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At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

The Argonauts / Same

2005-06-21 | Contemporary Jazz
87年にオランダで自主制作されたローカル・ジャズ。Paulus Pottersなるピアニストを中心に、ピアノ・トリオからホーンや歌入りのフュージョンまで幅広い音を聴かせてくれます。まず素晴らしいのが冒頭A-1のYou Came Along。サニーサイドのハッピー・ジャズと言ったところでしょうか?あのLove, Oh Loveなどにも通じる美しくも軽快にスウィングするピアノの音色は一度聴いたら病みつきになること間違いなしです。続くA-2のPiccadilly Circusはフュージョン気味ながらフルートが美しい4ビート・スウィング。こちらも素晴らしいです。そしてA-5のNobody Can Take You Away From Meはメロウな展開が否応にも都会をイメージさせるAOR名作。ソウルフルな男性シンガーによるヴォーカル・ワークと、それをしっかりバックで支えるミュージシャン陣。ジャズ~フュージョンとAORの中間という僕にとっては理想的な曲です。これぞフリーソウルと言ったところ。ローカル・ジャズと言えど録音が新しいので、音が凄くクリアなところもポイント高いです。あまり見たことがある盤ではないですが本国ではCDでもリリースされているよう。一応CDの方はHMVの通販などでも買えそうなのでチェックしてみてください。昼間のカフェ~夜のバーまで馴染む隠れ名盤です。

Marju Kuut - Uno Loop / Same

2005-06-20 | Contemporary Jazz
旧ソ連の国営レーベルMelodyaに残された素晴らしき一枚。なにせロシア語で表記されているために全く読めず詳細不明なのですが、裏ジャケットを見る限りAleksander Rjabovなるフルーティストがアレンジした楽曲を2人のシンガーが歌うというLPの様です。オープニングを務めるA-1のジョビン・カヴァー、Sa Tantsi Sambatからアンニュイな雰囲気漂いまくりで良い。そしてUno Loopなる男性シンガーが歌うA-3のKamina Eesは刹那感漂うスウィンギン・ボッサの快作。ブラジリアンな雰囲気に包まれながらもアレンジはあくまでクールで、各楽器も洗練された演奏を聴かせてくれます。そして何より素晴らしいのがB-3に収録されたMartsis Maiという曲。2管編成で展開されるシャープな演奏にUno Loopによる哀愁漂いまくりの美声&こみ上げメロディが乗るという、これでもかというくらいに洗練された一曲。モーダルなジャズ・ボッサ・ヴォーカルとでも言うのでしょうか?同じ旧ソ連のMelodya発で人気のMarina Granovskajaよりも、こちらの方がより今の気分に合っている気がします。とにかく旧ソ連のレコードということで手に入りづらい上に再発も期待できませんが、それでも目にした際には試聴してみて下さい。アメリカや西欧にはない社会主義下ならではのグルーヴが体感できます。ちなみにPremium Cutsのホームページ見る限り、ジャケ違いのスウェーデンMetronome盤もあるよう。しっとりと夜に聞きたい一枚です。梅雨時のこれからの季節にも良いかもしれません・・・。

Cornerstones EP / The Five Corners Quintet

2005-06-15 | Contemporary Jazz
フィンランドRicky-TickよりTFCQが久々の再始動。彼らの4枚目のシングルにして、オリジナル曲としては約1年ぶりとなる10インチが遂にリリースされました。首を長くして待っていた甲斐があったというか良い意味で裏切られた作品。今回の彼らはオリジナルでは初となるヴォーカルものに挑戦しています。さらに歌うのはMark Murphyというのですから悪いわけがありません。B-1に収録されたBefore We Say Goodbyeがそれに当たるのですが、Bobby Cole辺りの雰囲気にも似たダークなジャズボッサ。ボッサと言えど決して明るくはせず、渋いアレンジを施しているところが彼ららしく憎いです。続くB-2のBlue CyclesはTeddy Rok Sevenのソロでも歌っていたOkouをフィーチャーしての、モーダルなジャズワルツでこちらも極上。Nicola ConteのWanin' Moonをさらに渋くした感じでしょうか?ちなみにA面に収録されているファンキー風味のインスト曲、Straight Upも基本に忠実という趣で普通に素晴らしい曲です。ストリングスを挿入するなどしてもはや全くクインテットとは呼べない様相の彼らですが、単純に曲がいいのでまぁそこは言いっこなしで(笑) 相変わらず抜群にカッコいいジャケットに全3曲、ぜひぜひ聴いてみてください。根本的にクォリティ高いです。

12 Chansons de Cyrus Bassiak / Jeanne Moreau

2005-06-13 | Contemporary Jazz
結婚式前夜に婚約指輪をセーヌ河に投げ捨て夜行列車に飛び乗り、見事に大女優へと躍進を遂げることに成功したジャンヌ・モロー。これはそんな彼女が64年にリリースした12曲の小品集。正直僕にはシャンソンというのがどういう音楽なのかはイマイチ分からないし、そもそもフランス語では「歌」のことをシャンソンと言うので、ここに収録されている曲たちがいわゆる一般的な「シャンソン」なのかも分かりません。ただ、少なくともどの曲も僕にとって心地の良いもの揃いということは確かで、なかなかに気に入っているLPです。中でも特にお気に入りなのはB-1のLa Vie De Cocagne。古き良きと言った表現が適切な60'sスウィング・ヴォーカルで、派手さはないものの素晴らしき夜の幕開けに相応しい一曲。ポップな中にもフレンチならではの悲壮感が漂うA-4のRien N'Arrive Plus辺りも悪くない。やっぱり全編通してフランス語で歌われているというのが肝で、これがアメリカやイギリスの音楽にはない独特の雰囲気を醸し出している原因なのでしょう。ちなみにサバービア・スイートにも大きくピックアップされていましたが、このジャケットは本当に美しいですね。曲がいいのも勿論ですが、ジャケットだけでもついつい買ってしまいたくなる一枚です。クラブでかけると言うよりも、のんびりカフェで聴きたいです。

I'm A Woman / Miki

2005-06-13 | Contemporary Jazz
「透きとおって、ジャズが揺れる」帯とジャケットに記載されたそんな文句も小粋な81年作。山岡未樹として現在も活躍を続けているらしいジャズ・ヴォーカリストの1stになるそう。ちなみにこの時のクレジットには旧姓なのかまだ「佐藤未樹」と記載されています。まずはA-1のSpain、冒頭から抜群にカッコいい高速ビッグ・バンド・ジャズ・ヴォーカル。一番が入ると同時に静かになってしまうアレンジは謎ですが、中盤から盛り返し再び高速チューンへと変化するのでご安心を。まるでルパン三世を思わせる目まぐるしい展開に、おそらく誰もが一瞬にして虜になるはず。そしてA-4のFor Once In My LifeカヴァーはWorld Standardにも収録された高速スウィング・ヴォーカル。Stevie Wonderなんかで有名なこの曲を、見事なまでの疾走感で歌い切っています。中盤の間奏パートでの各楽器も素晴らしい。さらにB-1のAfter You've Goneも高速4ビートによるビッグバンド・スウィングで強烈。クボタタケシ氏もDouble Standard誌でリコメンしていました。残念ながらCD化はしていないようで、アナログも意外にありそうでない一枚。ヤフオクでたまに見ても無駄に高いですし・・・。こういう盤はしっかり自分の足で中古盤屋に通って手に入れましょう。ちなみに僕は神保町にある昔ながらのレコード屋にて1500円でゲットしました。最近の和モノのディスカヴァリーでは一番のオススメ盤。

La Parole / Mari Natsuki

2005-06-03 | Contemporary Jazz
最新作「戦争は終わった」のところでも少し触れましたが、ようやくアナログ盤を見つけられたので改めてレビュー。アルバム単位としては多分これが一番カッコいいと思います。冒頭いきなり不穏な低速4ビートの上に語りが乗るA-1の「答え」からして既に名曲。続くA-2の「ピストル」もタンゴで良いし、前半のハイライトとなるA-3の「鏡よ鏡」はピチカートの隠れ名曲「世界中でいちばんきれいな女の子」のアダルティな小西康晴流のセルフ・カヴァー。ウッド・ベースとドラムスによる緩やかな4ビートから、徐々にスモーキーなホーン隊が入ってきて終盤に向けて盛り上がっていく展開には圧巻です。まるで本当に夜の東京のホテルで一人寂しく聴いているかのよう。打って変わってハーモニカが吹きまくるB-1「かもめ」カヴァーは強烈な高速チューン。その後も佳曲が何曲も続いた後にラストB-5の「ローマを見てから、死ね」のイントロが流れてくる時のカッコ良さはちょっと他では味わえない妖艶な心地よさ。この曲ばかりはフルオーケストラをバックにして、ぜひライブで聴きたいです。歌詞・メロディ・演奏全てにおいて完璧。聴かずに死ねない一曲です。CDなら特に探すこともなく普通に買えますが、このアルバムは是非LPで持っておくことをオススメします。例によってCDとは別のジャケットも秀逸。頑張って探してみてください。レディメイド最高傑作です。

Spring / Rebecca Parris

2005-05-31 | Contemporary Jazz
このところ少し忙しいのでブログの更新が滞り気味ですいません。諸事情で3週間ほどゆっくりパソコン使うのが困難なもので・・・。さて、そういう時ほどキラりと光る一枚を紹介していきたいということで今回はこのアルバム。基本的にはフュージョン以降のコンテンポラリー・ジャズ・ヴォーカルと言った感じでしょうか?曲によってシンセサイザーなども多用していて、全体としては普通のコンテンポラリーものなのですが一曲だけ例外曲が収録。それはM-2のIt's You。Joyce CoolingのオリジナルやVince Andrewsを迎えたSunga t Experienceによるカヴァーがオルガンバー大クラシックスとなっている例の曲です。あの曲を若干テンポを押さえ気味にしつつよりパーカッシヴにカヴァーしていて、これがもう個人的には完全にツボ。オリジナルでは聴けない女性ヴォーカルによるリードも優しさに満ち溢れていて素晴らしい。93年という比較的新しい録音なのでCDオンリーです。しかも現在は廃盤扱いで、そもそも当時に国内流通があったかも微妙・・・。僕は海外のアマゾンから中古で買いましたが、レアではないわりにあまり知られていないヴァージョンのような気がします。ちなみにPremium Cutsの最新テープに入っているのがこれですね。ClementineのLa Feteなんかと相性良さそう。安くで買えるオススメ盤です。

Four Songs / Kalima

2005-05-21 | Contemporary Jazz
UKニューウェイブが生んだフェイクジャズの奇跡。Kalimaによる説明不要の大人気12インチです。吉祥寺のバナナ・レコードで比較的安値で売っていたので即買いしました。年代が新しいせいか実質的なレア度はそれほどでもないと思うのですけれど、とにかく人気の1枚のために入手はそこそこ難しかったりします。世間的にはB-1のSparkleが高速ブラジリアンで人気のようですが、僕はどちらかというとA-1のTrickeryが好きで、こちらの曲のためにこの12インチを買ったようなもの。前述したSvante ThuressonのGood Bye Yellow Brick Roadカヴァーにも通じるような華やかながら気品に満ちたスウィング・ジャズ・ヴォーカル。ここまで来るともはやフェイクではなく完全なジャズですね。最初は少し気になった癖のあるヴォーカルも何度も聴くうちに次第にハマっていきます。中盤のピアノ・ソロの美しさといい正に完璧な一曲。橋本氏がいうハッピー・ジャズとは少し違う気もしますが。クールなヴォーカルものとして素晴らしいです。少しタイプは違いますがA-2のLand Of Dreamsもアフロキューバン寄りのジャズ・ヴォーカルと言った感じでかなりカッコいい。今クラブでかけるとしたらコレが一番ハマるかもしれないです。並みの12インチに比べたら確かに高いかもしれませんが、下手なサバービア掲載アルバムを買っても実質いい曲が1~2曲しかないこともしばしばなので、そういう意味ではこの12インチを買うのも全然アリかと個人的には思います。僕の中での超オススメ盤。

Sings A Song With Mulligan / Annie Ross

2005-05-09 | Contemporary Jazz
日々の何気ない生活のなかで幸せを感じるのはどんな時でしょう?人によって幸せの基準にも違いがあるだろうし一様ではないと思いますが、たとえばよく晴れた日曜の午後に不意に訪れた小さなカフェでAnnie Rossが流れてたら、僕は何となく幸せになれると思うんですよね。これはそのUKのジャズシンガーAnnie Rossが58年にロスで録音した古くから人気の一枚。バックを固めるのはGerry Mulliganを中心にChet BakerやArt Farmerらの大物たちで、2管ピアノレスの変則カルテット編成ながら実に心地良い演奏を聴かせてくれます。そんな中で歌っているAnnie Rossの声もとても美しい。曲はスタンダード中心のリラックスしたものばかりなのですが、その中でもA-1のI Feel Prettyの疾走感溢れる演奏が白眉。少し雰囲気は違うけどマイルスのSpringsvilleにも通じる世界観で、春風のなかを颯爽と駆け抜けていくような、まさにこの時期にぴったりと言える高速ハッピー・スウィング。夜ではなく昼に聴きたいジャズ・ヴォーカルの名曲です。ちなみにこのアルバムに関してはジャケット・ワークも大好きです。若かりし頃の彼女はとても美しいですね。好きな女の子と昼間ドライブしてる時なんかにラジオを付けて流れてきたら嬉しいです。狙ってじゃなくあくまで自然体で聴きたい一枚。

Devil May Care / Bob Dorough

2005-05-05 | Contemporary Jazz
1956年にBethlehem RecordsからリリースされたBob Doroughのリーダー第一作。まず最初に言えることですが、このアルバムは当時のものにしては相当に録音がいいものだと思われます。こんな古い録音のレコードってあんまり持っていないけれど、それでも70年代モノとかと一緒にかけても聴けそうな気がする。まぁ年代的に当然モノラル録音なんですけれどね。A-1のOld Devil Moonは須永氏もAkikoのプロデュースで取り上げた4ビートによる最高級のスタンダード・チューン。彼のとぼけた歌声と中盤からの各パートのソロのどれもが強烈にカッコいいです。これとは少し赴きが違いますが、A-4のYou're The Dangerous TypeやB-4のタイトル曲のようなヒップでスウィンギンなナンバーもカッコいい。ちなみに後者は最近このブログでも紹介したJackson SloanによるMilestones引用カヴァーでも話題ですね。Bobの声がかなりクセのあるものなので好みは分かれるのかもしれませんが、彼の声が聴けるひとならばハマれること受けあいです。ただ意外なほどアナログだと見かけません・・・。有名な盤なのでもう少し簡単に手に入っても良さそうな気もするのですが、何気に探すの苦労しました。ディスクユニオンのプレミアム・レアグルーヴ・セールにて購入。若干盤質悪めですが何せ50年代のレコードなもので我慢することにしました・・・。