今年6月23日、英国は「Brexit」すなわち欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を実施します。さて、英国にとってBrexit、それともEU残留の、どちらが望ましいのでしょうか・・・?
先月22日、英ポンドは主要通貨に対して全面安となりました。ロンドンのボリス・ジョンソン市長がBrexitを支持したことが原因とみられています。同市長は6月の国民投票でEU離脱派の運動に加わることを明らかにしました。これを受けてポンドは対ドルで前日比1.8%近くも暴落しました。
注目されるのはこの日、ポンドがユーロに対しても大きく下がったこと(約0.85%下落)。ユーロを含む欧州通貨は総じてドルや円に対して軟調でしたが、そのなかでポンドはユーロ以上に売られたことになるわけです。となるとマーケットは、Brexitは欧州全体にとってもネガティブだが、当の英国にとってはEUなどよりもずっとマイナス面の大きな出来事になる、とみているのでしょう。まあそうだろうな―――個人的には同感です。英国にとってEU離脱よりも残留のほうが多少はマシ(?)と考えているので。
・・・もっとも、ジョンソン市長がEU離脱支持をこのタイミングで打ち出したことのインパクトは小さくないように思います。というのも同市長は、EU残留賛成の立場を取るデイヴィッド・キャメロン首相と同じ保守党・・・の下院議員としてのキャリアがあるほか、ロンドン五輪を大成功に導いたことなどからたいへん人気があるため。イギリス歴代の尊敬に値する政治家ランキングでも上位に食い込んでいます。こうしたことから今後、一般市民に加えて現与党である保守党の関係者からも同氏の意向に同調する人が出てくるかも・・・。
そして、英国民にとってはEU残留のメリットがなかなか実感できないいっぽうで、離脱のメリットは分かりやすい、という面があると思われます。それによって英国は、年額数百億ポンド(日本円で数兆円規模)のEU拠出金を負担しないですむし、この先ますます増えそうなアラブからの移民の流入を制限できるからです。そんなこんなで、現在は劣勢(?)とみられるBrexit派が勢いづく可能性も・・・(?)
まあそれはそれでこの国民投票が盛り上がっていいかな、なんて(失礼ながら他人事的に)みていますが・・・それでも、その結果は「英国、EU残留」となるでしょう(自信はないけれど?)。英国民は上記市場と同じ現実的な判断―――Brexitはポンドにマイナスみたいだから、やめておこう―――を下すでしょうから・・・(?)