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At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

With A Song In My Heart / Tonu Naissoo Trio

2005-05-04 | Contemporary Jazz
旧ソ連エストニア発の瑞々しいコンテンポラリー・ジャズ。またまた澤野工房のカタログから紹介ということになるんですが、こちらは前述のSahib ShihabやRene Urtrgerとは違い新譜です。Esbjorn Svensson Trioの新譜と迷ってこちらを購入してみました。なんとなくESTの方よりもこちらの方が僕の好みにより近そうだったもので・・・。もうここまで来るとクラブジャズとは全く無縁な世界なのですが、それでも単純に良いアルバムだと思います。僕は元々がHiphop畑出身のクラブジャズ世代なんですけれど、別にクラブ的なトラックだけが僕の趣味というわけでもないので、そういう意味ではたまにはこういうコンテンポラリーものを聴いてみるのもいいですね。軽快にスウィングするM-1のIsn't It Romanticが特にお気に入り。M-7のClose Your Eyesもなかなかに好きです。どことなくモーダルなM-9のIn The Wee Small Hours Of The Morningは長尺だけれど、機会があればミックステープにでも入れてみようかなぁと思ってます。こういうスロウなテンポの曲も僕は好きなんですよね。At The Living Roomっていう当ブログの趣旨からすればばっちりハマる珠玉の小品集。CDオンリーのリリースですが、アナログ派の人もたまにはこういうのを聴いてみてもよいのでは?

La Marie Du Port / Mari

2005-05-01 | Contemporary Jazz
前述の最新作も素晴らしかった夏木マリ姐さんによる95年リリースの7インチ。そもそも7インチが出てたこと知らなかったので偶然発見した時は驚きました。曲自体は13 Chansonsからのカットですが、アルバムの中でも特にハイライトとなる4曲を収録しているので見逃せません。A-1のMy Favorite Thingsは昨年須永氏プロデュースの元で野宮真貴もカヴァーしていましたが、やはり夏木さんのこのヴァージョンの方が圧倒的に似合ってますね。そしてA-2のLes Musiciensは13 Chansons中もっとも活かしたスウィンギンなジャズダンサーで大好きな一曲。B-1のLe Calmantも昭和歌謡風でなかなかだし、B-2のタイトル曲は文句なしで和製ボッサの超名曲。この曲を聴いていると何となくジブリの「紅の豚」の世界観を想像してしまいます。港町のカフェで愛する人を思い続ける女が僕の中で見事にジーナと重なるんですよね。紛れもなくオススメの1枚です。裏面に至るまで完全にフランスの7インチ盤を意識したジャケットもまた素晴らしい。音もジャケも全てにおいて完璧。おそらく小西さんの全ての仕事の中でもトップ3には入るだろう一枚です。当時何枚プレスされたのかは知りませんが、見つけたら即買いをオススメします。

Sandra Jean / Don Pender

2005-04-23 | Contemporary Jazz
デンマークのサックス奏者Don Penderが83年に録音した名盤。とにかくA-1のCloudsという彼のオリジナル曲が文句なしに素晴らしい。基本的にはローカルなジャズ・ボッサで彼の吹くサックスの音色はどことなく牧歌的なのだけれど、バックを務めるピアノ・トリオは歯切れ良いリズムで軽快に打っているので、クラブ・プレイも全然可能と思われます。ゲスト的に参加しているHorace Parlanがまたなかなかに良いメロディを奏でていて、朝方のフロアやよく晴れた昼下がりのカフェにもよく似合いそう。B-3のThe Night Has A Thousand Eyesもサバービアなテイストで耳に心地よいジャズ・ボッサの名曲。ここでもやはり肝となるのはHorace Parlanのピアノ。アメリカ人とはとても思えないほどにとことんヨーロピアン・ジャズ的な繊細で美しいフレーズを聴かせてくれます。ドラムのEd Thigpenもなかなかに良い仕事をしていて時折スウィングからアフロキューバン的なビートを奏でるところなどに好感が持てるかな。全体的に緩めで心地よい曲が多いので、クラブには向かないかもしれないけれど、くつろいだ演奏でアルバム通して聴けるのでカフェで聴くならば全然アリな一枚。昼下がりに紅茶とケーキを堪能しながらじっくり聴きたいです。

Be A Man / Ewa Bem with Swing Session

2005-04-23 | Contemporary Jazz
一時期に比べたらだいぶ人気も落ち着いてきたと同時に、かなり値段もリーズナブルになったポーリッシュ・ジャズ。当初は社会主義下の東欧ジャズというとそれだけで珍しい気もしたのですが、いざバイヤーが本格的に買出しに乗り出したら意外にレアではなかったようで、今ではわりと普通に買えます。ただ内容が悪いわけでは決してないので、チェックしてみるのも良いかもしれません。これはBemibemのヴォーカリスト、Ewa Bemによるセッション盤。軽快にスウィングするB-1のタイトル曲が僕はとても気に入っていて、これ一曲のためにアルバムを買ったようなものです。まぁよくあるビッグバンド・スウィング・ジャズ・ヴォーカルと言ってしまえばそれまでなのですが、おそらくポーランド語であると思われる言葉で歌われるメロディが何となく新鮮でアクセントになるかなと思ったもので・・・。続くB-2のCzy Powie Mi Pan Dzien DobryはドリーミーなストリングスやZebigniew Wodeckiとのデュエットも美しいメランコリックなジャズ・ワルツ。こちらもなかなか好きです。特別インパクトがある盤ではなくても夜に部屋で1人でかける盤としてはかなり上質な気がします。安くで売られていたら耳を傾けてみてください。

I'm In Love With You / Raphael Chicorel

2005-04-20 | Contemporary Jazz
「これ以上素敵なレコードなんて考えられない」とSuburbia Suiteで紹介されていた楽譜の読めない作詞作曲家Raphael Chicorelの自主制作盤。最近は再発CDの煽りでちらほらオリジナル盤を見かけるようになりましたが、本来は激レアな上に高価なアルバムでした。僕もこの前、比較的安くオリジナルのレコードを見つけて買おうかと悩んだのですが、とは言いつつもやはり普通のレコードに比べたら高いことに変わりはなかったので、断念してCelesteからの再発CDを買うことにしました。M-7、You're My Reasonはパーカッシヴなイントロから後半に向けて次第にテンポ・アップしていく珠玉の爽快ヴォーカル・ジャズ・ボッサ。イントロの強烈なドラム・ブレイクからピアノが疾走するM-8のThe BirdはあのCopeland Davisを一層上品にしたかのような印象で素晴らしい。ちなみに、これの伸びやかな女性Vo.を配したこれのヴォーカル・ヴァージョンとなるM-14のAll That Love Makingも美しいです。そしてOrgan b. SUITE No.5にも収録されたM-5のWalking With JackoはRaphael Chicorel自身の息子とのデュエットで送る至福のジャズ・ワルツ。しっとりしたエレピが綺麗なM-10のYou Are So Thereも気持ちよいです。もう本当に全曲が煌いています。「素敵」というキーワードでレコードを捕らえるならば確かにこれはNo.1かもしれませんね。ぜひアナログでの再発を願います。

Carola & Heikki Sarmanto Trio / Same

2005-04-17 | Contemporary Jazz
詳しくは知らないのだけれどフィンランドのジャズ・ヴォーカリスト、Carolaが66年に録音していた未発表テイクを集めたアルバムらしいです。D.M.R.の試聴機に入っていて気に入ったので購入。午前2時以降の音楽、そんな香りを漂わせるジャジーでムーディーなバラード曲がずらり。繊細なピアノトリオに時折サックスやフルートを交えてクールな曲を演奏しています。Clarke=Boland楽団に近い雰囲気もあったりして、まさにヨーロピアン・モダン・テイスト全開と言った感じ。こういう未発表テイク集みたいなのってジャンル問わず結構あったりするんだけれど、ほとんどがマニア向けのものばかりで一般にクォリティが高い音源となるとそうは出てこないもの。まぁ演奏者本人がクォリティが低いと思ったからこそ没にするわけで、そう考えると当たり前のことなのだけれど商業主義的にリリースされることとかしばしばありますよね。でも、この盤に関してはそんな心配は無用。60'sヨーロピアン・ジャズの新たな傑作と言ってもいいくらい。A-7のJust Give Me TimeはあのBasso=Valdambriniの双頭クインテットによるLotarにも近い雰囲気の高速アフロ・キューバンなジャズ・ボッサでめちゃくちゃカッコいいし、他の曲も静かながらモーダルで良し。新譜には興味がないと言う方も、だまされたと思って買ってみてください。

Close Enough / Wim Koopmans

2005-04-14 | Contemporary Jazz
このブログの初期に紹介したWhen Dreams Come TrueもLoveを始め素晴らしかったオランダの80'sジャズ・ヴォーカリスト、Wim Koopmansの2ndアルバム。Double Standardで鈴木さんが紹介しているのはこちらの盤ですね。アルバムの冒頭A-1のIn The Still Of The Nightがいきなりかなりファンキーなチューンなので面食らうかもしれませんが、それを除けば基本は前作と同じ雰囲気の曲が並びます。そして本命はやはりA-3のCabaret。痛快な高速ビッグバンドに乗せて男気系のWimのヴォーカルが雄大に響き渡る絶品カヴァー。前作でもそうですが全体的に音の抜けがかなり良くピークタイムにプレイしてもばっちりだと思います。最後も変にフェイドしたりスロウになったりせずにバシっと終わりますしね。全体の完成度はおそらく1stの方が上だと思いますが、このCabaretがあるだけにこちらも持っておいて損はない一枚です。でも日本にはまだあまり入ってきてないのかなぁ・・・。本国ではそれほどレアではないという話を聴いたことある気がしますが。ちなみに僕自身は、なぜか吉祥寺のバナナ・レコードにて2500円くらいで売られていたのを発見し即買いしました。現役のニューディスカヴァリーなんだからもう少し値段付けてもいいと思いますが、レコード屋さんの側に知識がなかったのでしょうか?まぁ僕としてはラッキーだったので良いのですが。

Live / Rudi Wilfer Trio

2005-04-14 | Contemporary Jazz
1982年のオーストラリアで録音されたナイスなジャズ・アルバム。僕の中での最近のニューディスカヴァリーで、こないだから気になっていたんだけどさっきようやく購入。いちおうライブ音源らしいのだけれど、リーダーのRudi Wilferがピアノとオルガンの両方を自在に操っているところをみると多重録音の擬似ライブなのかも?全体的にかなりリラックスした演奏で良いのだけれど、なかでもひときわ輝いているのがA-2のAfter You've Gone。軽快にスウィングするピアノトリオの上をハモンドオルガンの懐かしく甘酸っぱいメロディが疾走していくハッピー・ジャズ。何て言うのかな?Vince AndrewsのLove Oh, Loveがインストになって歌の変わりにペドラーズ風のオルガンが乗ったって感じ。誰であろうとこれにはきっと心がときめくはず。歓声と演奏がまったく被らないからクラブでも使えるのでは?ちなみに他の曲ではギターをフィーチャーしているのも数曲あったりして、おちつきのある洗練されたAt The Living Roomな雰囲気。SmileだとかThe Lady Is A TrampだとかYou Are The Sunshine Of My Lifeを気持ちのいい演奏で聴かせてくれる好盤です。それにしてもフュージョン以降の80'sジャズってやっぱり音質がかなり良いですね。最近主流のモーダルなハードバップではなく、少し前に流行ったカフェ系のジャズが好きならばオススメな一枚。

Sweet Surprise / Irene Sjogren Quintet

2005-04-13 | Contemporary Jazz
もう一枚Celesteモノから購入。こちらは1986年にリリースされたレア盤のCD再発になります。少し前から気になってはいてオリジナルを買おうかとも考えたのですが、ちょっと欲しいなぁって思うくらいでは出せない値段が付いているのでとりあえずCDで我慢。ジャズボッサものの人気低下の影響で1万円代前半まで下がってきたら、まぁ買っても良いのですが、さすがにまだ少し高すぎる。何より高い金を払わなくてもこうしてCDでちゃんと聴けるのですしね。M-1のI Thought About youからいきなり超高速のスウィング・ジャズ・ヴォーカルが展開されていますが、このアルバムは基本的には北欧特有の洗練された都会的でおとなしい曲が中心。M-3のI Wish I KnewとかワルツなM-5のThis Masqueradeなんか凄く綺麗でやっぱりアメリカでは出せない音だなって思います。M-6のタイトル曲も静かなバラードと言った感じで良い雰囲気。そして人気のM-7、The Real Guitarist In The Houseは突き抜けるようなグルーヴと清涼感溢れるヴォーカルがマッチしたスウェディッシュ・ジャズ・ボッサの最高峰。間奏のトランペットやスキャットも涼しさ全開で本当に素晴らしい。オリジナルじゃなくても構わないのでぜひ聴いてもらいたい名盤です。しかしCelesteは初期のようなアナログ再発はもうしないのでしょうか?これとか最近出たRaphael Chicorel辺りは普通にアナログで欲しいのですが・・・。

Here's That Rainy Day / Peter Fessler

2005-04-13 | Contemporary Jazz
渋谷パルコ1階のアプレミディ・セレソンで試聴して衝動買いした一枚。ドイツのコンテンポラリー・ギタリスト兼シンガーソングライターらしいです。これはCelesteから2003年にリリースされた編集盤でMinor Musicというレーベルに96~97年に残された5枚のアルバムからのいわばベスト盤。タイトルにもなっているM-2がとにかく美しいヨーロピアン・ジャズ・ボッサ。これを聴いた時点で購入が確定したようなものです。同タイプのM-9、All The Things You Areも同タイプの気品溢れる高速ジャズボッサで秀逸。どちらの曲も彼自身のギターは入らずシンプルなトリオによる演奏をバックに歌っているのですが、このバックに奏でられるピアノの音色が綺麗過ぎます。さらにオリジナルとなるM-16のEasier Said Than Doneも込み上げ系メロの高速サンバ・ジャズ。ちなみにこれら以外の曲は比較的スローテンポなのですが、たとえばライブ音源となるM-12のTenderlyなんかも小粋なジャズ・ヴォーカルと言った趣きで良し。彼自身がギターを弾くナンバーも素晴らしいブラジリアンだし、とにかく全編に渡って気持ちいい一枚。ちなみにこの人はアナログのリリースはないそう。CDでオリジナル・アルバム買っても良いけれど、とりあえずこの盤から聴き始めてみては?サバービアなブラジリアンが好きならばハマること間違いなしです。