前にも紹介したことある彼らは、Flower Records主催の高宮永徹氏らを中心としたハウス系ユニット。最近はクラブにもほとんど行かなくなって、この手の音との接点も少なくなったのですが、それでもやはり良い曲は良い。と言うわけで彼らの最新リリースから紹介です。考えてみれば、このブログでジャケなしの12インチを紹介したことってほとんどないんですよね。それはやっぱりAt The Living Roomっていう趣旨の性質上、ホーム・リスニング出来ないような単なるDJツールとしての新譜を紹介しても仕方ないと思ってのことなので、今回みたいにそのような中でも敢えて12インチを紹介するってことはそれが本当に良い曲だということ。10年経ってもきっと色褪せないであろう輝きを放った1曲だということです。少し大げさかもしれませんが…。で、肝心の曲の方はと言うと、初期のSunaga t Exeprience作品にも頻繁に参加していたプラザ藤崎さんによる美しすぎるピアノと、Calmなどの作品にも客演する加藤雄一郎さんのサックスが絡み合った極上のディープ・ハウスです。東京の秋の夜を彩るのにぴったりと言うか、とても都会的で儚い一曲。かつてのレーベルメイトSu-Paka-PoohによるIn Her Arms(Dragon Fruit Mix)なんかにも通じる、ジャジーでアーバンな傑作なので、その辺り好きな人はぜひチェックしてみてください。夜景が似合う大人のハウス・ミュージックです。
2002年にリリースされ、21世紀のスティーヴィー・ワンダーとして多方面から話題になった黒人シンガー・ソングライターDonnieによる1stアルバム。後にMotownからもリリースされたようですが、僕が持っているのはGiant Stepからリリースされた2枚組のアナログ盤です。最近のものにしてはこのアナログが何気に手に入りにくく、発売当時買い逃していた僕は後から探すのに苦労しました・・・。で、やっぱりこのアルバムと言えばA-2のDo You Knowですね。R&Bと言うよりは70年代のニューソウルと言ったほうが良い黒人音楽と、華やかで軽快なブラジル音楽の高次元での融合が素晴らしい。そしてライト・メロウなメロディ展開もモロに日本人好みするところでしょう。まるでスティーヴィー本人が軽やかなボッサ・ビートに乗せて歌っているかのようです。そしてタイトル通り昇天しそうに気持ちのいいオーガニックなフリーソウルのC-1、Heaven Sentも最高。午後のコーヒーを飲みながら聴くもよし、パーティーの終わりに明け方のフロアで聴くもよしの最高のアルバムです。最近の音なんて興味ないなんて言わず、知らない人は是非チェックしてみてください。というかむしろ往年のフリーソウルが好きな人にこそオススメのアルバムです。
イタリアのSchemaレーベルからリリースされた最新作を久々に紹介。最近は自分の中で新譜離れが激しくて、正直D.M.R.にチェックしに行っても惹かれるものがないのですが、やはりSchemaだけはオフィシャル・ホームページ共々未だにチェックしています。で、これはそのSchemaのDJ&リミキサーGerardo Frisinaによる12インチ。いずれリリースされる3rdアルバムからの先行カットと言うことのようです。前作Hi Note以降、ひたすら60年代風の古きよきモダン・ジャズを追求し続けている彼ですが、今回の曲はコテコテと言うかHorace Silverのカヴァーです。とは言えオリジナルでの6/8拍子を捨て高速4ビートのジャズ・ハウス・スタイルで展開されているので、クラブ映えは抜群だと思います。アフロキューバンに刻むハイハットも最早お約束ながら格好いい。欲を言えばコーラスなしの完全インストが良かったという気もしますが、その点を差し引いても充分に美味しい曲であることは確か。昨年末に世間を騒がせたP.Fedreghini & M.BianchiのCircus In C Minor路線が好きなら、ぜひチェックしてみてください。オススメ盤。
日本が世界に誇るクラブ・ミュージックの良心Flower Recordsの看板コンピ。現在のところ第三弾までリリースされていますが、この99年にリリースされた1枚目がやっぱり一番好きです。現在もクラブ界で活躍している第一線のFlower勢はみんなこのコンピから巣立っていったと言っても過言ではないでしょう。Jazztronikこと野崎さんによるA-2のNow Or Neverは傑作ジャジーR&B。続くSu-Paka-PoohによるA-3の「くらげ」も浮遊感溢れるディープなダウン・テンポ・ハウスで単純に今聴いても素晴らしいです。DJ KanamuraのエレクトロニカなC-2、Sleepin' Bunny辺りもかなりツボ。基本的に無機質な電子音楽なのに、そのなかにどこか暖かさがあってメロウなのが何ともいえない心地良さを演出します。そしてC-3のSunaga t Experienceによる「かすかなしるし」は本当に名カヴァー。個人的Subliminal Calmの原曲を超えたと思っています。静寂の中を美しいピアノとAsiana嬢によるつたないヴォーカル・ワークが揺れていき、そこにかすかな電子ノイズが被さる。まさに完璧としか言いようのない出来でいつ聴いても溜め息しか出ません・・・。本当に素晴らしすぎです。ちなみにCDで再発されていますが、何気にアナログは枚数が少なかったようで少しレア。もし中古屋で安く見つけたら買っておきましょう。ジャケット・ワークも綺麗でいいですよね。
少し前に12インチを紹介したばかりですが、先日アルバムもアナログ化されたのでこちらも紹介。前述したように昨年末~今年初頭辺りにCDではリリースされていたのですが、今回DMRのアレンジにより待望のアナログ化がなされたらしいです。多くのアーティストが在籍するSchemaの中でも彼らは際立ってモダンジャズ志向が高いと思われますが、かと言ってNicola Conteの2ndほど本格的なジャズに傾倒しているわけではなく、あくまでクラブジャズを基調にしながらモダンなエッセンスを加えていると言った感じ。そのバランス感覚が絶妙でジャズ初心者でも気張らず楽に聴けるオシャレなアルバムに仕上がっています。12インチ化された曲はもちろん、その他の曲も良い曲ばかりでどれもお気に入り。特に女性ヴォーカルをフィーチャーしたモーダルなワルツ・ジャズのC-3、Nothing Has To ChangeやD-1に収録されたエレガントなボッサのYou Are Star、それから軽快なインストゥルメンタル・サンバ・ジャズのD-3、Theme Of Solitary Notes辺りは最高です。男性ヴォーカル入りのB-1、Another Faceもなかなかに良い。ちなみにアナログは500枚限定です。興味のある方はなくならない内にどうぞ。部屋聴きにもドライブにもオススメの一枚です。
昨今一部で大注目となっている北欧の良質ブレンド~マッシュアップ・レーベルGAMMから、今年の上半期を代表する一枚を紹介。TangoterjeことTodd TerjeによるMichael Jacksonのリミックス仕事です。最早今更な感じもなくはないのですが、実はこの12インチ発売数ヶ月前からGilles Petersonが自身のラジオWorldwideでヘヴィー・プレイしていて、僕自身ずっとリリースを楽しみにしていたもの。最近ではJessy PowellによるR&Bカヴァーも話題となりましたが、やはりオリジナルのマイケルによる歌声の方が数倍素晴らしい。しかも上モノはほとんど変えずにビートだけをボッサ~ブラジリアン仕様に変換しているところも憎い。メロウかつソフト・ブラジリアンかつビート強めのクラブ・トラックという理想的な展開に仕上がっています。ちなみにB面はドイツの歌姫Kitty Winter Gipsy Novaの大クラシックNew Morningのパーカッシヴなリエディットで、こちらもなかなか悪くない出来です。まぁAB面共に僕自身がクラブでDJしたとしてかけるかどうかは微妙なのですが、それでも最近の新譜としてはかなり良質なものとして仕上がっていると思うので、興味があればぜひどうぞ。ちなみにおそらく12インチのみのリリースです。
このブログでは初めてとなりますが、手前味噌ミックスCDの出来がなかなか良かったので紹介したいと思います。最もミックスとは言ってもライブミックスではなく、Acidという有名な音楽ソフトを使って作成したミックスなのですが、選曲含め製作にかなり時間をかけただけあってタイトルに偽りなしの素晴らしい作品が完成しました。ジャズはジャズでも僕が大好きなヨーロピアン・ジャズのみに絞って60年代ハードバップ~現代クラブジャズまで選曲しています。もちろんこのブログで今までに紹介してきた定番・名盤群からの曲も多数収録。僕が敬愛する須永さん辺りのテープなどからのパクりも随所にありますが、それでもDJでもない素人が作成したミックスCDにしてはおそらくかなり高水準の内容。何より僕自身が作成しているので、他の数多のDJが作るテープやCDとは違って完全に僕好みの音のみを収録しているところも気に入っています。まぁ所詮、自画自賛なのですが・・・。ちなみにジャケットはインターネットで見つけてきた画像を若干加工してきたものを使用しています。人によっては、男気溢れる音とこのジャケットが合っていないという感も持たれそうですが、僕自身はなかなかこの可愛いジャケットも気に入っています。最近、我が家の夜にはこのミックスCDばかりかけています・・・。
かなり今さらな感じもありますが、最近自分のミックスCDに旧譜ジャズに交えて収録した関係もあってここで紹介。ここでも何枚も紹介しているイタリアのSchema Recordsから昨年末に2枚同時にリリースされたPaolo Fedreghini & Marco Bianchiの12インチの内の一枚です。ちなみにヴォーカル・トラックが2曲フィーチャーされた青盤の方も持っていて嫌いではないですが、より僕好みだったのはこちらの赤盤。両面ともクラブを意識したジャズ・ハウス的ナンバーながら、その演奏はあくまでバップ・マナーに即していて素晴らしい。同レーベル前述のDoctor Abstract辺りにも近い感じ。特に僕が気に入っていてCDにも収録したのはA面のタイトル曲。Marco Bianchiの硬質なピアノをバックに鋭いホーン・セクションが暴れる様はただただカッコいい。クラブ・トラックでありつつ純粋なモダン・ジャズとしても楽しめる稀有なナンバーなので、クラバーな若者から本格志向のジャズ親父まで聴けると思います。CDのみでアルバムがリリースされているので、CD派の人はそちらでどうぞ。最もアナログ派の僕は既出アナログと曲被りが多いのでCDは未聴ですが・・・。
Japanese Hiphop界のオリジネーターYou The Rockによる3年ぶりのニューアルバムからの1stカット。長年在籍していたCuting Edgeを離れた後の彼は、これまでのハード・コアから一転して急激にポップ・サイドへアピールしてくるようになりました。本来的に狭い殻・身内ノリに閉じこもりがちな国内ヒップホップの輪から簡単に抜け出し、プロデュースにも小西康晴やFantastic Plastic Machineなどクラブ・サイドの人間を積極的に起用。最もその一方で従来のHiphop畑の人間との交流も決して忘れることなく、MuroなどJ-Hiphopを牽引するトラックメイカーとの仕事もしっかりとこなしているのが凄いところ。彼はまさにメジャーとマイナーの垣根を飛び越えた真のエンターテイナーと呼べるでしょう。さて、これはそんな彼の最新シングルで、プロデューサーにBuddha BrandのDev Largeを迎えたアルバム中もっともオシャレなナンバー。ダバダバ・コーラス&ファンキーな(おそらく)ヨーロッパ産レア・グルーヴのサンプリングが病みつきになります。そして注目はこの盤のみ収録となるInfrenced Jazz Remixと名付けられたSunaga t Experienceによるリミックス。原曲の持つグルーヴはそのままに、太宰百合を中心としたクインテットで完全生音演奏でオシャレ度&ゴージャス度120%増しの素晴らし過ぎるリミックスです。ホーンのユニゾンが格好良過ぎ。ぜひ聴いてみてください。
正直そこまで曲自体が好きかと言えばそうでもなく、まして辰緒さんのカヴァー以外は全く興味がなかったのですが、あまりのジャケの可愛さについつい手が伸びてしまった一枚。今年の2月にリリースされたDimitri From Parisプロデュースによる同タイトルのアルバムからのアナログ化です。アルバム自体は「おしゃれキャット」の邦題を持つディズニー映画The Aristocatsに捧げられたコンピレーションで、日本人のクラブ系アーティストなどを中心に現代風フレンチ・ポップスを作っってみましたという企画盤。そしてその中からDJに人気が高かった4曲がアナログ・カットされたそうです。というわけで4曲全てがクラブ向けなのですが、やはり個人的にはB-4に収録されたSunaga t ExperienceのThe Aristocatsが最も好みですね。まぁ正直なところ毎度お馴染みのオシャレ系ラウンジ・ジャズで「まんねり」感は否めないのですが、それでもピアノの太宰百合さんを中心に流石に演奏レベルが高く、変に気張ることなく安心して聴いていられます。これ以外の曲では意外なところでB-1に収録されたDJ JinによるLes Cactusがなかなか悪くないジャジー・ブレイクビーツ。僕が知っているライムスターのDJとしての彼とは一味違った雰囲気で、聴いていてなかなか面白い曲ですね。とりあえずディズニーの限定ものということで、毎度のことながら凄い早さで市場から消えると思います。興味がある方はお早めにどうぞ。