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【判例紹介】 *賃料増額請求権は一定期間が経過しなくても、賃料が不相当になれば認められる

2007年10月30日 | 家賃の減額(増額)

 判例紹介

 賃料増額請求権の行使には、現行の賃料が定められた時から一定の期間が経過していることは不要であり、右一定期間が経過しなくても、賃料が不相当になれば、賃料増額請求は認められる。 最高裁第2小法廷平成3年11月29日判決

 (事案)
 X(賃貸人)は、その所有建物を賃貸していたY(賃借人)に対し、昭和63年4月12日、賃料を同年5月20日から現行の月額40万円余から60万円へと増額する旨の意思表示をし、訴訟を提起した。

 現行賃料に改定されたのが昭和61年10月1日で、今回の増額請求がされるまで1年半余しか経過していなかったため、裁判では、増額請求の効力が争われた。

 1審判決は、
 現行賃料が改定されてから約1年半しか経過していない場合、その間によほどの事情の変化がなければ、現行賃料が不相当になったとはいえず賃料増額請求は認められない、本件ではそのような事情の変化はない、として、Xの請求を棄却。Xは控訴。

 2審判決は、
 ①賃料増額請求には、現行賃料の改定時期から相当期間(本件では2年)が経過していることが必要だから、Xの賃料増額請求は要件を満たしていない、

 ②しかしXの賃料増額の意思表示は、訴訟の提起・追行によって維持されているから、2年を経過した昭和62年10月1日の時点で効力を生じる、として、昭和63年10月1日から1審の鑑定額(月53万4700円)の限度で賃料増額を認めた。Y上告。

 (判決)
 基本判決は、2審判決の①の判断を否定し、現行賃料の改定時からの一定期間の経過は賃料増額の要件ではないとした。その理由は以下のとおり。

 「建物の賃貸人が借家法7条1項の規定に基づいてした賃料の増額請求が認められるには、建物に対する公租公課その他の負担増減、土地又は建物の価格高低、比隣の建物の賃料に比較して不相当となれば足りるものであって、現行の賃料が定められた時から一定の期間を経過しているか否かは賃料が不相当となったか否かを判断する一つの事情にすぎない。

 従って、現行賃料が定められた時から一定の期間を経過していないことを理由として、その間に賃料が不相当となっているにもかかわらず、賃料の増額請求を否定することは、同条の趣旨に反するものといわなければならない」。

 また、2審判決の②の判断について、判決は、過去の最高裁判例を引用して、賃料増額の裁判を追行していてもXの賃料増額請求の意思表示が維持されることはなく訴訟継続中に賃料増額を相当とする事情が生じた場合には、改めて賃料増額の意思表示をしなければ、賃料増額は認められないとした。

 (寸評)
 この最高裁判決は、賃料増額請求が認められるかどうかは、現行賃料が不相当となったか否かに尽きるということを明らかにしたものである。バブル崩壊後、賃料の値崩れ現象も生じている現在、賃料減額請求を考えるにあたっても参考になると思われる。 

(1993.05.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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