(前回からの続き)
足元では株価が上昇しています。日経平均は1万7千円台を回復し、「発射台」(2014年10月31日)時の価格を上回ってきました。先述のようにいまの日本市場では、株価が上がると為替は自動的に円安に向かう(円安になると株価は自動的に上がる)、ということで円は1ドル111円台にまで下がってきました。発射台レート(同112円あまり)まであとわずか、というところです。
・・・この株高円安、景気回復を先取り・・・のはずはなく、相変わらず金融政策要因―――米FRBの利上げ先送り観測とかECBや日銀等の追加緩和期待―――というヴァーチャル面での支えだけで保たれているように思います(あと、日銀の買い支えもありますね)。とくにここのところの大きな株高要因は原油高でしょう。産油国間の減産合意に対する期待の高まりなどから原油価格は現在、1バーレル40ドル台を上回る水準まで値上がりしています。これが欧米エネルギー企業の株価を後押ししたりして、株式市場のリスクオン・モードに力を与えているわけですが・・・
・・・このあたりに「カブノミクス」(アベノミクスの個人的別称:株のみ)のアンチ実体経済的な性質が如実に表れています。つまり安倍政権・黒田日銀は、アベノミクス唯一のプラス成果「株高」を得たいために必然的に「円安」「原油高」を歓迎する側に立たざるを得ない、ということです。
こちらの記事を含めて本ブログでシツコク指摘しているとおり、総合的な損得勘定の観点から円安・・・誘導政策はいまの日本にとって適切とはいえません。ましてや、原油のほぼ100%を外国に依存する国の為政者が原油高を喜ぶって、常識的にありえない・・・。企業経営者やその従業員そして一般の生活者といった、安い原油価格を歓迎する側に立つ大多数の国民の思いとは99%「逆」でしょう(まあ商社等関係の方はたいへんでしょうが・・・)。このように円安も原油高も、原材料インフレを通じて個人消費や企業の売り上げを抑制する方向に機能するから、日本経済にはマイナス・・・でもアベノミクスにはプラスなのでしょうね、なぜならこれらは株価を押し上げてくれるから・・・
・・・いまの株高にはそんな背景がある。日本経済(≒個人消費)は相変わらず、というよりさらに落ち込む懸念がある。ということでそんな経済の実態から浮世離れするばかりの株価は、しょせんは・・・
・・・いつものように話がそれてしまいましたが、こういったことを含めて日本人の貴重な共通資産である年金基金はカブノミクス運用作戦の大失敗でメルトダウンは必至です(!?)。「その責任をどう取ってくれる~!?」がどこかの選挙の争点になるのかどうかはともかく、わたしたちは一人ひとりがカシコクならなければならない、でないと生きていけない―――ちょっと極端ですが、つくづくそう感じる今日この頃です。
・・・で、わたしなりの対策はコチラなのですが、これまた超極端なので、どうぞ自己責任で・・・
(「参院選の論点になりそうな年金運用成績」おわり)
金融・投資(全般) ブログランキングへ