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【判例紹介】 敷引特約は消費者契約法10条に反して無効 神戸地裁が判決

2006年01月15日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 判例紹介


 神戸地方裁判所は、平成17年7月14日の判決で、敷引特約は消費者契約法10条により、無効であるとし、敷金30万円から差し引いた25万円を、賃借人に全額返還するよう命じた。

 ●050714 神戸地裁 エイブル
 ●神戸地裁 平成16年(レ)第109号 保証金返還控訴事件(平成17年7月14日言渡)
 ●裁判官 村岡泰行、三井教匡、山下隼人(第5民事部)  ●代理人 松丸 他
 ●原審 神戸簡裁 平成16年(ハ)第17056号

  ●要旨
   事案の概要
  賃借人(控訴人)は、平成15年8月、家賃月5万6000円(共益費月6000円)、賃借期間2年との内容で建物の賃貸借契約をし、約7カ月間居住していたが、平成16年2月に同契約を解約した。

  この賃貸借契約には、保証金(敷金)として30万円を差し入れることになっていたが、契約終了時に敷引金として25万円を控除して、残余の5万円を返還するとの特約(敷引特約)が付けられていた。

  賃借人は、このような敷引特約は消費者契約法10条に違反し無効であるとして、保証金返還請求権に基づき、敷引金に対応する保証金25万円の返還を求めた。  

  裁判所は敷引金の性質について検討した。、
  (1) 契約成立の謝礼、
  (2) 自然損耗の修繕費用、
  (3) 契約更新料免除の対価、
  (4) 契約終了後の空室賃料、
  (5) 賃料を低額にすることの代償などのさまざまな要素を有するものが渾然一体となったもの、

 (1) の要素については、賃借人に一方的に負担を負わせるものであり、正当な理由を見いだすことはできない。

  (2) の要素については、賃料に加えて二重の負担を強いることになる。

  (3) の要素については、賃借人のみが更新料を負担しなければならない正当な理由を見いだすことはできず、しかも、賃借人としては、契約が更新されるか否かにかかわらず、更新料免除の対価として敷引の負担を強いられるのであるから、不合理である。

  (4) の要素については、賃借人が使用収益しない期間の空室の賃料を支払わなければならない理由はなく、賃貸人が自らの努力で新たな賃借人を見つけることによって回避すべき問題である。

  (5) の要素については、賃料の減額の程度が敷引金に相応するものであるかはどうかは判然とせず、また、賃貸期間の長短にかかわらず、敷引金として一定額を負担することに合理性があるとは思えないとした。

  「以上で検討したとおり、本件敷引金の(1)ないし(5)の性質から見ると、賃借人に本件敷引金を負担させることに正当な理由を見いだすことはでず一方的で不合理な負担を強いているものといわざるを得ない。
 そして、本件敷引金に上記(1)ないし(5)で検討した以外に、賃借人に賃料に加えて本件敷引金の負担を強いることに正当な理由があることを裏付けるような要素があるとも考え難い。

 さらに、敷引特約は、賃貸目的物件について予め付されているものであり、賃借人が敷引金の減額交渉をする余地はあるとしても、賃貸事業者(又はその仲介業者)と消費者である賃借人の交渉カの差からすれば、賃借人の交渉によって敷引特約自体を排除させることは困難であると考えられる。

 これに加え、上記のとおり、関西地区における不動産賃貸借において敷引特約が付されることが慣行となっていることからしても、賃借人の交渉努力によって敷引特約を排除することは困難であり、賃貸事業者が消費者である賃借人に敷引特約を一方的に押しつけている状況にあるといっても過言ではない。

 以上で検討したところを総合考慮すると、本件敷引特約は、信義則に違反して賃借人の利益を一方的に害するものと認められる。

  したがって、本件敷引特約は、賃貸借契約に関する任意規定の適用による場合に比し、賃借人の義務を加重し、信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであるから、消費者契約法10条により無効である。

 

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