(前回からの続き)
アメリカの大統領選挙に至ることになる民主・共和両党の予備選を通じて、米国民の間ではバブル最大の受益者である金融界への怒りが高まるいっぽう、これがもとで来年スタートする新政権は、大統領が誰になるかによらず、そうした世論を意識して銀行に対して厳しいスタンスを取らざるを得ない。このため、米金融システム不安に対する当局の手当てが遅れ、救済等も不十分なものにとどまるので、結局アメリカは破滅的な金融メルトダウンの発生を防ぐことはできないのではないか・・・
つまり・・・こちらの記事を含めて本ブログで何度か書いているように、アメリカは近いうちに間違いなく(?)金融危機に陥り、その対応策として政府は、銀行(および住宅公社)への財政資金投入の是非判断をいやでもするしかなくなるわけです。その金額は、ハンパない―――合計で数千億~数兆ドル単位(日本円で100兆円規模!?)にも達する桁違いの金額になるはずです。
ところが、反ウォール街の感情が日増しに高まるなか、アメリカの納税者がそれほど巨額の公金、つまり血税の銀行注入をすんなり認めるとはとても思えません。「安易な銀行の救済、絶対反対!」「銀行の経営者の責任を追及せよ!」みたいな声がアメリカ中から上がって、米新政権は銀行に対する財政支援の実行になかなか踏み出せない。そうこうするうちに、金融危機はますます深化するという悪循環・・・
・・・そんなアメリカが最後にすがる手は、何度も指摘しているとおり、やはりFRBのQE(量的緩和策)という名の中銀による実質的な国債の直接引き受け(財政ファイナンス)しかないでしょう(もっともこれだってFRBがヘンな見栄を張っている?ものだから、その再発動は手遅れになりそうだが・・・)。でもそれは・・・ドルの無限散布すなわちドルの価値と信認の急落、そして他通貨とりわけ「円」、そして「金」(ゴールド)の暴騰をもたらすものとなり、ドルによって支えられてきたアメリカの国力の低下を内外に対して決定づけることになるのではないか・・・
アメリカの次の大統領(ヒラリー・クリントン氏?)は、その4年の在任期間中に、自国のマネー覇権の崩壊を目の当たりにすることを運命づけられている―――そんな気がしてなりません・・・って、それが現・オバマ政権中に起こる可能性も低くなかったりしてね・・・
(「アメリカの新政権を待ち受ける巨大危機」おわり)
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