東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を自ら守るために、
自主的に組織された借地借家人のための組合です。

東京・台東借地借家人組合

借地借家人組合に加入して、
居住と営業する権利を守ろう。

無料電話相談は050-3656-8224(IP電話)
受付は月曜日~金曜日(午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )

 尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 

築後80年以上の長屋の明渡請求訴訟で朽廃が否定された (東京・台東区)

2010年01月04日 | 建物明渡(借家)・立退料

 島田さんは台東区三ノ輪の借家に昭和50年3月から居住している。この借家は島田さんの奥さんの生家であり、奥さんの親が昭和11年から借りていたものを承継したものである。家賃は1か月3万6500円である。

 建物は昭和2年8月に保存登記されたもので、既に築後80年以上を経過した3軒長屋である。島田さんは、その中央部分を借りている。

 現在の家主は長屋の隣のビルに住む自営業者である。平成16年5月に、地主に承諾料70万円を支払い、月額地代を4万5000円を支払う約束で、それまでの家主から借地権付き建物(評価額は5570万円)を1800万円で購入した。

 家主は自己所有地上に鉄筋コンクリート4階建ビルを所有している。そのビルと長屋を取壊して所有地と借地に跨る建物を建築する心積もりであった。

 家主は平成17年7月に建物の明渡請求をして来た。同時に家主は同年7月に建築会社と新築工事の請負契約を結んでいた。その後、建築会社と家主の執拗な立退き交渉と嫌がらせ攻撃が日毎に激しさを増してきた。

 家主は平成18年1月26日に建物の老朽化を理由に東京地裁へ建物明渡請求訴訟を提起してきた。
 裁判の争点は①本件建物が朽廃しているのか、②家主の解約申し入れについて正当事由が認められるのかが争われた。

 家主側は1級建築士による調査報告書に基づいて、「本件建物は一般人が居住するには不適切建物であり、地震時には倒壊の可能性もあり、危険な建物である。建物は自然的腐食状態によって建物の社会的経済的効用を失った状態にあって、既に朽廃している。したがって、本件建物部分の本件賃貸借契約は終了した」と主張した。

 借家人側は朽廃に関して、「本件建物は長期間家族が居住し使用してきたものであり、両隣の空室とは全く異なり、十分使用に耐え得るものであり、現に使用できているものである」と朽廃を否定した。

 借家人側は朽廃調査に関しては、「両隣の空家の調査に基づく「調査報告書」は本件建物を直接調査したものではなく、構造物の腐食・損傷の指摘も、地震による倒壊の危険性の意見も本件建物以外の部分を撮影又は調査したものに基づく結果に過ぎず、本件建物部分について、何ら客観的資料を示すものではない」と反駁した。

 裁判所は、家主側が「建物朽廃」の根拠としている「写真撮影報告書」及び「調査報告書」は現物建物を実際に調査したものでないことを指摘し、「同報告書の耐震性に関する意見についても本件建物部分以外の本件建物を調査した結果に止まるものであることに照らすと、原告の主張は、採用することができない」として、明渡請求には理由がない判示とした。
 結果、東京地方裁判所は家主の請求を棄却した。  

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。