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【判例】 NHK受信料請求事件 (札幌地裁平成22年3月19日判決) 3

2010年05月11日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

3  1で認定した事実に基づき,2で検討した放送受信契約を前提として,本件について判断する。

(1) 原告は,放送受信契約の締結が民法761条(日常家事債務の連帯責任)の日常の家事に関する法律行為に含まれるのでその法律効果は被告に帰属すると主張する。

 ところで,民法761条は,双務契約における一方当事者から夫婦の一方と契約した場合に,その行為が日常の家事に関する法律行為に含まれる場合には,夫婦それぞれに連帯責任を負わせて,夫婦と取引をした第三者を保護しようとする規定である。そうすると,契約当事者間に対価関係はない片務契約である放送受信契約に民法761条の適用はないと解するのが相当である。したがって,民法761条の適用があることを前提とする原告の主張は採用できない。

(2) 原告は,これまでの裁判例や法律学者の鑑定書又は意見書において,放送受信契約には民法761条の適用のあることが認められていると主張するので,念のため検討する。

 確かに,裁判例(甲7の1,7の2,8,13,15)の中には,原告の主張を認めたものが存在する。しかし,これらの裁判例では,放送受信契約の性質について,当事者双方から主張がなく,受訴裁判所も放送受信契約の性質について検討した形跡が認められない。とりわけ,原告が弁論再開の理由として提出を予定した東京地方裁判所の事案は,放送法32条及び規約が憲法19条に反するか,憲法21条1項並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約19条1項に反するか,憲法13条に反するかという憲法上の問題点が主たる争点となった事案である。本件のように,放送受信契約の性質が主たる争点となった事案ではないので,先例としては適切を欠くものというべきである。

 また,法律学者の鑑定書(甲21),意見書(甲22,23)によれば,放送受信契約に民法761条の適用があるとされる。確かに,これらの鑑定書及び意見書には,傾聴に値する意見が記載されているが,放送受信契約の性質,とりわけ,受信料が特殊の負担金であること,放送受信契約が片務契約であることについて言及されていないから当裁判所はいずれの見解も採用しない。

(3) 原告は,Aが本件契約当時,放送受信契約の締結について代理権を与えられていたと主張する。

 しかし,被告がAに代理権を授与していた事実は認められない上,被告は,前認定のとおり,Aと婚姻する前からテレビを設置しながら,数回にわたる原告からの放送受信契約の締結の要請を拒絶していた者であり,被告,AともNHKをほとんど視聴していなかったのであるから,被告がAに対し,夫婦にとって何らかの方針決定が必要な法律行為を除く日常生活に伴う法律行為等について,その要否の判断を委ねていたとして,放送受信契約締結の代理権が含まれていたと解することは相当でない。Aには放送受信契約締結の代理権を授与されていたとする原告の主張は採用できない。

(4) 原告は,仮に放送受信契約の締結がAの代理権の範囲に属さないとしても,表見代理が成立し本件契約は有効に被告に帰属すると主張する。

 しかし,放送受信契約は,契約当事者間に対価関係はない片務契約であるから,取引の第三者を保護するための表見代理の規定の適用はないと解するのが相当である。したがって,表見代理の規定の適用があることを前提とする原告の主張は採用できない。

(5) 原告は,仮に放送受信契約の締結がAの代理権の範囲に属さないとしても,本件契約は被告により追認されたと主張する。

 原告の主張の詳細は,次のとおりである。被告は,原告と放送受信契約を締結したくないと考えていたが,それにもかかわらず,Aは,放送受信契約の締結がAの代理権の範囲に属すると信じ,本件契約の締結について被告に報告する必要はないと考えていた。これらの事実を考え合わせると,被告夫婦の間には放送受信契約の締結について決定的なそごが生じていたことになる。ところが,Aはおよそ10か月にわたり放送受信料を支払い続けたのであり,これほど長きにわたって,夫婦間のそごが顕在化しなかったとは考えにくい。そうすると,4回の被告名義での放送受信料の支払のいずれかの回からは,本件契約の存在が被告の知るところとなり,被告の了解の下に放送受信料の支払が行われたと解するのが自然である。

 しかし,原告の主張は推測に過ぎず,当裁判所は採用しない。

4 放送受信契約の性質及び本件訴訟の経過にかんがみ,付言する。

(1) 放送受信契約は,2で検討したとおり,放送法の規定,放送法施行規則の規定,規約の規定からすれば,受信設備(テレビ)を設置した日に成立するとともに,世帯ごとに行うものである。そして,原告も契約取次者に対するマニュアルにも世帯主でも配偶者でも署名押印をもらえば足りるとしているし,本件でも,原告の契約取次者であるCが,マニュアルに従い,世帯主でも配偶者でもかまわないから署名押印してもらうと証言しているとおりである。したがって,被告の妻が自らの名において署名押印すれば被告の世帯として放送受信契約を締結したことになると解される,また,被告の妻が被告の名で署名押印しても,放送受信契約の主体が個人ではなく世帯という団体とされている以上,放送受信契約を締結したことになると解される。原告も,前認定のとおり,弁論再開の申立書には,再開理由として,被告に対する本件請求のほか,被告の妻に対する請求を追加することを挙げているのは,この趣旨に沿うものといえる。

(2) しかしながら,放送法は,2で検討したとおり,原告に受信料という特殊な負担金の徴収手段として,租税と同様の取扱いとしたり,電気料金に上乗せしたりする特別な徴収方法を認めず,一般債権と同様の民事訴訟法によるべきこととした。その結果,原告が本件訴訟において主張する放送受信契約は,個人主義を基調とする民法その他の私法によって修正されることになり,放送受信契約の成立は,受信設備(テレビ)を設置した日ではなく,放送受信契約を締結した日からであること,契約主体も世帯ではなく,受信設備(テレビ)設置者に限定されることになったものと考えられる。そして,受信料という特殊な負担金を国民から徴収するという放送受信契約は,国民の側からみれば,受信設備(テレビ)を設置した場合に受信料という特殊な負担金を原告に納付するという,民法上の贈与契約に準ずる契約と解することができる。

 そこで,原告と被告との間に本件契約が成立したというためには,被告が妻に代理権を授与しているか,妻の行為を追認するか,取引の第三者を保護する民法上の規定(民法761条の日常家事債務の連帯責任,民法110条の表見代理)がなければならない。本件に提出された証拠によれば,これらを認めるに足りる事実は認定できない。

(3) ところで,当裁判所は,原告が「あまねく全国に豊かでかつ良い放送番組を提供するために設立された公共的機関であり」「言論報道機関である」のに,全国的には70%の世帯しか原告と放送受信契約を締結していない事情にかんがみ,できるだけ多数の国民が原告と放送受信契約を締結することが望ましいことから,原告と被告の双方に対し,被告が原告との間で新たに放送受信(衛星)契約を締結するという和解勧告をした。しかし,合意には至らなかった。

 原告の設立目的に照らしてテレビを購入した国民の大多数が原告との間で放送受信契約を締結することが望まれる。

5 よって,本件請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。


        札幌地方裁判所民事第2部

                 裁 判 官    杉  浦  徳  宏

 

 

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住まいの貧困ネットが集会とデモ

2010年04月21日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

なくそうハウジングプア!

住まいの貧困ネットが集会とデモ

 住まいの貧困に取り組むネットワーク主催の「なくそうハウジングプア!立ち上がろう借家人! 設立1周年記念集会&デモ」が3月22日午後1時30分から新宿農協会館会議室で開催され、約130名が参加した。

 ネットワークの代表世話人で住まい連代表幹事の坂庭国晴氏が開会のあいさつを行ない、昨年3月14日に設立されたネットワークの活動について報告した。

 当事者発言では、多摩借組の細谷事務局長が発言し、昨年の大阪高裁や京都地裁で更新料無効判決があってから、民間賃貸住宅の居住者から更新料の相談が増えていることにふれ、「今こそ法的根拠のない更新料をなくしていこう」と訴えた。

 パネルディスカッションではサポートセンターもやいの稲葉剛氏、全国追い出し屋対策会議代表幹事の増田尚弁護士、法政大学名誉教授の本間義人氏よりそれぞれの立場から居住貧困の問題や追い出し屋問題等が報告された。

 本間氏は「居住貧困を一掃するには生存権としての居住権を確立した住宅法制を創設させなければいけない」と強調した。

 4団体から連帯アピールがあり、最後に「住まいの貧困をなくすために」と題する集会アピールが採択され、集会は午後5時に閉会した。

 集会後、参加者は横断幕やプラカードを等を掲げて、連休で賑わう新宿駅周辺をデモ行進し、「ハウジングプアをなくそう」と訴えた。

 

 

東京借地借家人新聞より

 

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ハウジングプアの拡大と住まいのセーフティネット〈特別基調講演〉

2010年04月20日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 NPO法人自立生活サポートセンターもやい代表理事稲葉剛さん

 私は、バブル崩壊後の90年代に、日雇い労働者が仕事を失い、ホームレスになっていく中で路上生活者の支援を行なってきました。

 この2、3年若年層が派遣切りで仕事と住居を失い、住まいの貧困が拡大する中で、住まいの権利としての運動をつくれないかと考える中で、借地借家人組合や労働組合の皆さんにも呼びかけて住まいの貧困に取り組むネットワークを始めることになりました。

 派遣労働が拡大し、仕事が細切れになる中で家賃も払えなくなり、仕事も住居も不安定になっていきました。もやいの生活相談には、10代から70代、80代の方が住まいを失って相談に来ています。月に約150人が来所しています。

 政府が開始した失業者向けの住宅手当も使い勝手の悪さで4%程度しか使われていません。家主が失業者には家を貸したがらないのが原因で、このミスマッチを解消するには、行政が公的保証制度を作らないからです。家賃が払えなくなったり、高齢者が家で亡くなっても、行政が保証してあげれば問題は解決するのではないでしょうか。

 住宅政策の貧困の下で、居住系の貧困ビジネスが非常に広がっています。追い出し屋とよばれる保証会社や管理会社、サブリース会社と労働者を派遣する派遣会社も共通していることは人間と向き合わずに利潤を追求するシステムであることです。

 90年代からリスクマネジメントという考え方が流行ってきました。リスクをなくすため外部に仕事を委託するシステムです。大家さんにとって一番のリスクは家賃の滞納であり、家賃を払わないまま退去しない借家人で、追い出しという汚れ仕事をやるのが保証会社でありサブリース会社です。

 民間賃貸住宅市場全体がプロフェショナル化・ビジネス化すると、家賃が1ヶ月でも滞納しただけで問答無用で追い出してしまう。これは派遣会社が派遣切りで労働者を切るのと全く同じ構図です。

 民間賃貸住宅市場は貧困ビジネスの野放し状態になっています。公的な保証制度を創設させ、それを突破口にして市場に介入させることが重要です。反貧困をキーワードに多くの団体が連携し、全国から声を上げて国に居住権をしっかりと認めさせるために頑張っていきましょう。

 

 

全国借地借家人新聞より

 

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民間賃貸住宅政策に関する意見 (全借連)

2010年02月01日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 

民間賃貸住宅政策に関する意見

 

 2010年1月28日
 全国借地借家人組合連合会
 会長 河岸 清吉
 
1、民間賃貸住宅をめぐる現状認識と社会資本整備審議会の課題
 社会資本整備審議会住宅宅地分科会が「国民が安心して暮らすことができる民間賃貸住宅政策のあり方」を検討するよう諮問を受け、民間賃貸住宅部会で昨年10回にわたり調査審議を行ない、委員の意見をまとめた「最終とりまとめ」について当連合会としての意見を提出する。

 同部会の構成についてかねてより疑問をもっていたが、委員の多くが貸主側・業界側の代表に偏っていることで(後半から消費者側の委員を追加された)、審議の内容の多くが賃貸人のリスクを軽減することが重要視され、賃借人の居住の安定や保護が全く軽視されるなど貸主側の論理に沿った審議が行なわれ、公正な審議が行なわれたのかどうか疑問を感じざるを得ない。民間賃貸住宅のトラブルの被害者の圧倒的に多くは借主・消費者であり、今後の審議のあり方として、民間賃貸住宅問題を審議する部会の委員の構成については貸主側に偏ることなく借主側・消費者側の委員を配置されるよう強く要望する。

 現状認識に関し、「民間賃貸住宅が持家と比べ面積、バリアフリー化や耐震化が遅れ、計画的な修繕が行なわれていない」という認識をされ、「政策的な対応が求められる」と述べていることには全く同感だが、民間賃貸住宅を市場まかせにしたり、民間賃貸住宅の供給を専ら個人家主に依拠して、公的な住宅施策の関与が何らなかったことこそ最大の問題である。「情報の非対称の存在」、「原状回復や滞納等のルール」を明確にするだけでは、入居者が市場で良質な賃貸住宅を選択できるようにすることは困難であり、民間賃貸住宅のトラブルの解消には程遠いといえる。「住宅セーフティネットの観点から、公的主体の役割も重要である」と認識されるのであれば、そのことにこそ本審議会や部会において力点を置いた審議を今後望むものである。
 
2、民間賃貸住宅の紛争の未然防止
 民間賃貸住宅に関する情報について
 民間賃貸住宅の物件の情報の入手に当たっては、仲介を行なう不動産業者による情報の開示が極めて重要である。過去にどのようなトラブルが起きていたか、建物管理状態、建物の建築年数、耐震性や遮音性等の情報について入居者に知らされない場合多く、情報を開示することを仲介業者に義務付けるべきである。また、契約書の内容について賃借人に不利益な特約についても賃貸借契約の締結の前に物件を選定する段階で情報を開示すべきである。

 民間賃貸住宅に関わる原状回復等のルールについて
 
建物管理について、管理会社が行なう管理業務の範囲について賃借人に分かるようにすることについては賛成である。建物修繕の必要性が生じたときに、貸主の修繕義務に関して明確にすることが重要である。


  (1)原状回復のガイドラインの見直し
 ガイドラインの見直しに関しては、修繕の内容は建物や設備の内容も千差万別であり、処理基準を明確にすることは困難であり、ガイドラインの見直しは不必要である。

  (2)賃貸住宅標準契約書の見直し
 入退時の立会いを契約書に義務付けることは賛成であり、入退時の物件状況確認チェックリストなどを作成することも義務付けることが必要である。契約書の特約で消費者である賃借人の利益を一方的に害する特約を排除できるように、消費者契約法に反する特約事例を契約書に明記すべきである。賃料や敷金以外の礼金・更新料などの一時金については、紛争の原因となっており、今後そのような不明確な金銭の受け取りをなくしていくことが必要であり、今後とも標準契約書に規定を置くべきではない。

  (3)原状回復等のルールの普及
 原状回復ガイドラインや標準契約書については、賃借人がより利用しやすいものとなるのであれば、大いに普及すべきである。契約手続きに不慣れな若年層に対しては分かりやすい原状回復のガイドラインを含む契約の手引きを国交省で作成し、賃貸借契約の締結の際に利用できるようにすべきである。
 
3、紛争の円滑な解決について
 第三者による紛争の解決について
 消費生活センターの機能を強化し、紛争解決のための法的権限や専門家の配置など行なうことが重要である。裁判外紛争解決制度の活用を促進し、少額訴訟などインターネットや休日や夜間でも訴訟の受付ができる体制を整備するなど現行の訴訟制度を活用しやすくすることの方が有効である。また、民間の相談機関の紹介など情報の提供も重要である。

 原状回復等に関する保険・保証について
 
原状回復について保険や保証制度を導入することは反対である。保険制度は、結果として通常損耗や経年劣化についての貸主の修繕義務を免除することになり、賃借人に保険料負担させることは公平性に反する。保険会社の査定が厳しくなれば、賃借人と保険会社とのトラブルを増加させるだけであり、賃借人にはとっては何らのメリットもない。なお、高齢者の入居者の死亡に伴う残存物の保管・処分等に関しては、公的な保証制度を充実させることによって解決すべきである。
 
4、滞納・明渡しをめぐる紛争について
 家賃債務保証会社等の適正化について
  (1)行き過ぎた督促行為に対する規制について
 少子高齢化や人間関係の希薄化等によって連帯保証人を立てられない賃借人が多くなる中で、家賃債務保証会社による求償権の行使による行き過ぎた督促行為や追い出し行為の被害を防止させるために、貸金業法と同様に取立て行為を規制し、行政官庁の指導下のもとで登録制にして、悪質な業者の参入を防止し、不法行為を行なった業者の営業を禁止させ、厳罰を下すことができるよう法規制を行なうことには賛成である。また、賃借人が申し出た連帯保証人を賃貸人が拒否することを禁止すべきである。なお、管理会社に対して不動産部会では任意の登録制にすることが検討されているようだが、管理会社の追い出し行為は家賃債務保証会社と同様に法規制を伴った登録制にすべきある。登録しない管理会社を野放しにすることは許されない。

  (2)弁済履歴情報の共有について
 弁済滞納履歴の共有によるデーターベースづくりは反対である。賃借人の弁済情報履歴を一定の範囲に限定するとしても、悪質な滞納と良質な滞納の線引きはむずかしく、家賃滞納に至るケースは千差万別で、その判断を保証会社にまかせれば家賃を滞納しやすい社会的弱者の賃借人が入居を断られることは必然である。家賃を滞納したという理由で、入居差別を行なうことは賃借人の居住の自由や人権を侵す事になる。このようなデーターベースづくりは、直ちに中止すべきである。

 滞納が発生した場合の円滑な明渡しについて
 滞納に至るケースは多様であり、賃借人の居住の権利かかわる契約の解除に関しては信頼関係を基に、滞納に至る事情など総合的に判断すべきあり、円滑な明渡しのマニュアルの作成には反対である。転居先の確保のために、公的な賃貸住宅を含めて、支払い可能な家賃の賃貸住宅への支援策を検討することは賛成である。特に、失業等により家賃を滞納し、明渡さざるを得なくなった者や住宅確保の特に配慮を要する住宅弱者に対して、公的な住宅セーフティネットで対応することには賛成であり、居住支援協議会の活用と同協議会に対する資金面を含めた支援が必要である。

 契約解除事由の予測可能性の向上方策の検討
 滞納が発生した場合の契約解除に関しては、賃借人に居住の権利にかかわる問題であり、審議会で検討すべきテーマではない。このような問題認識こそ賃借人の居住の権利と居住の安定を軽んじていると言わざるを得ない。まして、定期借家制度は期間満了で確実に賃借人の明渡しを履行できるからといって、「明渡しのトラブル防止に資する面がある」とは、あまりにも貸主の立場を偏った認識であり、賃借人の居住の安定と継続を無視していると言わざるを得ない。定期借家制度については、ゼロゼロ物件やゲストハウスなど、初期費用も負担できない経済的に弱い立場の賃借人を対象にして普及されようとしている。契約期間も1年未満や6カ月など短期の契約が多く、住宅確保に配慮を要する人たちの居住の安定とは無縁の制度であり、当連合会はこの制度の廃止を強く求めるものである。同時に、定期借家制度がどのような活用をされているのかよく調査し検証することなく、普及促進をさらに進めていくことには反対である。社会的経済的弱者である賃借人の居住の安定の確保が図られるよう慎重に対応すべきである。
 
5、市場機能を通じた民間賃貸住宅ストックの質の向上
 良質で質の高い賃貸住宅は、家賃が高額で選択できる賃借人は限られている。家賃負担能力に見合った賃貸物件を選択せざるを得ないのが現状である。質の高い民間賃貸住宅の供給を促進したり、既存住宅を質の高いものに改造するためには、家賃補助や融資、税制面などの支援措置を促進すべきである。これまでの持家中心の住宅政策から賃貸重視に転換すべきである。公営住宅の入居階層を拡大させるとともに、公営住宅の供給促進など公的な住宅セーフティネットの強化こそ今求められている。
 
6、その他
 日本型社会化住宅の供給施策を具体化し、良質と安価な賃貸住宅を供給する必要がある。例えば、「借上げ公営住宅」、「民設公営管理の住宅」の供給施策で適正な家賃負担を設定するための標準家賃制度を設けるべきである。

 

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国交省・民間賃貸住宅部会 (全国借地借家人新聞)

2010年01月29日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

家賃保証会社に法規制
国交省・民間賃貸住宅部会
次期国会へ新法提出 追い出し行為に歯止めが


 社会資本整備審議会住宅宅地分科会は、民間賃貸住宅部会をつくり、民間賃貸住宅をめぐるトラブルの多発化に備えこれを防止する対策を具体化するために、昨年1月から検討を進めていたが、昨年12月14日、「最終取りまとめ」(案)を公表しました。

 

 この「部会」の審議の過程の中で強い関心が持たれていたテーマとして、家賃滞納を未然防止する対策とその回収にあたって、これまで反社会的行為として批判が大きく指摘されていた「家賃保証会社」の存在について、これまでの野放し状態に対して、法的規制の成り行きが注目されていました。

 全国追い出し屋対策会議(代表増田尚弁護士)は、昨年二月の結成総会で、「家賃保証会社」を認可制にして厳しく法的規制を求めていました。

 今回の「最終まとめ」(案)では、行政へ登録制を提言し、その登録要件を厳しく規定し、その要件に反する行為が行われた場合は登録を取消し、違法行為を公表し関係機関へ告発することを提言しています。

 政府は、この提言を基に新たに法案をつくり次期通常国会へ提出する予定です。
 これまで全く規制がなく借家人を家賃の取立てのためになんら法的手続きもせずに追い出しを強要する不法行為に対して一定の歯止めがかけられたことに期待をされています。

 

全国借地借家人新聞より

 

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マンション管理費、住まない所有者へ増額認める 最高裁 (朝日)

2010年01月27日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 分譲マンションの管理組合費の額をめぐり、部屋を持ちながら自らは住んでいない「不在所有者」には「居住所有者」より額を上乗せして払わせていいかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(堀籠幸男裁判長)は26日、「上乗せは許される」との判断を示した。管理組合の役員を務めない不在所有者と居住所有者との不公平感を和らげる手段として認めた。最高裁がこうした判断を示したのは初めて。

 訴訟の舞台となったのは、1970年前後に分譲された大阪市北区のマンション(868戸)。年々、所有者が住まない部屋が増え、2004年ごろには約170戸に上った。居住所有者から不満が出るようになり、管理組合は同年3月の総会で不在所有者だけから「協力金」を取ることを決めた。第三者に部屋を貸している一部の不在所有者が拒否したことから、組合側が支払いを求めて提訴した。

 このマンションの管理組合費は月額1万7500円(一般管理費8500円、修繕積立金9千円)で、訴訟ではこれに月額2500円を上乗せできるかが争われた。

 第三小法廷は「居住所有者だけが組合の役員となってマンションの保守管理に努め、不在所有者はその利益のみを享受していた」と指摘。「管理組合の業務や費用は本来、組合員が平等に負担すべきだ」と言及し、金銭的負担で不公平の是正をはかることは合理的だと認めた。

 そのうえで、上乗せ額が管理組合費の15%と、さほど高額でないことや、大半の不在所有者が支払いに同意していることなどを考慮。「不在所有者ががまんすべき限度を超えているとはいえない」と結論づけ、支払っていない不在所有者側に未払い分を納めるよう命じた。

 国土交通省は、管理費や修繕積立金の負担義務や使い方などについて、管理規約の標準的なひな型を示している。ひな型は「役員は居住中の組合員から選ぶ」とする一方で、不在所有者の協力金の規定はなく、徴収するか否かは各建物の管理組合の判断に委ねられている。人数と所有面積の双方で4分の3以上が合意すれば、管理規約を変更でき、協力金の徴収を認めている。

 日本マンション管理士会連合会によると、築年数が古い建物ほど所有者の高齢化が進み、賃貸に出す所有者も増えて、管理組合の役員の担い手が不足する傾向が大都市でみられるという。一方で、大半の入居者は管理費を安く抑えたいため、管理組合の運営資金は不足がちで、同連合会は、今回の判決が呼び水になって、今後、不在所有者から、協力金の徴収を始める管理組合が急増する可能性があるとみている。

 各地のマンションの役員経験者らでつくるNPO法人・全国マンション管理組合連合会によると、協力金を徴収しているのは、100戸以上の大規模な建物が多いという。

 谷垣千秋事務局長は「画期的な判決。協力金には、貸す所有者が増えて管理組合が空洞化するのを防ぐ目的と、役員をやらずに済むことへのペナルティーを科す意味がある」と話す。

 

2010年1月27日 asahi.com( 朝日新聞)

 

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マンション非居住者に「協力金」最高裁認める (読売)

2010年01月27日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 大阪市北区にある分譲マンションの管理組合が、マンションに住んでいない所有者(不在組合員)にだけ、管理組合の運営を負担するための「協力金」の支払いを求めることができるかどうか争われた3件の訴訟の上告審判決が26日、最高裁第3小法廷であった。


 堀籠幸男裁判長は、「マンションの保守管理などには組合員の協力が不可欠だが、不在組合員は貢献をしていない。一定の金銭的負担を求め、居住組合員との不公平を是正しようとしたことは合理性が認められる」と述べ、支払いを拒んでいた5人に対し、月額2500円の支払いを命じた。

 判決によると、マンションは1960年代に建築、分譲されたが、次第に賃貸される部屋が増え、2004年には総戸数868戸のうち、約2割が不在組合員の所有になっていた。

 不在組合員は管理組合の役員に就かないため、管理組合は04年、不在組合員に対して、全員が負担する一般管理費などとは別に、月5000円の協力金を負担させることを決定。07年に2500円に減額した。

 3件の訴訟の1、2審判決は、「不在組合員の不利益が大きい」として管理組合の請求を棄却したり、「月額1000円程度なら合理性がある」として請求を一部認めたりするなど、判断が分かれていた。

 マンション問題に詳しい杉田昌紀・行政書士の話「マンションは築年数がたつほど、転勤などで不在組合員が増える傾向があり、そうした人から協力金などの金額を徴収できるかどうかの問題が、近年持ち上がってきた。最高裁判決によって徴収に踏み切る管理組合が増える可能性はあるが、2500円という額が独り歩きするのは問題で、管理の状況などにあわせて妥当な額を決めるべきだ」

 

(2010年1月26日  読売新聞)

 

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一票の格差2倍強、広島高裁も「違憲」 09年衆院選 (朝日)

2010年01月26日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 「一票の格差」が最大で2.30倍あった昨年8月の衆院選は憲法に違反するとして、広島市の男性が地元・広島1区の選挙無効を求めた訴訟の判決が25日、広島高裁であった。広田聡(さとし)裁判長は、法の下の平等を定めた憲法の観点から、格差が2倍超あるのは「容認できない」と指摘。格差2倍未満の1.47倍だった広島1区も含め、「選挙全体(小選挙区)が違憲、違法」とした。選挙無効の請求は、混乱を招くとして棄却した。

 昨夏の衆院選での一票の格差を問う訴訟の判決は、昨年12月の大阪高裁に続き2例目で、いずれも違憲判決となった。定数配分の見直し論議に影響を与える可能性がある。

 公職選挙法は選挙の効力をめぐる裁判の提訴先は高裁としており、今後、札幌、東京、名古屋、高松、福岡の5高裁と福岡高裁那覇支部でも3月までに、同様の訴訟の判決が言い渡される見通し。

 この日の判決は、憲法について、法の下の平等を定めた同14条などから、投票価値の平等も基本の理念としていると解釈。「有権者の少ない選挙区であれば1人に2票、反対に、有権者の多い選挙区なら2人で1票となるような結果を憲法が根拠なく認めているとは考えがたい」とした。

 そのうえで、衆院小選挙区の定数300議席から各都道府県にまず1議席ずつ配分し、残りの議席を都道府県の人口に比例して割り振る現行の「1人別枠方式」について検討。同方式は、過疎地の国民の意見の反映や中選挙区制からの激変緩和措置という事情から1994年に導入されたが、「すでに約15年が経過し、その間総選挙が4回あったことなどから、昨夏の総選挙より相当前の時点で合理性を失っている」と判断した。

 さらに判決は、国会にとって選挙価値の不平等の是正は優先的課題なのに、2005年9月の総選挙から4年近く2倍超の格差を放置したと指摘。「憲法上許される限度を超えた不作為があった」として、昨年8月の衆院選は違憲との判断を導いた。

 判決によると、昨夏の衆院選で一票の価値に2.30倍の格差があったのは、当日有権者数が最多の千葉4区(48万7837人)と最少の高知3区(21万1750人)。高知3区と比べ、格差が2倍超あったのは、全部で45選挙区とした。一方、男性が住む広島1区(31万1170人)と高知3区の格差は、全300選挙区中200番目の1.47倍と、2倍未満だった。

 被告の広島県選挙管理委員会側は、衆院選で3倍未満の格差なら合憲▽投票価値の平等だけでなく、人口密度や地理的状況なども考慮して定めた区割りは、国会の裁量権の範囲内――などとしてきた最高裁判例を挙げ、請求の棄却を求めていた。

 衆院選での一票の格差が最高裁判決で「違憲」か「違憲状態」と判断されたのは72、80、83、90年の4回ある。最大で2.82倍となった93年の衆院選以降、最高裁は96年(最大2.30倍)、00年(同2.47倍)についていずれも合憲と判断した。

 しかし、05年9月の衆院選(同2.17倍)を合憲とした07年6月の最高裁判決では、15人中6人の裁判官が個別意見で「1人別枠方式は目的や合理性が乏しい」などと違憲と判断したり、「ただちに違憲とはいえないが、是正を要する」と指摘したりしていた。

 

2010年 1月 26日 asahi.com(朝日新聞)

 

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平山神戸大教授が住宅政策の問題点を講演

2010年01月21日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

平山神戸大教授が住宅政策の問題点を講演
家賃補助など政策の転換を
公営住宅入居資格の拡充と公営住宅の建設の促進を
 
保守主義の住宅政策の特徴
 『住宅政策のどこが問題かー持家社会の次を展望する』(光文社新書)の著書の平山洋介神戸大学院教授の講演(NPO法人建築ネットワーク主催)が昨年11月都内で行なわれた。平山教授の説明によると、首都圏でピーク時に7000万円弱の住宅価格は、現在4000万円以下に下落し、世帯収入は低下しているにもかかわらず住宅・土地の負債残高は増加し、持家取得が資産形成と結ぶつかなくなってきているという。

 平山教授は、日本では戦後一貫して保守主義の住宅政策がとられ、持家や家族を持つ中間層を優遇・援助し、中間層を円の中に誘導する政策を続けてきたが、その反面、円の中心部から外部の個人や賃貸住宅に対しては政策の対象から除外してきたと指摘。また、グループ主義で企業に所属していれば社宅、家賃補助、住宅融資、年功賃金など手厚い住宅保障があったと強調。

破綻した持家中心の住政策
 しかし、持家政策は破綻し持家を持てない単身者や非正規雇用が増加し、低所得の賃貸住宅居住者は低家賃の木造賃貸住宅が減少する中で、家賃が大きな負担になっている。さらに、家賃保証会社の台頭によって追い出し被害が増加し、民間賃貸住宅の居住の不安定化がすすんでいる。

 平成20年の住宅統計調査によると持家61・2%に対し、公営住宅が4・1%、UR・公社住宅が1・8%、民間賃貸住宅27・1%で、公共住宅が6%弱と少ない。その公共住宅も削減されストックが減少している。フランスでは日本の公共住宅に匹敵する低家賃の社会住宅が17%を占め、オランダでは実に3割以上が良質の賃貸住宅・社会住宅が占め、所得に応じて家賃補助がヨーロッパの先進国では当然のごとく実施されている。

 景気対策のための住宅政策ではなく、賃貸住宅居住者への家賃補助や単身者の公営住宅入居資格の拡充と公営住宅の建設の促進など、住宅保障を中心に据えた住宅政策の転換こそが求められている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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更新料237万6000円、地代29%の値上げ要求 (西東京市)

2010年01月06日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 西東京市田無町に住むNさんは、平成元年に20年の借地契約の更新をしましたが、契約書はどういうわけか借主の名前が亡父親と母親の名義で、2通りの契約書をつくっていました。

 地主は、田無では昔から名主と言われた大地主でNさんはこれまで地代も言われるままに支払っていました。現在でも35坪で月額6万4800円と高額です。

 この度、地主から依頼されたという港区南青山の業者が、Nさんのところに現われ、契約を更新するので契約書に署名・捺印してほしい。更新料237万6000円(坪当たり約6万8000円)、地代を約29%アップの月額8万3661円、手数料として更新料の10%を請求してきました。

 Nさんは、更新料は支払うつもりで、地代を何とか負けてくれないかと頼みましたが、応じてもらえず困り果てて組合に相談に行きました。

 組合役員が契約書を見たところ、父親が署名した契約書には「賃貸人は建物を建築し、且つ所有することを承諾した。鉄筋コンクリート造陸屋根3階建共同住宅一棟……」と特約事項が加入されていました。借地法第2条第2項では、堅固建物所有の場合は30年とされており、平成元年に定めた20年の期間は無効であり30年であり、まだ残存期間は10年残っていることが判明しました。

 また、地代値上げの計算根拠とされた土地は地主が駐車場で貸している土地であることも分かりました。Nさんに西東京市でNさんの借地の土地の評価証明を取って調べたところ、何と現行地代は固定資産税・都市計画税の約8倍も支払っていることが分かりました。

 地主の代理人と称する業者に組合より上記の問題点を指摘したところ、「堅固建物の改築を承諾する契約書があることは知らなかった。契約の更新と地代値上げについては撤回する」とあっさり引っ込めました。

 地代については、「税金の4倍というならば現行地代を値下げすべきだ」と組合役員が指摘すると、「地主は値下げには応ずることはない」と逃げの一点張りでした。

 Nさんは地主に対して地代の値下げを請求したところ、地主の代理人は固定資産税と都市計画税の5倍まで値下げすると回答してきました。地代の値下げが月額2万円以上値下げになって、Nさんは組合の力に驚いていました。

 

全国借地借家人新聞より

 

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一票の格差違憲判断、背景に国民の意識の高まり 選挙制度見直し急務 (産経)

2009年12月28日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 衆院選での一票の格差をめぐっては、最高裁はこれまで2.92倍でも「合憲」としてきた。にもかかわらず、大阪高裁がわずか2.05倍でも違憲とし、「2倍を超える状態に固定するのは立法府のあり方として憲法上許されない」と国会の不作為を指弾した背景には、格差に対する国民の意識の高まりがある。

 意識の高まりを示したのが、8月の衆院選と同時に行われた最高裁裁判官の国民審査だ。最大格差2.17倍だった平成17年の衆院選を合憲と判断した裁判官2人について、市民団体が「不平等を肯定する裁判官を不信任に」と呼びかける運動を展開。2人は罷免こそされなかったが、不信任率はほかの裁判官に比べて突出していた。

 また、19年の参院選の格差をめぐる訴訟で、最高裁は9月末、4.86倍を「合憲」と判断しつつ、「大きな不平等。国会で速やかに適切な検討を行うことが望まれる」と指摘した。市民運動に参加し、今回の訴訟で原告側代理人を務めた升永英俊弁護士は「驚くべき判決で、これまでとは明らかに違う」と評価した。

 しかし、国会側に厳しい判断に傾き始めた司法に対して、格差をなくすための政策は進んでいない。参院改革協議会(座長・高嶋良充民主党参院幹事長)は今月、来夏の次期参院選での選挙区定数の見直しを断念した。「大きな不平等」は当面、維持されることが確実となっている。

 今回の高裁判決はおそらく上告され、最高裁で改めて判断が示されることになるだろう。それでも大阪高裁が、格差の是正を促す強いメッセージを発したことは一定の重みをもつ。国民審査の結果を見れば、独りよがりな判断ではなく、国民の意思を反映しているといえるからだ。格差是正のため、政府が選挙制度の見直しを早急に検討すべきときが来ている。

 

2009年12月28日 産経ニュ-ス

 

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現行の小選挙区「違憲」「格差2倍超放置」…大阪高裁判決 (読売)

2009年12月28日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 8月30日に投開票された衆院選の小選挙区で、議員1人当たりの有権者の格差(1票の格差)が最大2・30倍だったのは憲法違反だとして、大阪府箕面市の男性が府選管に選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決が28日、大阪高裁であった。成田喜達(きたる)裁判長(菊池徹裁判長代読)は「格差が2倍を超える状態を放置するのは立法府のあり方として憲法上許されない」として「違憲」を宣言したうえで、選挙自体については「無効とした場合、公の利益に著しい障害が生じ、公共の福祉に適合しない」とする事情判決の法理を適用し、原告の請求自体は棄却した。

 1994年の小選挙区比例代表並立制導入後、衆院選が「違憲」とされたのは初めて。この衆院選を巡っては、大阪以外に全国7高裁・支部に同様の訴訟が起こされている。府選管側は上告する見込み。

 小選挙区比例代表並立制と同時に制定された衆院選挙区画定審議会設置法(区画審設置法)は、選挙区間の有権者数の格差が2倍以上にならないことを基本として区割りするよう定めている。しかし、過疎地域への配分を手厚くすることを目的に、小選挙区の総定数300をまず47都道府県に1ずつ割り振り、その上で残り議席を人口比に応じて配分する「1人別枠方式」を採用したため、当初から2倍を超える選挙区が存在することになった。

 成田裁判長は「憲法は選挙権に関し、徹底した平等化を志向し、投票の価値の平等をも要求すると解される」と判断。そのうえで、1人別枠方式について「従来の著しい格差を改善させる方式として、過渡期の改善策としてそれなりの合理性と実効性があったが、現時点では憲法の趣旨に反する」とした。

 8月の衆院選では、選挙当日の有権者が最も少なかった高知3区と最も多かった千葉4区の格差は2・30倍。原告の男性が居住する大阪9区との格差も2・05倍で、全選挙区300のうち、2倍以上の格差がついた選挙区は45に上った。

 この点について、成田裁判長は「格差が2倍に達する事態は、大多数の国民の視点から耐え難い不平等と感じられてきた」として、原則2倍に達した場合は違憲との考えを示し、「この格差は1人別枠方式という憲法の趣旨に反する選挙区割りにより生じたと認められ、本件選挙は違法との評価は免れない」と結論付けた。

 事情判決の法理 行政事件の取り消し訴訟で、行政処分や裁決が違法でも、取り消しで公益に著しい損害を与えると判断される際、原告の請求を棄却できる。判決は主文で処分が違法であることを明確にする。係争中にダムが完成した場合などに用いられるが、選挙の効力に関する訴訟では公職選挙法がその準用を排除しているため、これまでの定数訴訟では法の理念を引用する形で言い渡されてきた。

(2009年12月28日  読売新聞)

 

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衆院選、2倍強の票格差「違憲」 選挙は有効 大阪高裁 (朝日)

2009年12月28日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 8月の衆院選で、有権者が多い選挙区と少ない選挙区の間で一票の価値に最大2倍強の格差が生じたのは、法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、大阪府箕面市の60代男性が地元・大阪9区の選挙無効を求めた訴訟の判決が28日、大阪高裁であった。成田喜達(きたる)裁判長(菊池徹裁判長代読)は、現行の選挙区割りについて「違憲」と判断。選挙無効の請求については棄却した。

 現行の小選挙区比例代表並立制に基づく初の衆院選があった1996年以降、「一票の格差」をめぐる司法の違憲判断は初めて。総務省の記録によると、高裁レベルでの違憲判断は、90年の総選挙をめぐる91年5月の大阪高裁判決以来、18年ぶり。

 先の衆院選で一票の格差を問う訴訟は、各地の有権者が、札幌、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の全国7高裁と福岡高裁那覇支部に提訴。大阪訴訟が初の判決となった。公職選挙法は選挙の効力を問う裁判の提訴先を高裁と定めている。

 府選管の提出資料によると、政権交代に至った8月30日投開票の衆院選で、当日有権者数が最多の千葉4区(48万7837人)と最少の高知3区(21万1750人)の間では一票の格差が2.30倍あった。男性が住む大阪9区(43万3290人)と高知3区でも2.05倍の差が生じた。

 訴訟で男性側は、法の下の平等を定めた憲法14条や、選挙人の差別を禁じた憲法44条を根拠として、「すべての有権者は『一人一票』が保障されている」と主張。一票の格差が2倍強もある中で行われた選挙の結果は、有権者の意見を平等に反映したものとはいえず正当性がないとした。

 一方、被告の府選挙管理委員会側は、衆院選で3倍未満、参院選で6倍未満の格差なら「合憲」としてきた過去の最高裁判例の流れを踏まえ、請求棄却を求めた。また今回の格差は「国会の裁量の範囲内」と反論していた。

 一票の格差が最高裁判決で「違憲」または「違憲状態」とされたのは72、80、83、90年の衆院選、92年参院選の5回あるが、混乱を招くとして選挙無効となった例はない。

 

2009年12月28日 asahi.com(朝日新聞)

 

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「追い出し屋」に刑事罰 政府、来春までに法案 (朝日)

2009年12月18日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 家賃を滞納した借り主が、強制的に退去を迫られる「追い出し屋」被害が相次ぐ問題で、政府が次の通常国会に提出する「追い出し規制法案(通称)」の概要がわかった。借り主の連帯保証を請け負う家賃債務保証業者に国への登録を義務づけ、悪質な取り立て行為には刑事罰を科す。滞納履歴など個人の信用情報を扱うデータベース(DB)の事業者も登録制にして国の監督が及ぶようにする。

 国土交通省によると、民間賃貸住宅(約1300万戸)の約4割が家賃保証業者と契約し、急速に市場が拡大。これに伴い、一部業者による追い出し行為が社会問題化した。政府は借り主の住まいの安定確保に向けた新規立法が必要と判断し、来年3月までに法案を提出する方針だ。国交省と消費者庁が連携し、効果的な被害救済の体制づくりを図る。

 新法は「家賃保証業の適正化及び家賃の取り立て行為規制法(仮称)」。貸金業法を参考に「人を威迫し、私生活の平穏を害する言動」を条文で禁止するとともに家賃滞納者への深夜・未明の督促▽無断での鍵交換▽家財撤去――などの強引な取り立て・追い出し行為を禁じる。規制対象は家賃保証業のほか、不動産賃貸・管理業、賃貸住宅を一括借り上げし、第三者に貸すサブリース業、家賃回収代行業など業種を問わず、個人家主も含める。違反した場合、懲役刑や罰金刑を科す。

 家賃保証業は登録制にし、役員に犯歴がないことなどを開業条件とする。借り主との契約時に保証金や保証期間などを記した書面の交付を義務化。無登録営業や暴力団員の使用なども禁じる。

 一部業界団体が来年2月からの稼働に向け、準備している借り主の滞納歴などの信用情報を盛り込むDBについても、事業者を新法で規制し、登録制を導入。事業者にDB運用時に借り主の同意を取り付け、借り主の要求に応じて登録情報の開示を義務づけるほか、秘密保持の徹底を求め、目的外使用を禁じる。

 家賃保証、DBの事業者が違反した場合、業務停止や登録取り消しなどの行政処分、刑事罰を科す。(室矢英樹)

 

2009年12月18日 朝日新聞

 

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完成間近のマンションの建築確認を取り消し 最高裁で確定 (産経)

2009年12月18日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 東京都新宿区内のマンション建設に反対する周辺住民が、区の建築確認を取り消すように求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は17日、区側の上告を棄却した。建築確認を取り消した区側逆転敗訴の2審東京高裁判決が確定した。マンションは完成間近の状態で、工事がストップしている。

 最高裁が建築確認の取り消しを求めた訴訟で判断を示したのは初めて。住民側の代理人の弁護士らによると、工事が進んだ建築物の建築確認を取り消すのは異例。区や業者は取り壊しなど、対応を迫られる。

 問題のマンションは、タヌキが生息する「タヌキの森」と親しまれている同区下落合の屋敷跡に建設。地上3階地下1階で、延べ面積約2800平方メートル。敷地の周囲はがけ状で、長さ約30メートル、最小幅4メートルの空き地で外の道路に通じるが、災害時の避難のために建物敷地が接する道路の幅を定めた都条例では、延べ面積が2000平方メートルを超える場合、幅8メートルの通路が必要とされていた。これに対し、区は特例で対応していた。

 今回の判決で、「違法建築」が確定したため、区や業者は対応を迫られることになる。区などによると、取り壊しのほか、適法にするために、外の道路に通じる空き地の幅を広げたり、建物の面積を圧縮したりすることも考えられるという。

 原告の1人は「住環境が守られた。更地に戻して木を植えるなどし、自然を後世に残したい」と話した。中山弘子区長は「司法の最終判断を受け止め、適切に対処する」、建設業者は「当惑している。不備はないと考えているので、区と協議し、対応を求める」とのコメントを発表した。

 

2009年12月17日 産経ニュース

 

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