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東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 借地契約の期間満了による将来の明渡請求が否定された事例

2008年09月08日 | 土地明渡(借地)

 判例紹介


 借地契約の期間満了による将来の明渡請求が否定された事例 (東京地裁平成6年8月29日判決、判例時報1534号74頁)

 (事実)
 地主は借地人に対し、普通建物所有を目的し、期間昭和51年9月16日から平成8年9月15日までの20年間の役で土地を賃借していたところ、借地契約の期間満了前に、右満了時における借地上建物の収去・土地明渡を求めた。

 地主は、その理由として借地人が期間満了の際に明渡請求に応じないおそれがあること、更新拒絶の正当事由として、住友不動産と共同して、高層ビル建築を計画していること、本件土地周辺は、高度利用が進行し高層ビル建築が港区の施策にも合致していること、立退料として金1億8000万円或は相当額を支払う用意があること、右事情が期間満了まで存続することを主張した。

 借地人は、本件土地賃貸借は、期間満了までには権利関係及び事実関係の変動が予測され、現時点で、期間満了時における正当事由の有無を判断することは不可能であると主張した。

 (争点)
 本件訴えが将来の給付の訴えの適格を有するか否かである。

 (判決要旨)
 裁判所は、
 「正当の事由は、期間満了時を判断基準として、右時点における地主と借地人の土地の利用を必要とする事情、借地に関する従前の経過および土地の利用状況、地主の申出た立退料その他諸般の事実関係を総合考慮して決定されるところ、その基礎となる事実関係は、地主及び借地人の個別的な事情の変化はもとより、社会の状況、経済の動向等によっても様々な変動が生じ得る極めて浮動的な性格のものであることは明らかであり、地主が申出た立退料の額の当否等をあらかじめ確定することも甚だ困難あるといわなければならない。本件においては、口頭弁論終結時(平成6年7月25日)から本件賃貸借契約の期間満了時(平成8年9月15日)まで約2年2か月近くを残しているのであり、期間満了時における本件明渡請求権の成否及びその内容についての事情の変動を現時点において明確に予測することは到底不可能である。よって、本件訴えの適格を有しないものというべきである。」と判示した。

 (短評)
 都心部における再開発がらみの事案では、明渡を求めるため、相当額の立退料を提供して正当事由を補強し、合わせて賃貸借期間が来ていない場合には、将来の明渡請求を求めるケースがままあるが、期間満了時まで相当期間がある場合、本来の正当事由制度を踏まえて訴えの利益がないとした本判決は当然とはいえ評価できる。

(1995.10.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 立退料の提供をしても借地更新拒絶の正当事由の充足はないとした事例

2008年06月27日 | 土地明渡(借地)

 判例紹介

 6000万円の立退料の提供をもっても、借地の更新拒絶の正当事由の充足はないとした事例 (東京地裁平成元年3月24日判決

 (事実)
 Yらの先々代は、大正10年頃から本件土地を訴外Aから建物所有の目的で賃借した。その後、先代は死亡し、その子であるYの先代が相続していたが、これまた死亡し、昭和27年5月にYらが本件土地の賃借権を共同相続していた。

 訴外Aも昭和45年10月に本件土地を訴外Bに譲渡したが、その翌年より同人とYらの間で地代増額をめぐって折合がつかず、Yらはそれ以降弁済供託を始めた。

 その後、訴外Bも昭和52年7月に本件土地をXに譲渡した。Xも地代の受領を拒絶し、Yらは弁済供託し、Yらの供託は通算して約16年もの長期に及んだ。

 Xの関係する訴外会社は、本件土地周辺の土地を次々と買収し、マンションを建て、本件周辺の土地上の建物はYらの木造平屋建建物を除き高層化するに至った。昭和62年11月、Xは自らの居住用も含めて訴外会社の経営の建直しを考えて、本件土地及び周辺地を利用してのマンションの建築を計画し、これらを正当事由として本件土地賃貸借契約の更新拒絶をなすに至った。

 Yらは本件土地35坪の上に大正10年頃築造(その後、一部修繕)した木造平屋建建物13坪を所有し、姉妹2人(いずれも無職、1人は病気で就労不能)で居住している。XはYらに訴訟中に本件土地上に新築するマンションの1階部分の一部と5000万円の提供を申出たが、Yらは拒否した。

 そこで、Xは正当事由の補充として6000万円の提供を申立、本件土地の明渡しを求めた事案である。

 (判旨)
 「正当事由が十分でない場合には立退き料の提供という負担付土地明渡す請求をすることによって更新拒絶に際しての正当事由の充足を保つことが可能となる場合があることは否定できないが、本件においては前判決の通り、本件土地使用の必要性について、原告と被告らの間にその度合において著しい格差があり、立退料の提供という事情のみをもってしては、右必要性の格差を到底埋めるものではないから、原告の右立退料の提供によって、本件更新拒絶の正当事由の充足がなされたものとは考えることができない」

 (寸評)
 本件は典型的な土地の有効利用を正面に掲げての正当事由をめぐる争いであった。現行法からすれば判決は当然の結論といえる。

 なお、Yらは東借連に結集する組合員である。

(1989.05.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 地主が土地の有効利用を問題にして起した明渡請求が棄却された事例

2008年06月26日 | 土地明渡(借地)

 判例紹介 

 地主が自己使用を理由に、土地の有効利用を問題にしつつ、5500万円の立退料を堤供してなした土地明渡請求が棄却された事例 (東京高裁昭和60年12月24日判決

 (事案)
 借地人は先代地主より杉並区に90坪の土地を借り受け、そこに建坪17坪の家屋を建てて昭和10年以来住み、現在は妻と2人で暮らしている明治36年生まれの老人(当時83歳)である。左脚骨髄炎による歩行困難に加え、酢年前に肺炎・胃潰瘍等を患い、現在も体調は一進一退であり、近くのアパートに住む四女の世話を受けている。

 地主は大正4年生まれの女性(当時71歳)であり、現在息子所有の神田錦町の7階ビルの7階2室に居住して、階下の二男夫婦の世話を受けている。視力が著しく衰えたうえ、騒音・悪臭等環境が悪いので、夫が昭和56年に死亡したのを契機に、本件借地の明渡を受け、そこに長男一家と自分のために住宅を2棟建て移転したいと考えた。

 そこで立退料5500万円若しくは近隣の土地40坪の所有権譲渡と引き換えに本件借地の明渡を求めてきた。

 (判旨)
 高等裁判所は、(事案)で紹介した事実をすべて認めたうえで借地人につき「年齢、健康状態及び日常生活を考えると、今にわかに右居住を移動することは、単なる経済的あるいは感情的理由からばかりでなく、社会的、客観的にみても著しく困難なことと認めざるを得ない。

  本件土地が老夫婦だけで居住するにはかなり広い土地であり、現況での利用効率が高くなく、また、地代が低額に抑えられているからと言って、右の状態にある借地人において本件土地の使用の継続を望むことが社会的、公益的に不合理であり、権利の濫用になるというのは相当ではない」とし、借地人の必要度が地主のそれを上回ると認定し「立退料又は代替土地の提供を申出ていることを考慮しても、正当事由があると認めることはできない」と判断して、地主の土地明渡請求を退けた。

 (短評)
 本件は東借連常任弁護団の2人の弁護士が担当した当組合員の事案である。

 地主(71歳)借地人(83歳)とも老齢であり、5500万円の立退料等やや思い切った条件を提示した地主の言い分は裁判所をそれなりに動かす恐れがあった。加えて90坪の借地に17坪の家屋を建ててそこに夫婦2人で住むという使用形態につき、地主側は土地の有効利用問題を前面に立てて裁判所を動かそうとした。

 このような事案につき、借地人の言い分を認め、地主の請求を退けた本判決の意義は大きいと考え、紹介する次第である。

(1986.09.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 立退料の提供の申出があっても、正当事由が認められなかった事例

2008年06月23日 | 土地明渡(借地)

 判例紹介

 建物所有を目的とする土地賃貸借に関し、土地の経済的資本的利用の目的で更新拒絶し、合わせて立退料を提供する申出をしたにもかかわらず、正当事由が認められないとされた事例 東京地裁昭和61年12月26日判決、判例時報1252号73頁)

 (事案)
 地主は、土地賃貸借契約が昭和61年3月31日期限が満了するのに先立ち、昭和58年1月10日頃更新拒絶の意思表示をした。
 地主は、次のとおり正当事由を主張した。
一、地主の事情
1、地主の所有する土地のうち、商業地域内にあるのは本件土地を含む1筆の土地だけである。
2、地主は、右1筆の土地全体に高層ビルを建築する計画を有している。
3、地主は、立退料として、1500万円を支払う用意がある。

二、借地人の事情
1、本件土地上に建物を所有し、居宅として利用している。
2、本件建物は、木造で、築後60年を経過して、現在では既に老朽化している。
3、借地人は、昭和43年6月頃、昭和54年10月頃、本件建物につき地主に無断で改築・大修繕を行い、信頼関係を破壊した。

 これに対し、借地人は、右地主の土地所有の現況、右土地の利用計画は知らない。本件建物を居宅として利用していることは認め、建物の老朽化を争い、建物の修繕をしたこと認めるが改築・大修繕を行ったことは争った。

 さらに、地主は、本件土地を含む1筆の土地のほかに近隣に数百坪の土地を有し、地宅の敷地のほか、4ヶ所を駐車場等として使用していること、地主の子供たちが、既に全員成人しており、生活に窮するような事情にないこと、他方借地人は、本件建物以外に所有建物がなく、住む場所がないことを主張した。

 (判示)
 本件土地賃貸借契約の更新拒絶に正当事由があるか判断するに、本件建物は、築後60年以上経過した木造建物であって相当程度老朽化しており、他方本件土地が青梅街道に面した商業地域に位置しているので、土地の有効利用、地域開発の見地からすると、高層ビルを建築した方が望ましいが、地主は、近隣に数百坪に及ぶ土地を有し、単に経済的資本的利用の目的で本件建物の明渡しを求めているのである。他方借地人は、本件建物に50年以上居住し、80歳にもなる高齢者で、子供達の援助によって生活を維持している状態からすると、立退料の申出を考慮しても正当事由は充足されるものでない。

 (短評)
 土地の経済的資本的利用と居住目的との質的差を正しく評価した判決といえる。

(1988.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 更地価格の約83%の立退料の提供があっても土地明渡が認められなかった事例

2008年06月02日 | 土地明渡(借地)

 判例紹介

 借地の期間満了に伴う正当事由として自己使用のためのビル建築計画等・更地価格の約83%に相当する立退料の提供があったとしても、木造建物収去土地明渡請求が認められなかった事例 (平成4年6月24日東京高裁判決、判例タイムズ807号239頁以下)

 (事案)
 昭和23年8月頃に木造2階建として建築された都心の中央区銀座すずらん通りの商業地域にある老朽化した建物の明渡請求事件。

 借地人Yは家内営業で靴屋をしているが、従業員はなくYの妻と子で経営している。Yは本件借地の外に都内に53㎡の駐車場を所有。

 昭和43年当時Yと当時の地主との間で昭和52年末までに本件土地上にビルを建築しないときはYが鉄骨耐火構造の建物を新築することを承諾する約定があったが、地主がビルを新築しなかったところ、Yも10年以上も堅固建物の建築が可能であるにも拘らず新築しなかった。

 一審判決は立退き料4億5000万円の支払を条件として地主の請求を認めた。これに対しYは控訴し逆転勝訴した事件である。

 (判旨)
 「被控訴人(地主)は本件土地上に本社ビルを建築して事務所を設ける意向であることが認められるから、被控訴人の自己使用の必要性は一応肯首することができ、また本件建物は改築後既に30年余りを経過した木造建物である上、本件土地は銀座の商業地域、防火地域にあるから、土地の有効利用・地域開発の点からも、本件建物に代えて被控訴人の計画するような耐火性のあるビルを建てることは、地域性に適うものと言えないこともない。しかし被控訴人は本件土地上に借地権が設定され、建物が存在することを認識しながら本件土地を取得したものと見られ、事務所ビルの建築の計画も偶々代物弁済により本件土地を取得したものであり、前示のようなビルの規模も被控訴人の本社及び関連会社の事務所として使用する上で適当かどうか疑問が残る。・・・・・・そうすると、被控訴人の本件土地使用の必要性はそれ程強いものであるとは認め難い」

 「控訴人(借地人)の本件土地使用の必要性は極めて強いものがあり、・・・・・・被控訴人は4億5000万円という高額の立退料提供の申出でをしており、右金額は本件土地の更地価格とされる5億5400万円の約83%余りに当たるけれども、右金額ではほぼ同じ条件の借地を求め店舗も開店することは困難であるに前示の被控訴人の本件土地取得の経緯を考えると、右金額の立退料提供の申出では正当事由が補完されるものとは認め難く結局控訴人の本件土地の継続に対し被控訴人が述べた異議について正当事由が充足されるものとは言えない。」

 (寸評)
 本件は故植木東借連会長(弁護士)が控訴人(借地人)代理となって争われ、一審の判断を覆し逆転勝訴したものである。一審と結論を異にした理由は、地主の土地取得の経緯について感ずる所があったものと推される。正当事由の限界を示す事例として極めて注目されるので紹介した。

(1993.08.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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現行地代の2倍値上げが拒否されると土地明渡請求 (東京・福生市)

2008年04月17日 | 土地明渡(借地)

 JR青梅線福生駅から約200メートル北西に向かった福生市福生でクリーニング取次店を営業するBさんは、昨年11月以来地主の代理人の不動産業者と協議が始まった。当初土地の売買の話があり坪当り30万で売るという話を持ち出しておきながら、地主は坪40万でないと売らないと言い出し、結局地主は気が変わったと言って売買の話は不成立になった。

 更新の話に移り、地主の条件は更新料300万円で地代を現在の倍額年30万円に値上げすると伝えてきた。Bさんは今年に入って組合と相談し、更新料と値上げについて地主側の言いなりにはならないことを打ち合わせた。

 Bさんの態度が変わると更新料250万円まで下げてきたが、Bさんはきっぱり拒否した。

 不動産業者は「地主は弁護士を立て裁判になったら200万から300万かかる。店の前に看板を立てられて商売ができなくなる」と脅してきた。

 その後、直ぐに弁護士から契約解除の脅しの内容証明郵便がきたが、組合から拒否する回答を出したところ、その後何も言ってこなくなった。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地主が借地の明渡を通知してきた (東京・豊島区)

2008年04月11日 | 土地明渡(借地)

 豊島区駒込で借地している10数人のグループは、20年前の更新の際に更新料の問題で地代の受領を拒否された。以来、20年間にわたって供託をしてきた。グループとして毎月第3水曜日に、地代の徴収をかねて全員が集合してきた。

 この間にも、地主からの様々な嫌がらせもあった。修理修繕をしている借地人に対して、大修繕や改築に当たるなどと主張し、中止を要求するなどの行為や大声でわめくなどのいやがらせ行為など後を絶たなかった。

 その地主から、この2月に借地人10数人に内容証明の郵便が送付されてきた。びっくりした借地人は、お世話になっている組合に相談に来た。内容は「この3月で期間満了となるが、更新を拒絶する。現在供託されているお金は、使用損害金の一部として受領する。借地として使用している土地を期限までに明渡すよう通知する」と記載されていた。

 組合と相談し、借地人も現在、借地している土地には建物が存在するので契約を更新し、引き続き住み続ける意思を表明することにした。内容証明で10数人分を送付したところ、地主は内容証明書の受け取りそのものを拒否してきた。正当の事由のない更新拒絶であることを説明し、全員で権利を守ることにした。

 

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地主が土地の有効利用を理由に明渡し訴訟 (東京・大田区)

2007年12月12日 | 土地明渡(借地)

 大田区蒲田本町に居住するAさんは約9坪、Bさんは約12坪の土地を賃借。今年の7月の契約更新に当り更新拒絶を通告され昨年6月組合に入会。

 通知書を見て驚く、借地権を現在の地代の約54年分(Aさん)、約42年分(Bさん)に消費税を加えて買い取るとの内容だった。

 直ちに借地人らは、所有する建物が現存するので借地法第4条による契約の契約更新を請求した。

 しばらくして地主の代理人という、六本木ヒルズに事務所を構える弁護士から内容証明郵便にて、土地の有効利用を理由に更新拒否して地主が提示した金額で買い取るので協議したいと申し込まれた。

 借地人らは、借地権を売却して他に移転する考えはないこと。よって、地主に協議には応じられないと通告した。

 地主は同地に居住時に、マンション業者に土地売却し残地を賃貸駐車場にしている。借地権を低額で買い取って土地を売却して高額な利息を得ようという、有効活用を正当事由にするとは恐れ入る。

 こんな地主の勝手な主張を認めることはできないと、借地人は断固地主と対決する決意を固めている。
 もともと立ち退く考えはないが、こんなに安い金額を提示するとはそもそも借地人らの権利を無視したもので、人を押し退け犠牲にしても「金儲け」しようとする姿勢は、ますます社会的格差を拡大するものでゆるせない気持ちを強くした。

 それから約半年経過した11月に建物収去土地明渡請求の訴状が届いた。すでに裁判も想定されて弁護士に相談していた両名は、組合の顧問弁護士に依頼した。土地の有効利用を理由に借地人の生活基盤を脅かす理不尽な請求には絶対に負けられないと、裁判にのぞんで決意を新たにしている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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(問題8)地主の相続人と正当事由~(問題9)立退き料の残金の未納

2007年10月20日 | 土地明渡(借地)

(問題8) 地主の相続人と正当事由
 地主の死亡で、次女が借地部分を相続した。新地主は賃貸マンションに住んでいるので自己使用の必要性があるからと明渡しを請求してきた。明渡しに応じなければならないか。借地人は他に住むところがない。

 (①明渡しに応じなくてよい。 ②応じるしかない。)


 解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。

 (解答)
  (問題7)番と同じ。 ①明渡しに応じなくてよい

 (解説)
 ・ ・・相続した地主が,賃貸マンションに住んでいたからといって,借地している自己所有地の明け渡しを受けて自分が住めばマンション賃貸料が浮くというだけで,経済的に有利だという事情<借地人の居住利益。

 


 (問題 9) 立退き料の残金の未納
 家主と明渡しの交渉が合意し、立退き料を半金支払ってもらったが、約束した明渡し当日になって家主は資金がないと後の半金を払わない。立退き料の残金を支払ってもらうまで借家の引渡しに応じないで頑張って住み続けようと思う。明渡し期日を過ぎると1日1万円の違約金を支払う約束があるが、このまま住み続けても大丈夫だろうか。

  (①後の半金もらうまで立退く必要ない。 ②立ち退いた後に、家主に半金を請求する。)


 (解答)
 ①後の半金もらうまで立退く必要ない

 (解説)
  「家主と明渡しの交渉が合意し」ているので,具体的な立退き料の請求権が借家人に生じています。家主には,逆に,合意で定まった金額の立退き料の支払義務がある訳です。この家主の立退き料の支払義務と借家人の借家の引渡し義務は同時履行の関係にあります。

 したがって,一方の家主の立退料残金の提供がない間は,他方の借家人の借家引渡義務の不履行もなく,違約金を払う必要はありませんが,明渡時期以後の借家の使用相当金(不当利得)として,元来の家賃同額は発生すると思われ,使用を継続すると立退料が相殺となる可能性があります。

 その意味では,②立ち退いた後に、家主に半金を請求するの方が妥当か?。

(①後の半金もらうまで立退く必要ない。 ②立ち退いた後に、家主に半金を請求する。)

 

 

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(問題7) 立退料と正当事由

2007年10月15日 | 土地明渡(借地)

(問題7) 立退料と正当事由
 地主は土地の有効利用を理由に更新を拒絶し、立退き料として地代の42年分を提示してきている。立退き料のみで正当事由が認められるか。

(①立退き料だけでは正当事由としては認められない。 ②立退き料が借地権相当に見合う金額であれば正当事由として認められる


 解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。

 (解答)
 ①立退き料だけでは正当事由としては認められない


 (解説)
 (問) 地主から土地を借り自宅を建てて使用しています。間もなく借地期間が満了しますが、地主から「息子夫婦の家を建てたいので、契約の更新はしない。土地を明渡してくれ」と言われました。地主は立退料を出してもいいと言っていますが、借地期間の満了とともに土地を明渡さなければならないでしょうか。また地主から、土地を明渡さないのであれば、更新料を支払えと言われています。契約を更新してもらうためには、更新料を支払わなければならないでしょうか。

  (答)  1.土地明渡請求の正当事由と立退料
 (1)借地期間が満了する場合、地主が契約の更新を拒絶するためには、自ら土地を使う必要性があるなどの正当事由が必要とされています (借地借家法第・6・条)。すなわち、地主としては、借地期間が単に満了するということだけでは、契約の更新を拒絶して借地人に対して土地の明渡を請求することができないことになっています。

 (2)ところで地主が契約の更新を拒絶できるための正当事由の有無を判断するためには、地主と借地人双方のさまざまな事情が考慮されます。
すなわち、
イ、地主及び借地人が土地の使用を必要とする事情、
ロ、借地に関する従前の経過、
ハ、土地の利用状況、
ニ、地主が財産上の給付をするという申出をしたときはその申出の内容、などが総合的に考慮されることになります。

 (3)具体的には、
上記イの事情としては、地主が土地を返してもらって建物を建てたいという希望とか、地主が相続税の支払のために土地を売却しなければならないという必要性とか、あるいは借地人に他に利用することができる土地があるかどうかなどの点、

ロの事情としては、借地人が以前において地主に権利金や更新料を支払っているかどうか、借地人に賃料の不払いや無断改築などの契約違反事由があったかどうかなどの点、

ハの事情としては、近隣の土地の利用状況において建物の高層化が進んでいることや、借地人の建物が老朽化してきたことなどの事情、

ニの事情としては、地主が借地人に立退料の支払いや、代替地の用意の申出をしているかどうかなどの事情などが考慮されます。

 (4)しかしこの場合、上記イの土地使用の必要性の事情が主として考慮され、その他の事情は従たる要素として補完的に考慮されることになりますので、地主は立退料を提供したというだけでは正当事由が認められることにはなりません。地主と借地人との土地使用の必要性を比較し、地主側に有利な事情があるけれども、なお正当事由があるとまではいえないような場合に始めて、地主からの立退料の提供の有無が補完的に考慮されることになるのです。

 (5)冒頭の(問)の事例では、借地人が自宅用地として引き続き土地の使用を継続する必要があるという事情と、地主が息子夫婦の家を新築したいという事情とが主な事情として対立することになると思われます。この点に限って言えば、借地人の事情が優先される可能性が大きく、地主側の更新拒絶には正当事由がないとの結論になる可能性が大きいと思われます。

 また立退料提供が補完的に考慮される場合でも、その立退料の金額の多寡、明渡時期の延長猶予、他に代替土地または建物の提供の申出、などの事情が正当事由を補完する要素として判断されることになります。

 

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無断転貸と地主が言掛り (静岡・静岡市)

2007年06月26日 | 土地明渡(借地)

 村田さん宅に、地主と宅建業者が訪れ「この土地は戦時中、地主に無断転貸した違法借地だから退去しろ」と古文書を出し退去を迫りました。

 村田さんの相談を受けた静岡借組は実情調査をした結果、名義の違いは相続によるもの、現在は村田名義で賃料を支払っていることが判明。地主に「賃貸借契約は締結されている、退去請求の法的根拠無し。むしろ地代を近隣並に値下げせよ」と要求しました。

 1ヵ月後、地主は「退去しろとは云っていない。賃料を受け取っているので退去請求はできない。賃貸借契約は存続して結構。もし、借地を買い取るとか補償金で退去できないか検討して欲しい」等と180度の変化です。

 高齢の地主の周りに胡散臭い人々の動きがあり、借地人の居住権が脅かされるばかりか、地主も被害者になるのではと心配です。

 

全国借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 地主が立退料8億円支払うことで明渡の正当事由が認められた事例

2007年03月10日 | 土地明渡(借地)

 判例紹介

 地主である私立大学が、印刷材料製造販売会社に対し、立退料8億円を支払うことにより借地明渡の正当事由が認められた事例 (東京地裁昭和63年11月14日判決、判例時報1324号61頁以下)

 (事案)
 地主である私立大学は、昭和26年4月、本件土地を買い受けたが、右土地は以前から印刷材料製造販売会社の代表者が借地していた。

 本件と地売買後、右当事者間に、本件土地と、堅固建物所有目的、期間を昭和27年12月13日から30年間として賃貸借する旨の調停が成立した。

 その後、右会社代表は右会社に対し、本件借地権を譲渡し、結局本件土地の借地人が右会社になった。

 地主大学側は、昭和57年12月13日の期間満了に際し、借地人会社に対して、本件土地の使用継続についてあらかじめ異議を述べ、正当事由として、「地主大学は私立大学として学生数の増加に伴う必要校舎面積の確保のために本件敷地を利用する必要性がある。」とし、「立退料金3億円 または裁判所の決定する金員の支払を受けるのと引換」に、本件の土地の明渡しを求めた。

 これに対し、借地人会社は、長年にわたり本件土地上の建物を、本社、営業所、事務所、工場として使用してきた者であり、今尚、会社にとって重要な業務の一部のために使用し、本件建物には引続き取引先その他の関係者が多数出入りしており、会社のシンボル的な存在として本件と地上の建物を必要とすると主張した。

 (判示)
 裁判所は双方の本件建物敷地利用の必要性について、精細に検討した上でそのいずれがより必要性があるとも断定できないとし、ただ、借地人会社が本件土地を必要とする理由は専ら業務遂行上のものであって経済的対価を、地主大学が支払うことによって大学側の必要性が借地人会社の必要性を上回るとして、地主大学が借地人会社に対して8億円の立退料(本件土地の更地価格約19.5億円に借地権割合である80%を乗じた借地権価格の約5割に相当する)を支払うのと引換えに借地の明渡しをするよう判示した。

 (短評)
 本訴において、原告が本訴の申立において、「3億円または裁判所の決定する金額」を申し出たことに対し、裁判所は、原告の申し出た金額をはるかに超える立退料を定めまでして、借地明渡の正当事由を具備するものとしたが、これは立退料の金額を増額することによって正当事由を具備する方向で考慮したものであって、本来正当事由判断における金員の役割を誤ったものというべきである。また、近時、地主の方から何が何でも明渡しを求めるために、「裁判所の決定する金額」を申し出ることがあるが、これは、正当事由について借地非訟的考え方を持ち込むことであり、最高裁判所の『格段の相違のない範囲内』の考え方とも逸脱しているものといえる。      

(1990.03.)      

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 借地上の建物が朽廃したことにより借地権が消滅したと認定された事例

2006年11月11日 | 土地明渡(借地)

判例紹介

 朽廃の意味 建物の朽廃により借地権が消滅したと認定された事例 東京高裁平成5年8月23日判決、判例時報1475号72頁)

(事案の概要)
 借地人の先代は、昭和43年12月31日、地主の先代から、普通建物所有の目的、賃貸借期間20年の定めで借地した。その借地契約は、昭和63年12月30日法定更新された。借地上の建物は、昭和27年頃に建築され、築後すでに40年を経過していたが、長らく、使用収益されず、修繕・補修もされないまま朽ち果てるままに放置されていた。建物は、(1)北側の瓦屋根は全て剥がれて錆付いたトタンが剥き出しとなっており、南側の瓦屋根もあちこちでずれ落ちたり剥がれたりしている。(2)建物の土台が腐り、東側に大きく沈んで建物全体が歪み、戸、窓などは風雨に打たれて木が腐り、開け閉めも困難な状況である。(3)電気、ガス、水道は10数年来供給停止となって便所も使用されていない。(4)床や壁もあちこち崩れ落ち、沈み、裂けるままに放置されている状態であった。 そこで、地主は、建物は朽廃止し、全面的改築と殆ど選ぶところがない措置を講じなければならない状況にあるので、借地権が消滅したとして、建物収去土地明渡しを求めた。

(判決)
 東京高等裁判所は、「本件建物が建築後約40年という長期間を経過した建物、全体的に経年による劣化が進んでいるほか、無人のままに長年放置され、更に、もと六畳の和室の一部を解体撤去して四畳の和室にした際の補修が充分されないなど保守管理が不十分であったことから、基礎、土台、柱及び屋根といった本件建物の構造部分にほぼ全面的な補修を行わなければ使用できない状況に至っていることを考慮すると、その補修には新築同様の費用が必要であると確認されるので、本件建物は平成5年6月30日までにはすでに建物としての社会的、経済的効用を失い、朽廃したものと認められるとして、建物朽廃により借地権が消滅したものと判断した。

(評論)
 建物の朽廃とは、自然の推移により、建物が社会的経済的効用を失う程度に腐朽し、通常の修繕程度ではその寿命を延ばすことができず、建物の効用を維持できない状態になったことをいうとされている。 これまで、最高裁判所は、柱や桁、屋根の小屋組などの一部に腐食箇所が認められる場合でも、これらの部分の構造に基づく自らの力によって屋根を支えて独立に地上に存在し、内部への人の出入りに危険を感ぜしめるようなものでないときは、朽廃を認めていず、判例上、建物の朽廃の認定については、極めて厳格で、容易に朽廃を認めない傾向にあるといえる。

(2003.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 *2筆の借地の一方にのみ登記ある建物がある場合の明渡請求は権利濫用

2006年09月25日 | 土地明渡(借地)

 判例紹介

 一体として利用されている2筆の借地のうち一方の土地上にのみ借地権者所有の登記されている建物がある場合において両地の買主による他方の土地の明渡請求が権利の濫用に当たるとされた事例最高裁平成9年7月1日判決、判例時報1614号)

 (事案)
 ガソリンスタンド会社を兄弟で設立した。兄が代表取締役で弟が監査役。2筆の土地の所有者は弟で、会社が弟から借地をした。
 会社は、奥の土地(A地)に3階建の事務所建物を建築して、所有権保存登記をしたが、道路側の土地(B)には建物はなく、地下にガソリン貯蔵タンク、地上に給油設備、ポンプ室があった。

 兄弟不仲となり、弟がAB両地とも不動産業者に時価の約10億円で売却してしまった。買取った不動産業者が、会社に土地明渡の要求。
 争いとなった点は、建物がないB地の借地権を土地購入者である不動産業者に対抗できるか、ということであった。

 東京地裁は、A地の借地権対抗力がB地にも及ぶという理由で、借地権者を勝訴させたが、東京高裁は、B地は借地権を対抗できず、買主の明渡請求は権利濫用でもないとして、逆転敗訴。
 本判決は、借地権は対抗できないが不動産業者が明渡を要求することは権利の濫用で許されないと判断した。

 (判決要旨)
 「A地とB地は、ガソリンスタンドであり、社会通念上相互に密接に関連する一体として利用されている。B地を利用できなければガソリンスタンドの営業が不可能になるので借地人はその土地を利用する必要性が強い。反面、買主は、AB地につき格別の利用目的があるわけでない。買主は、AB地が賃貸借ではなく使用貸借であるとの説明を受けて買ったものではある。土地はガソリンスタンドとして利用されていたのであるから、借地人がその土地の明渡に直ちに応じると考えたことは、なお落ち度があった。借地人は、B地上には、給油施設の他・ポンプ室を有していたが、その規模から見て独立の建物と考えず、登記しなかったこともやむを得なかった。買主が、本件土地を時価で買い取ったことを考慮しても、なお本件明渡請求は権利の濫用に当たり許されない。」

 (説明)
 2筆の借地と自宅用に借地して建物の登記をしたが庭部分の借地が別の筆になっていて、建物が存在しないという場合があり得る。この場合、庭部分の借地権は、土地の買主に対抗できないことがこの判決の前提になっている(参考、最高裁昭和44年10月28日判決、判例時報576号)。

 その上で、買主からの明渡請求が権利濫用になるかどうかを問題とした。高裁判決は権利濫用にならないと判断し、本最高裁判決は権利濫用になると判断したように、権利濫用の判断は微妙なものがある。

(1998.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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明渡で全面勝訴 (東京・小平市)

2006年07月22日 | 土地明渡(借地)

     受領を拒否され供託すると 
    供託無効だと借地契約解除

 小平市小川西町に住むAさんとBさんは、一昨年以来地主と係争していた「建物収去土地明渡請求事件」で昨年11月25日に東京地裁八王子支部で原告の地主の請求を棄却するという借地人全面勝訴の判決を勝ち取った。

 裁判では、原告は「昭和63年分から平成3年分の賃料は原告に弁済の提供をしておらず、原告は受領を拒絶していないので、被告のした供託は無効である」、「平成3年12月4日到達の書面で、昭和63年1月1日以降の遅延賃料を書面到達後1週間以内に支払うよう催告したが、期限までに支払がないので契約は解除された」などと主張。

 Aさんは、昭和63年12月頃、平成元年4月25日に昭和63年12月頃、平成元年4月25日に昭和63年分の賃料を提供したが、原告から受領を拒否されている。また、平成3年12月16日到達の書面で、平成2年分まで賃料を供託しており、遅延賃料など存在しないと反論した。

 裁判では、借地人が平成3年度分の賃料の供託がたった1週間地主の催促日より遅れたことが問題となった。

 判決は「建物所有目的の土地の賃貸借契約の解除については、債務不履行を理由とする解除要件が形式的に満たされていたとしても、債務不履行の態様が未だ賃貸人賃借人間の信頼関係を破壊したとはいえないような事情がある場合には、信義則上解除の効力を主張することは許されない」と判断した。
 地主は控訴できず、判決は確定した。

東京借地借家人新聞より           

 

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