東京・台東借地借家人組合1

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2001(平成13)年度宅建問題(借地借家法関係)

2005年12月29日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 旧・借地法の経過措置
 〔問12〕
 Aは,昭和46年(西暦1971年)8月,Bから,その所有地を,建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃借し,その後A所有の建物を同土地上に建築し,A名義の所有権保存登記をしてきた。この場合,借地借家法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。


  平成13年(西暦2001年)8月の契約更新時に,AB間の合意により,更新後の存続期間を10年と定めることができる。

 2 平成13年8月の契約更新時に,AB間の合意により,今回の更新は旧借地法によるものとするが,次回以降の更新は借地借家法本則によるものとする旨定めることができる。

  Aは平成1 2年7月に再築のため建物を取り壊し,土地の上の見やすい場所に<旧建物を特定するために必要な事項,取り壊した日,建物を新たに築造する旨>を掲示した。この掲示が存続していれば,建物が未完成でも,平成13年8月時点で,Aは本件借地権を第三者に対抗できる。

  平成13年8月の契約更新後,更新期間満了前に,本件借地上のA所有建物が朽廃した場合,本件借地権は消滅しない。


  減額請求権
〔問13〕 賃貸人A(個人)と賃借人B(個人)との間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。


 1 Bが家賃減額の請求をしたが,家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは,Aは,その裁判が確定するまでの期間は,Aが相当と認める金額の家賃を支払うようにBに請求できる。

  Bが家賃減額の請求をしたが,家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは,その請求にかかる一定額の減額を正当とする裁判が確定した時点以降分の家賃が減額される。

  家賃が,近傍同種の建物の家賃に比較して不相当に高額になったときは,契約の条件にかかわらず,Bは,将来に向かって家賃の減額を請求することができる。

  AB間で,3年間は家賃を減額しない旨特に書面で合意した場合,その特約は効力を有しない。


  〔問12〕 正解  1(X)  2(X)  3(0)  4(X)

  〔問13〕 正解  1〔0〕  2(X)  3(0)  4(0)
  〔問12〕の解説
 1 この問題での借地権は、現行の借地借家法の施行日(平成4年8月1日)よりも前に、当時の借地法に基づいて設定されているため、更新については旧法の借地法が適用される(借地借家法・附則6条)


 

 更新後の存続期間は、堅固な建物は30年、その他の建物は20年(借地法5条1項、4条3項)。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間(借地法5条2項)となる。  このため、10年という更新後の存続期間は、借地権者には不利な特約となるため、借地法11条の規定により存続期間10年と定めたとしても無効になり、更新後の存続期間の定めがなかったことになる。従って、堅固な建物所有目的の借地権の場合は30年、非堅固な建物所有目的の借地権の場合は20年と法定される。従って、1間違い

  (借地契約の更新に関する経過措置) 第6条この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による借地借家法・附則6条)

 仮に、当事者の合意があっても、旧法の借地法施行時の借地契約を更新しない旨の特約を結び、新たに借地借家法を適用させることは、借地法の更新の規定に違反する特約となり、その特約は無効になる。従って、間違い 

3 借地借家法 第10条(借地権の対抗力等)
 1 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。 

 2 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

 ※「建物を特定するために必要な事項」とは,建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積・所有者などの登記での表示事項と解されている。従って、滅失した建物に登記がある場合に限られる。

  登記をしていれば,掲示を見た人は登記所〔法務局〕で,閉鎖登記簿〔建物の滅失登記をしていた場合〕または滅失した建物の従前の登記〔建物の滅失の登記をしていない場合〕を閲覧することによって建物が存在していたことを確認できるからでる。従って、正しい

  借地期間を当事者間の合意の上で有効な存続期間(堅固建物のは30年以上、非堅固建物は20年以上)をと定めた場合は、建物が朽廃しても借地権は消滅しない
 しかし、最初の存続期間、更新後の存続期間のどちらでも、当事者間で有効な存続期間の定めをしていない場合は、建物が朽廃すれば、借地権は消滅する。 

 即ち、①更新後の存続期間に定め自体がそもそもない場合或は②更新後の存続期間に定めがあっても堅固な建物所有のときは30年未満、非堅固な建物所有目的のときは20年未満の場合、このような場合は、期間の定めは無効になり、更新後の存続期間の定めのないものとして堅固な建物所有のときは30年、非堅固な建物所有目的のときは20年に法定される。従って、このような場合〔法定更新も含まれる〕は期間満了前に建物が朽廃すれば、借地権は消滅する。

 問題文では「契約更新後」と書かれているだけで、有効な存続期間を定めた場合なのか、無効な存続期間の定めた場合なのかは判然としない。従って、無効な存続期間の定めた場合であれば、建物が朽廃すれば、借地権は消滅するので間違い
  〔問13〕の解説


 

  借賃の減額請求について協議が調わず裁判になったとき,賃貸人は,その裁判で減額が確定するまでの期間は,賃貸人自身が「相当と認める額」の家賃を支払うように賃借人に対して請求することができる(借地借家法32条3項)。

 家主が「相当と認める額」に関しては、東京地裁1998年5月29日判決で「裁判が確定までの間は賃借人には『賃貸人が相当と認める額』の賃料支払義務がある」として、その賃料は「特段の事情のない限り、従前の賃料と同額であると推定することが相当である」としている。 

 この規定があるにもかかわらず,賃貸人の請求金額を支払わずに,賃借人が自分が相当と認める額〔賃貸人の請求額より少ない額〕を支払い続けた場合は,借賃不払いによる解除裁判所により認められる場合がある。従って、1正しい

  裁判で減額が確定し,既に支払いを受けた建物の借賃の額が正当とされた借賃の額を超えているときは,賃貸人は,その超過額に年1割の受領の時からの利息をつけて返還しなければならない(借地借家法32条3項但書)。

 受領の時からの超過額・利息というのは,「賃料減額請求は、請求者の意思表示が相手方に到達した日の分から、その効果が生ずる」最高裁1970年5月6日判決)ということで減額請求の意思表示をした時からのものなので「減額を正当とする裁判が確定した時点以降分の家賃が減額」というのは間違い

 3  建物の借賃が, 土地・建物に対する租税その他の負担の増減により,土地・建物の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動により,近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは, 契約の条件にかかわらず, 当事者〔賃借人・賃貸人〕は,将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができます〔借地借家法32条1項〕。従って、正しい

  建物の借賃が不相当になったときは,契約の条件にかかわらず減額請求することができ,仮に家賃を減額しない旨の書面での特約があったとしても,減額請求権を排除することは出来ない。従ってこの減額請求権を排除する特約は無効である。従って、正しい
 
但し、当事者間に「一定の期間借賃を増額しない旨の特約がある場合は有効であり,事情が変更したとしても,原則としてその期間は賃料の増額を賃貸人は請求することができない(借地借家法32条1項但書)。 

 

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