

 なお、この存続期間延長の改正借地借家法23条は2008(平成20)年1月1日から施行される。


 以下の青字部分が改正されたところ。主な改正点は、現行の23条→24条、24条→23条に入れ替え、青字部分を追加した。


 (定期借地権)
 第22条 存続期間を50年以上として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含。次条第1項において同じ)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。

 (事業用定期借地権等)
 第23条 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定よる買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。

 2 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。

 3 前2項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。


 (建物譲渡特約付借地権)
 第24条 借地権を設定する場合(前条2項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第9条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後30年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。

2 前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。

3 第1項の特約がある場合において、借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間でその建物につき第38条第1項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。

 

東京・台東借地借家人組合

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