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【Q&A】 建物朽廃と同時に借地権は消滅すると書き加えられた特約は有効なのか

2009年04月02日 | 契約・更新・特約

(問) 過去に合意で借地の更新を2回している。今回期間20年の借地の合意更新の際に、契約書に「建物の朽廃と同時に借地権は消滅する」という特約事項を新たに書き加えられたが、このような特約は有効なのか。


(答) 「借地借家法」(平成4年8月1日施行)には「朽廃」に関する規定は置かれなかった。そのため建物が朽廃しても借地権は消滅しない(同法3条)。朽廃は「滅失」の場合として処理され、借地権の消滅原因ではなくなった。しかし「借地借家法」以前に設定された借地権に関しては、借地上の建物の朽廃に関する経過措置(借地借家法附則5条)によって「借地法」の「朽廃」規定が適用される。

 朽廃は、一般的にいう建物に生じた自然的腐蝕状態によって建物の社会的・経済的効用を喪失した状態をいう。朽廃した時点で借地権は消滅する。火災・地震・台風・水害等外部からの力で倒壊した場合の「滅失」とは異なる概念である。建物が「滅失」しても勿論借地権は消滅しない。

 更新後に「朽廃」の規定が問題になるのは、借地権の存続期間が当事者の合意よるものではなく法律の定めによって確定したものの場合である。

 例えば、
①継続使用による法定更新の場合(借地法6条1項)、
②更新請求による更新の場合(同法4条1項)、
③合意更新で更新後の期間を定めなかった場合(同法5条1項)、
期間を取決めたが法定期間よりも短い期間を定めた場合
以上①~④の更新後の法定存続期間(*)中に建物が「朽廃」すると借地権は消滅する。

(*)更新契約によって更新後の期間を定めなかった時の存続期間は、更新の時から起算して、堅固建物については30年、非堅固建物については20年とする(借地法5条1項)。

 しかし「存続期間の約定のある借地権は、借地法2条1項により存続期間を法定された借地権とは違って、その存続中に借地上の建物が朽廃しても消滅しないのであり、約定の残存期間があれば、その間は存続する」(最高裁昭和37年7月19日判決、最高裁判所民事判例集10巻8号1566頁)。

 即ち、借地契約で鉄骨建物等の堅固建物の存続期間を30年以上、木造建物等の非堅固建物の場合は20年以上と定めた場合は、建物が朽廃しても残存期間があれば、借地権は消滅しない。

 これは当事者が合意で法定存続期間以上の借地期間定めた場合、地主は土地使用権を借地人に与えることを契約で明確に意思表示しているので、法律はその意思に従った効果をそのまま認めるということである。従って、建物が契約期間中に朽廃しても借地権を消滅させずに、期間が満了するまで、借地権をそのまま存続させるという訳である(借地法2条2項及び同5条2項)。

 結論、借地法2条2項(強行規定)では、契約で存続期間を定めた借地権は、その期間の満了によって消滅すると規定されている。これに違反する「朽廃」特約は、仮に当事者の合意で定めても「借地法11条」(強行規定)の「 第2条、第4条~第8条の2、第9条の2(第9条の4でこれを準用する場合を含む)及び10条の規定に反する契約条件で、借地人に不利なものはこれを定めなかったものとして扱う。」の規定により、無効とされる。

 


 

借地借家法
第3条
 借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。

(借地上の建物の朽廃に関する経過措置)
附則 第5条
 この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の朽廃による消滅に関しては、なお従前の例による。

借地法
第2条
 ① 借地権の存続期間は、石造、土蔵、煉瓦造または、これに類する堅固な建物の所有を目的とするものについては60年、その他の建物所有を目的とするものについては30年とする。ただし建物がこの期間の満了前に朽廃したときは、借地権は、これによって消滅する。
 ② 契約で、堅固な建物について30年以上、その他の建物について20年以上の存続期間を定めたときは、借地権は前項の規定にかかわらず、その期間の満了により消滅する。

第4条
 ① 借地権が消滅した場合に、借地権者が契約の更新を請求したときは、その借地上に建物がある場合に限って以前の契約と同じ条件の借地権が設定されたものと見なされる。ただし土地所有者の側に、自分でその土地を所有するなど正当な事情があって、所有者が遅滞なく異議を述べた場合は、更新されない。
 ② 契約の更新が行われなかった場合、借地権者は、それまでに自分の権原に基づいて借地に付属した建物等を、買い取るよう請求することができる。
 ③ 第5条1項の規定は、1項の場合に準用される。

第5条
 ① 当事者が契約を更新するにおいては、借地権の存続期間は更新の時より起算して堅固の建物については、30年、その他の建物については20年とする。この場合は第2条第1項但書の規定を準用する。
 ② 当事者が前項の規定する期間より長い期間を定めたときは、その定めに従う。

第6条
 ① 借地権者が、借地権の消滅後土地の使用を継続する場合においては、土地の所有者が遅滞なく異議を述べない時は、前の契約を持って、更に借地権を設定したものとみなす。この場合においては、前条第1項の規定を準用する。
 ② 前項の場合において建物があるときは、土地の所有者は、第4条第1項の但書に規定する事由が無い場合は、異議を述べることができない。 

第11条
 2条、4条~8条の2、9条の2(9条の4準用含む)および10条の規定に反する契約条件で、借地権者に不利なものは結ばなかったものとして扱う。

 

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