(前回からの続き)
これまで綴ったように、アメリカはFRB(米連邦準備制度理事会:中銀)によるQE(量的緩和策)という名の実質的な「財政ファイナンス」(中央銀行が国債を直接引き受けること)を通じてドルを吐き出し続けるしかありません。
こう書くと・・・「でも実際にFRBは2014年10月末でそのQEを終了し、すでに利上げに着手して市中からのドル回収に乗り出しているじゃん?」・・・みたいなお尋ねがあるかもしれませんので、私見を述べますと・・・たしかにそのとおりですが、これはアメリカが上述のこと、つまりFRBの通貨印刷に頼らずともドルの価値を維持しながら(インフレ&長期金利暴騰を起こすことなく)借金の返済をしてみせる!という精いっぱいの虚勢を張っているのだと解釈しています、こちらの記事等で書いたように・・・(「だから米国外の投資家の皆さん、引き続き米国債を買ってプリーズ!」ということだったりする?)。
なので、しょせんは見栄(?)である以上、アメリカはいまのこの状態(QE停止&段階的な利上げ)にいつまでも耐えられるわけがない、と超楽観(?)しているわけです。現にFRBは昨年12月、9年半ぶりの利上げに踏み切って以降、わがステイツは(利上げしても)大丈夫だけど中国など世界経済が減速しているからね~、みたいな「他人のせい」的な言い訳(?)をしながら追加利上げに踏み出していないしね・・・
そんなこんなで、結局はQE再開等でドルの大量放出は不可避、であれば前述のとおり、ドル資産(米国債など)の価値下落もまた必然。したがって(まあ・・・いままでもそうだけど)今後、アメリカの債権者(米国債ホルダー)は評価損&為替差損を食らわないよう最高度で警戒しないと・・・。とりわけアメリカなどと違って、基本的に中銀による国債買い支えの必要がない(借金穴埋め目的のインフレを起こす必要がない;市場原理に委ねていれば財政資金を低金利で調達できる立場にある)国の投資家にそれが強く求められます。いうまでもなくその代表格は日本(あとはスイスとか)。わたしたちにとってドル・米国債はいっそう投資に値しない資産になりつつあるということです。ドルは円に対して減価する一方―――ドルのベースマネーは円以上に勝手に(?)膨張するしかなく、ドルの単位当たりの価値は円のそれに対して下落するしかない―――なわけですからね・・・