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【円安インフレ下での消費増税も貧富差拡大に寄与】アベノミクス、やはり貧富差拡大に成功!③

2016-05-03 00:02:14 | 日本

前回からの続き)

 本稿は、「貧富差」を拡大するという当初の目的に照らせば「アベノミクス」は見事に成功してきたことを論証しようとするものです。

 で、貧富差を広げる手段として次に指摘できるのが2014年の消費増税です。ご存知のとおりこの年の4月、消費税の税率は5%から8%へと引き上げられました。前回ご紹介の下記グラフでも分かるとおり、当然ですが同月、消費者物価指数CPI)は前月と比べて2%あまり、ポーンと上がっています(CPI総合値[2012/11100]:同年3101.8→同年4103.92.1%上昇)。そして一般市民の消費支出のなかで最優先となる食料品価格の上昇率はCPIを上回る2.6%(102.7105.4)となりました。その他、電気代は1.3%、ガス代は1.1%程度、いずれも上がっています。

 グラフから読み取れるように、2012年終盤から事実上開始されたアベノミクス(≒円安誘導)で輸入インフレがじわじわと進むなかでのこの消費税率の引き上げは国民、とりわけ消費支出のうちの食費や光熱費の占める割合が相対的に大きな所得中~低位層の経済生活水準の低下に大いに貢献したと思われます。このあたりは本稿1回目でご紹介した勤労者の実質賃金が消費増税の2014年に、この10年間でもっとも大きな下落幅(前年比でマイナス2.8%)を記録したことにも表れています

 直近(今年3月)のCPIは104.1です(アベノミクス開始時点から4.1%上昇)。消費税率5→8%で約2.9%の物価上昇になるわけですからこの増分の過半が同増税にともなうものになっています。前述実質賃金やエンゲル係数の推移を見れば、この消費増税由来の物価上昇に大半の国民の所得の伸びが追い付いていないことは明白です。このあたり、政策意図的な円安インフレのもとでの消費税率の引き上げが、いかに庶民の暮らしにマイナスに働き、結果として貧富差の大きな社会の形成にプラスの寄与をしているかが分かります

 こちらの記事等で記したとおり、消費税には「逆進性」と呼ばれる、所得が低い層ほど実質的な税負担が重く、所得が高いほど軽くなるという性質があります。したがってその税率が上がれば上がるほど、消費税を導入している国の貧富差は拡大する方向に進みます。これを抑制あるいは是正するためには所得税の累進税率を高めるとか、相続税の増税をするなど、富裕層への税負担を高める必要がありますが、これでは貧富差の大きな社会の実現をめざすアベノミクスの方向に反することから、現政権としてはこれらの検討や実行はせず、既定路線となっている消費税率10%への引き上げにこぎつけたいところでしょう。

 なお、ここで食料品への軽減税率適用の是非に関する議論がありますが、アベノミクスの本音を代弁すれば、これはしたくはないはず。なぜなら、食料品を軽減税率の対象にしてしまうと、せっかくの消費税率引き上げが持つ貧富差を拡張するパワーが半減してしまうからです。

続く

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