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At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

History Is Pearshaped / Nekta

2006-04-06 | Club Music
数年前に[Re:Jazz]シリーズが大ヒットを記録したドイツのInfracomからひっそりと届けられた本作は、北欧アイスランド出身のNathalie SchaferとGyso Hilgerなる二人組による12インチ。クレジットから判断するに、おそらくGyso Hilgerというトラック・メイカーがNathalie Schaferをヴォーカルに迎えて結成したユニットなのでしょう。Schemaから1枚12インチをリリースしたCabaret Noirあたりに近いユニット構成で、音自体も非常に近いものを感じます。ちなみに先にCDのみでアルバムがリリースされている模様で、今作はそこからのシングル・カットのようですね。オリジナル曲もなかなかの佳作ですが、ここで注目すべきは何といってもB-1のWhat Nature Brings - native rmx。昨年のミニアルバムにて一躍シーンの人気者となった、日本を代表する生音クラブジャズ・ユニットであるNativeが、なぜか唐突に彼らの曲をリミックスしています。しかもこのリミックスはとてつもないハイ・クォリティ。エレピを主体としたトリオに哀愁のサックスが加わったスムースなコンボにて、ラテン・3拍子・4ビートを自在に行き来する最高にクールなジャズ・ダンサーです。正直、この間のQuasimodeによるDown In The Villageはあまりに派手過ぎてピンと来ませんでしたが、こちらは間違いなく僕好み。自身のミニアルバム収録曲よりも多分こちらの方が良いかと思われます。極私的今月のオススメ盤。

Lead The Way / Soulstance

2006-03-30 | Club Music
先日紹介したLo Greco兄弟による本体ユニット、Soulstanceの4枚目のアルバム。前にも書いたとおりQuintetto~名義でのリリースが控えているためもあり、このアルバムはそれとの差別化を図るためと思われるダンス・ジャズ集。同レーベルの作品としては、昨年リリースされたGerardo FrisinaのThe Latin Kick辺りに近い肌ざわりです。実際Lo Greco兄弟はGerardo Frisinaの諸作にも大きく関わっているので、この展開はまぁ想定の範囲内と言ったところ。曲単位で言えばB-2のCrossroadsやC-1のEclipse、C-2のSpecial One辺りはアフロ・キューバン~ラテン風味のジャズ・ダンサー佳作と言った趣きですね。もっとも前にThe Latin Kickの項でも書いたとおり、僕はこの手のサウンドが若干食傷気味なので、あまり好きな感じではないわけですが…。ただ、そんな僕でも思わず耳を奪われてしまったのが、アルバム中では異色と言えそうなD-1のMoon Vision。Alice Ricciardiなる女性をスキャットで起用した、美しくもモーダルなジャズ・ワルツです。同郷のMarco Di Marcoのトリオ作辺りを思わせるAt The Living Roomな音作りには、ただただ溜め息をもらすばかりと言った感じ。あまり強烈にオススメ出来る盤ではないと思いますが、このブログを見てる方々ならば、この1曲のためだけに買っても損はしないかもしれません。

One I, Two Eyes / Wei Chi

2006-03-09 | Club Music
挑発的な唇ジャケットが秀逸な本作は、CompostのWei Chiによる2004年の1st。レーベルの看板コンピGlücklich IVに収録されていたHeavenという曲が当時話題となった人と言えば分かる方もいるでしょうか。そのHeavenから実に4年を経ての唐突なリリースで、発売当時にそれほど話題になったわけでもないので、この2LPは日本国内においてはほとんど流通しておらず、今となっては入手するのが困難な一枚になってしまいました。かく言う僕自身も発売当時に買い逃したために、今日まで手に入れられなかったのですから…。発売時にも試聴していて実際に何度か購入を試みたのですが、何となく決め手に欠けていて悩んでいるうちにSold Outになってしまったという苦い思い出がある一枚です。で、肝心の内容の方なのですが、これぞ正にCompostと言うようなフューチャー・ジャズが満載。正直この手の音は食傷気味なわけですが、ほぼ全編でフィーチャーされたMerit Ostermannなる女性ヴォーカリストの歌声がキュートで、聴いていてそれほど嫌味な感じは受けません。特に4つ打ちとも相性が良さそうなC-1のDreamや、メランコリックなピアノやストリングスが心地良いC-2のPray For Peaceはなかなかに上出来ではないかと…。時期的にシーン全体が本格的にモダンジャズへ回帰していく直前の作品なので、フューチャー・ジャズ期における最後の遺産と呼べるかもしれません。

The Invisible Session / Same

2006-02-09 | Club Music
ますます絶好調なイタリアのSchemaレーベルから届いた新作は、先日Freedom Jazz Dance Book IIでお披露目を果たした新ユニットThe Invisible Sessionによる1stアルバム。とは言え、彼らは何も全くの新人と言うわけではなく、レーベル・オーナーでDJでもあるLuciano Cantoneと、今やすっかり日本でも人気のPaolo Fedreghini & Marco Bianchiの2人が手を組んだユニットだったりします。ではPaolo & Marco名義の作品と具体的に何が違うのかと言うと、おそらくはその演奏形態なのでしょう。Paolo & MarcoのSeveral Peopleでは随所に打ち込みを使っている形跡が見られましたが、こちらはほぼ100%に近い形で生演奏を繰り広げていると思われます。なんとなくですがKoopによる大傑作Waltz For Koopと似た印象。さて、いつもの通りの2LPパッケージで今回白眉としたいのはC-Side。ここに収められた3曲はアルバムの中でも特にモダン志向が強めで、Clarke = Boland SextetによるMusic For The Small Hours辺りの影響が色濃く見えます。特に3曲中唯一インストとなるC-3のThree For Youはヨーロピアン・ジャズそのもので、知らずに聴いたら誰もこれが新譜だとは思わないはず。Nicola Conteの世界観にも直結するエレガントな3拍子のモーダル・ワルツ。これ一曲のためだけにも買う価値はありでしょう。

Jazzflora EP / Various Artists

2005-11-24 | Club Music
先日2作目もリリースされたDealers Of Nordic Musicというスウェーデンの新進ジャズ・レーベルによる良作コンピからのサンプラーEP。実は発売してから一年半以上経つのですが、DMRで即売り切れた後に再入荷がなかったので、手に入れるのに時間がかかってしまいました。このDealers Of Nordic Musicという名前には聞き覚えがないかもしれませんが、Hirdを輩出したレーベルと言えば耳の早いリスナーは分かるはず。このサンプラーにも当然Hirdの曲がメインで収録されています。後に自身のアルバムにもタイトルを変えて再録されたA-1のI Love You My Friends(Vokal Version)がそれ。当ブログでもずいぶん前に紹介したエレピ使いのフューチャー・ジャズ傑作のユキミ・ナガノによるヴォーカル入り版。これは文句なしに素晴らしい。それからB-1のOddjobによるBloodstreamという曲もなかなか。World Standardにも収録されていますが、5/4という変拍子で心地よい北欧ジャズを聴かせてくれる好曲です。このアーティストの詳細は残念ながら不明ですが、CDでアルバムを一枚出しているよう。ちなみに、このサンプラーはあまり見つからない一枚ですが、CDで良ければ普通にHMV等で買えるはずです。そちらにはKoopやThe Five Corners Quintetなども収録されているらしいので、未聴の人はぜひ聴いてみてください。

Down In Brazil Edition / V.A.

2005-11-08 | Club Music
最近あまりレコードを買っていなくて紹介出来る物が少ないので、自前のミックスCDを再び紹介。もっとも前回Welcome~を送らせて頂いた方にはオマケでつけていたものなのですが、それに軽くジャケットを付けてみました。まぁ見れば分かるとおり例のトレイシー・ソーンのLPから思い切りパクらせてもらっているのですけれどね(笑) 肝心の内容の方はというとWelcome~とは打って変わって完全なカフェ仕様。キュートなジャズ・ボッサやハッピーなサンバ、それからフランスやイタリアなどのオシャレなサントラから新旧問わず選曲してみました。未CD化のミシェル・ルグランによる「モン・パリ」や、逆にCD音源オンリーとなるRebecca ParrisのIt's Youカヴァー、それからエストニアのUno Loop辺りが入っているところがウリですかね…。年代やジャンルを違和感なく自然に飛び越えるスムースなミックスもなかなか良い感じ。Organ b. SUITEから繋ぎを数曲パクらせてもらったせいもありますが、中盤一回おとなしくなって徐々に再び盛り上げていく後半の流れなどもかなり気に入ってます。全体的に今の流行の音とは少し違う雰囲気ですが、まぁこれも僕のアナザー・サイドということで(笑) 今日みたいに良く晴れた休日の昼間に一人で聴いて楽しんでいます。

Go Ahead ! / The Jazzinvaders

2005-11-07 | Club Music
オランダのトラックメーカー(?)であるPhil Martinらによる8人編成のジャズコンボの12インチ。二ヶ月ほど前からオルガンバーHP内のPremium CutsやJourney On Waxさんで紹介されていて気にはなっていたのですが、発売時に買い逃したせいかなかなか再入荷の機会に恵まれず、手に入れるのに思いのほか時間がかかってしまいました。A-1のUp And Outがダンサンブルなラテン・ジャズで、フロアーでのいわゆるキラー曲ということになるのでしょうが、僕的には少し派手過ぎな感じがしてしまって苦手です。まぁこの間のGerardo FrisinaのThe Latin Kick収録曲辺りと繋げてかければ盛り上がりそうですけれどね。ただB面に収録された2曲はなかなかの佳作。特にハード・バップ風ジャズ・ボッサなB-1のタイトル曲はキラーではないにしろ、速い時間のフロアを気持ちよく暖めてくれそうなナンバーです。ミックスCDに組み込むなら2曲目か3曲目という感じの無難な一曲。最も新譜だからこそこんな評価なわけで、これと同じ内容の曲が旧譜のレア盤で存在したら、おそらく相当の高値が付くのでしょうが・・・。まぁ新譜12インチだし1000円強で買えるので、興味があれば買ってみても良いかもしれませんね。

Optimista / Monday Michiru

2005-11-03 | Club Music
元祖クラブ系ディーヴァとして80年代後半から活動しているマンディ満ちる女史による99年のアルバム。核となっているプロデューサーが盟友Mondo Grossoの大沢氏で、この頃の彼はブラジリアン~ラテン系のサウンドに傾倒していたことから、アルバム全体の雰囲気もどことなくアシッド・ジャズ以降のクロス・オーヴァーと言った趣き。普通になかなか良い感じです。また当時シングル・カットもされたA-1のPlay It By Earは、IncognitoのStill Friends Of Mineを彷彿とさせる上質のヒップホップ・ソウルで、聴いていてとても懐かしいい気持ちになります。と、まぁここまでは無難に良いながらも、他の彼女のアルバムと明確な違いが感じられるわけでもないのですが、このアルバムの白眉は実はこれらの楽曲ではなくてD-1のThinking Of You。あのSister Sledgeの名曲を、完全生音のグルーヴィーなラテン・ジャズ仕様でカヴァーしていて、これがとてつもなく素晴らしい出来なのです。今までこのヴァージョンを知らなかった僕は、先日クラブでこれを始めて聴いた時に、中南米のレアな7インチか何かだと思っていました。本当にそっち系のサウンドそのものなんです。と言うわけで、現在のクラブでも全然かけられるThinking Of Youカヴァーが収録ということで、フリーソウル~クボタタケシさんファン辺りには大いにオススメの一枚です。ちなみに某大手中古レコード店では2LPなのに1000円切っていました(笑)

Freedom Jazz Dance Book II / Various Artists

2005-10-29 | Club Music
お馴染Schemaレーベルから先日リリースされた秀作コンピ。前作からはアナログではNicola ConteとGerardo Frisinaのスプリット12インチが一枚切られただけでしたが、今回は未発表曲が多いせいか2LPとしてもリリースされています。当然僕が持っているのもそちらの方。全体に同じような曲が多く、よく言えば「まとまりのある」悪く言えば「個性のない」一枚です。Jukka EskolaとDalindeoのRicky-Tick勢が収録されている他は、全てSchema内のアーティストの新録でまとめてあるのですが、驚くべきことにSoulstanceやS-Tone Inc.までモダン・ジャズ志向にシフトしているようです。彼らにはもう少しエレクトロなイメージがあったのですが、レーベルのカラーに合わせての方向転換と言ったところなのでしょうか?人気のP.Fedreghini & M.BianchiによるC-2のStarsは女性ヴォーカルを配したボッサ・ハウス。Blu Night In Africaという彼らの曲と似た印象を受けます。決して悪くはないのですけれど…。ただこのコンピの拾い物はD-2に収録されたQuintetto Lo GrecoによるYes And No。Wayne Shorterのカヴァーになるようですが、2管でぐいぐい引っ張っていくスタイリッシュなサンバ・ジャズでかなり良い感じ。この一曲のためだけにでも買う価値ありかもしれません。クラブ的な要素はほとんどない完全生音なので、モダンジャズ好きな方にもオススメです。

The Latin Kick / Gerardo Frisina

2005-10-08 | Club Music
前回12インチを紹介した際に「いずれ発売される」と書いた3rdアルバムですが、意外なことにこんなにも早くリリースされてしまいました。とは言えアナログ盤だと既出12インチとの曲被りもないので別に両方買ったところで損はしないのですけれどね。さて早速アルバム内容の紹介なのですが、タイトルにもあるように今回はかなりラテンです。ここでも紹介した前作Hi Noteやこの間のThe Gods Of Yorubaが古き良きモダンジャズにかなり接近していたので、Gerardo Frisinaはてっきり路線変更したものと思っていたのですが、今回は再び彼本来のラテン方向に軌道修正を図った模様です。ド派手なラテン・ダンサーのA-1、Cortanteから始まり他の曲も全てクラブを意識したラテン・ナンバーを収録。人によってはおそらく全曲クラブ使用が可能だと思います。でも個人的にはHi Noteのような渋い作品を期待していただけに少し残念な気も…。ただアフロキューバン・ジャズなD-1のJazz Allyはなかなか好みです。ビートはパーカッシヴだしクラブを意識した曲であることは間違いのですが、今回のアルバムにおいては唯一モダンジャズ風の曲で、Basso=Valdambriniや最近だとFive Cornres Quintet辺りにも通じる2管のソロも格好いいジャズ・ダンサー。とは言え好みが分かれそうなアルバムなので、とりあえず買う前に試聴してみることをオススメします。