世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【トランプ氏、米債務の減免を要求か】ドル暴落!?にいまから備えよ①

2016-05-09 00:04:28 | アメリカ

 昨年7月、ロシアのプーチン大統領は、アメリカの対外債務がすでにそのGDPを上回るほどに増加し、同国のみならず世界経済にとっても深刻な問題(a serious problem)になっていると指摘していました。これは金融市場では至極当然のことではありますが、何かと憚れる面があることから(?)日本などではあまり大きなニュースになっていなかったし、この発言に対するアメリカ側の反応もほとんど伝えられてはいなかったように思えますが・・・

 で、ひょっとしたらアメリカの次期大統領になるかもしれない共和党のドナルド・トランプ氏が先日、この微妙なテーマに触れています。報道によると同氏は今月5日、経済専門局CNBCのインタビューで、19兆ドル以上ものアメリカの国家債務に関し、経済の低迷が長引いた場合は、自身のビジネススキルを用いて債権者に対してその債務減免の受け入れを迫るとの考えを示しました。米国人の誰もがヤバイと感じていても口に出せないこと―――自国の負債がもはや持続不可能なこと―――にあえて言及するあたり、トランプ氏らしいところです。もっともトランプ陣営の財務担当幹部は「連邦政府は債務を返済しなければならない」と述べ、この発言の火消しに努めていますが・・・

 プーチン、トランプ両氏のアメリカの巨大債務に対するこうした認識は100%、的を得ていると考えています。これこそ世界そしてアメリカがもっとも恐れるべき経済危機の根源であり、日本とりわけ「アベノミクス」開始以降にドルを買いまくった(アメリカにおカネを貸しまくった)安倍政権・黒田日銀に近い投資家(政府系金融機関年金基金など)にとっても最高度で警戒すべきリスク要因といえるでしょう。

 ところで現在、アメリカの借金額はどのくらいで誰からおカネを借りているのでしょう。FRB(米連邦準備制度理事会:米中央銀行)および米財務省のデータによると、201512月時点で米連邦政府の債務総額は18.15兆ドル。年々増え続ける同債務ですが、とりわけ2008年(リーマンショックが起こった年)以降はその増加ペースが速まっています。同年12月は10.01兆ドルだったので、わずか7年間で81%あまりも借金が膨らんだことになります。

 その米債務18.15兆ドルのうち6.17兆ドルが対外債務になっています。で、最大の借金相手国は中国で借入額は1.25兆ドル、2番目が日本で同1.12兆ドル。両者の合計額は2.37兆ドルと、米対外債務の38%あまりが日中両国に対するものになっています。ちなみに両国の合計額を上回る2.46兆ドルものおカネを米政府に貸しているのは(米財務省証券:米国債を持っているのは)、FRBだったりします。まあこれは当然といえば当然で、上記リーマンショック後の資産デフレを阻止する目的でFRBは、2008201410月まで実施された量的緩和策(QE)で米国債を大量に買ってドルを市中にばらまきましたからね・・・

続く

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【日本全体のGDPや資産額がプラスならばいいけれど?・・・】アベノミクス、やはり貧富差拡大に成功!⑤

2016-05-07 00:04:59 | 日本

前回からの続き)

 アベノミクス」(≒円安誘導、それに加えて消費増税)の本質的な狙いは日本の社会を「貧富差」の大きなものに変えようとするところにあり、実際にアベノミクスはこれに成功してきた様子をここまで綴ってきました。本稿で示したわずかなデータだけでも十分にこれが窺えると思います。

 さてここまで、上記アベノミクスの貧富差拡大路線がわが国について良いことなのか悪いことなのか、についてはあえて論評しないように心掛けました。このへんは国民一人ひとりによって良し悪しの感じ方が異なるからです。

 で、株や外債などのリスク資産を十分に持っている方々なら、この路線は歓迎のはず。なぜなら円安で日々の食費や光熱費はかさんでも、それを上回る配当や含み益などのリターンを得られれば、差し引きでは資産額が増えるため。一方、それほど多くの金融資産を持たず、毎月の給与所得が生活の唯一の支え、といった方々は先述の円安インフレ&消費増税で実質賃金が下がり、暮らし向きは悪化するばかりなのでアベノミクスにはネガティブな感情を抱いているでしょう。ではこれらの総合計―――日本国トータルの帳尻・・・経済成長とか国民全体の資産額などの面から見て、アベノミクスはプラス?それともマイナス?・・・

 ・・・そのあたりはメディアのアンケート「アベノミクスで暮らし向きはどうなったか(良くなったか・悪くなったか)」などの他、こちらの記事に書いたことなどでも推察がつくのではないかと・・・

(「アベノミクス、やはり貧富差拡大に成功!」おわり)

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【ドル建て原油安には追加緩和で円建て価格をつり上げへ】アベノミクス、やはり貧富差拡大に成功!④

2016-05-05 00:01:28 | 日本

前回からの続き)

 前回までアベノミクス」が政策意図的な円安インフレを喚起するとともに、(リフレ政策とは異なるが)逆進性のある消費税の税率引き上げを行い、消費性向(所得のうちに消費が占める割合)が高い中~低位所得層に対して食費や光熱費の支払い負担をいっそう増やしてこれらに属する人々の経済生活水準を低下させることで「貧富差」の大きな社会の形成に成功してきた、といった見方を綴りました。ところが・・・

 本稿3度目登場、消費者物価指数(CPI)の推移(アベノミクス実質開始月201211月を100)を表す上記グラフを見ると、昨年夏以降、エネルギー関係の価格が急落している様子が窺えます。いうまでもなくこれは「逆オイルショック」の影響。直近の値(今年3月)はCPI104.1に対して電気こそ105.6とCPIをまだ上回っているものの、ガスは99.1、そしてエネルギー全般は92.9と、両者は消費税率引き上げにともなう増分(5→8%で2.9%上昇)を打ち消すばかりかアベノミクス実質開始時点を下回る水準に達しています。これらが意味することは・・・国民の光熱費の支払い負担が軽くなる、すなわちこれらの所得に占める負担割合が相対的に大きな中低所得層の消費生活レベルが改善するため、貧富差を拡げようとする側(≒アベノミクス)の目からはネガティブ・・・ということになる・・・

 このあたりに本稿冒頭でご紹介の「アベノミクスは失敗したのではないか」とささやかれる理由があるように思えます。アベノミクス所期の狙い「貧富差拡張」がエネルギー価格の低下によって頓挫しかけているんじゃないの?という意味です。これに対する安倍首相周辺の回答はもちろん「アベノミクスは失敗してはいない」つまり貧富差を拡げる手はまだある、ということになります。で、その手は・・・今般のエネルギー価格低下が逆オイルショックというアベノミクスとしては如何ともし難い海外要因である以上、当然ながら自分たちができる手すなわち円安誘導の強化ということになります。円安促進によってドル建てで下がっている原油価格を円建てではつり上げることにより、光熱費の再上昇を促して貧富差拡大路線に回帰しようという目論見です。

 で、そのテコとなるのが、言わずと知れた日銀の「追加緩和」となります。この追加緩和、つぎの2点から貧富差を拡大する方向に機能します。まず第一点は上述の円安インフレ促進です。そして二点目は、これが富裕層の金融資産の大宗を占める株価の上昇を促すこと。こちらの記事に書いたこと、そして足元の情勢を見れば一目瞭然、いまの株式相場の地合いは世界も日本も完全に金融政策要因で決まる感じで、日銀が追加緩和決定→円安株高、同見送り→円高株安となっています。サルでも分かるこのパターンに基づいて日銀が追加緩和を打てば、円安物価高で大した資産を持たない中間層・貧困層の生活レベルが抑制されるいっぽう、富裕層には株価上昇にともなう資産効果増大というメリットを享受させることが可能となり、両者間の資産および生活水準のギャップ拡大が自ずと図られるというわけです(円安よりは弱いが、原油高にも円安と同じ効果がある)。

 このように考察してみると、いろいろなことのつじつまが合ってくる―――アベノミクスの狙いが「貧富差」拡大にある、ということがお分かりいただけるものと思います。

続く

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【円安インフレ下での消費増税も貧富差拡大に寄与】アベノミクス、やはり貧富差拡大に成功!③

2016-05-03 00:02:14 | 日本

前回からの続き)

 本稿は、「貧富差」を拡大するという当初の目的に照らせば「アベノミクス」は見事に成功してきたことを論証しようとするものです。

 で、貧富差を広げる手段として次に指摘できるのが2014年の消費増税です。ご存知のとおりこの年の4月、消費税の税率は5%から8%へと引き上げられました。前回ご紹介の下記グラフでも分かるとおり、当然ですが同月、消費者物価指数CPI)は前月と比べて2%あまり、ポーンと上がっています(CPI総合値[2012/11100]:同年3101.8→同年4103.92.1%上昇)。そして一般市民の消費支出のなかで最優先となる食料品価格の上昇率はCPIを上回る2.6%(102.7105.4)となりました。その他、電気代は1.3%、ガス代は1.1%程度、いずれも上がっています。

 グラフから読み取れるように、2012年終盤から事実上開始されたアベノミクス(≒円安誘導)で輸入インフレがじわじわと進むなかでのこの消費税率の引き上げは国民、とりわけ消費支出のうちの食費や光熱費の占める割合が相対的に大きな所得中~低位層の経済生活水準の低下に大いに貢献したと思われます。このあたりは本稿1回目でご紹介した勤労者の実質賃金が消費増税の2014年に、この10年間でもっとも大きな下落幅(前年比でマイナス2.8%)を記録したことにも表れています

 直近(今年3月)のCPIは104.1です(アベノミクス開始時点から4.1%上昇)。消費税率5→8%で約2.9%の物価上昇になるわけですからこの増分の過半が同増税にともなうものになっています。前述実質賃金やエンゲル係数の推移を見れば、この消費増税由来の物価上昇に大半の国民の所得の伸びが追い付いていないことは明白です。このあたり、政策意図的な円安インフレのもとでの消費税率の引き上げが、いかに庶民の暮らしにマイナスに働き、結果として貧富差の大きな社会の形成にプラスの寄与をしているかが分かります

 こちらの記事等で記したとおり、消費税には「逆進性」と呼ばれる、所得が低い層ほど実質的な税負担が重く、所得が高いほど軽くなるという性質があります。したがってその税率が上がれば上がるほど、消費税を導入している国の貧富差は拡大する方向に進みます。これを抑制あるいは是正するためには所得税の累進税率を高めるとか、相続税の増税をするなど、富裕層への税負担を高める必要がありますが、これでは貧富差の大きな社会の実現をめざすアベノミクスの方向に反することから、現政権としてはこれらの検討や実行はせず、既定路線となっている消費税率10%への引き上げにこぎつけたいところでしょう。

 なお、ここで食料品への軽減税率適用の是非に関する議論がありますが、アベノミクスの本音を代弁すれば、これはしたくはないはず。なぜなら、食料品を軽減税率の対象にしてしまうと、せっかくの消費税率引き上げが持つ貧富差を拡張するパワーが半減してしまうからです。

続く

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【エンゲル係数、アベノミクスで急上昇!】アベノミクス、やはり貧富差拡大に成功!②

2016-05-01 00:03:42 | 日本

前回からの続き)

 本稿は、アベノミクスは失敗したのではないか」と世間の一部で聞かれる声に対し、その所期の目的貧富差拡大」達成の観点からはアベノミクスは見事に成功していることをデータであれこれ示すことで安倍政権、そして金融政策でアベノミクスを支える黒田日銀を擁護(?)しようと試みるものです。

 で前回、アベノミクス開始以降の国民の実質賃金が大きく減少した様子をご紹介し、そのおもな原因が政策意図的な円安インフレにあることを指摘しました。本ブログでたびたび書いているとおり、この円安インフレは日銀が実行中の「量的質的金融緩和(異次元緩和)」という名の円安誘導策によって引き起こされたものであることは明らかです。これが円建て輸入品価格の上昇を促して物価、とりわけエネルギー価格と食料品価格を高騰させ、生活費に占める光熱費および食費の支出割合が大きい所得額中~低位層の生活レベルの低下に寄与したものと推察されます。

 このあたりは以前からご紹介している、アベノミクスの実質開始時点(201211月)を100としたときの消費者物価指数(CPI)の推移を表す下記グラフで窺い知ることができます。これによれば直近(今年3月時点)のCPI総合値は104.1なのに対し、食料品は109.9、電気代105.6と、どれも総合値を上回るインフレぶりを示しています(・・・が、世界的な原油安を受けて電気代を含むエネルギー価格はここのところ大きく下がっているわけですが、このあたりは後述します)。こうなれば上述のように、一般庶民の経済生活水準は悪化し、結果として貧富差が開くことになるでしょう。

 そのへんが実際に確認できるのが、名目の家計消費指数2010年:100)の推移を表した次のグラフ(総務省統計局データ)。

 これによると、消費支出は漸減傾向にあるにもかかわらず、アベノミクス開始(グラフでは2013年~)以降、国民の食料品と光熱・水道の両者とりわけ前者の食料品にかかる支出が逆に大きく増えている様子が分かります。CPIグラフと合わせて考えれば、これは円安インフレで食料品価格が上がったためと考えるべきでしょう。家計の全体の消費支出額は減っているのに、政策的なインフレの影響で食費は逆に増えている・・・ということで、国民の困窮度を示す指標のひとつが上がるわけです。それは―――「エンゲル係数

 上記は2008年から昨年までのエンゲル係数の推移を見たものです(2人以上世帯:総務省統計局データ)。エンゲル係数とは消費支出に占める食料費の割合のことで、一般的にこれが高いほど生活水準は低いと考えられます。まあそれはそうでしょう、生命維持に直結する食費の支払いに追われれば、人々は服や光熱費や娯楽といったその他の消費は切り詰めなくてはなりませんからね。

 で、そのエンゲル係数ですが、アベノミクス開始以後に急増していることがよく分かります。2000年代は2013年まではおおむね23%台だったものが2014年には24%、そして2015年には25%へ跳ね上がりました。エンゲル係数のこれほどまでの短期かつ大幅な上昇は、少子高齢化にともなう年金受給世帯の増加みたいな社会構造的な要因ではなく、上記要因すなわちアベノミクスの円安誘導による食料品価格の意図的な引き上げの結果であることは明白でしょう。

続く

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