安倍政権が閣議決定し、現在、参議院で審議中の安全保障関連法案。わたしは個人的にこの法案に反対の立場です。その理由は、こちらの記事に書いたとおり、そして多くの憲法学者が指摘しているように、同法案の大前提となる集団的自衛権の行使が日本国憲法に違反すると考えているから。わが国が法治国家である以上、最高法規たる憲法に反する法案は当然、法律になり得ません。したがって本法案を法律にするためには、同行使ができるように憲法を改正(改悪?)するほうが先のはずです。それなのに・・・
とはいえ・・・同法案に賛意を示す与党(自民党と公明党)は衆参両院で過半数の議席を有しています。なので、現政権によって上記議論が打ち切られ、同法案が議決に回されれば賛成多数を得て法律として成立する可能性が高いでしょう。そうなったらこの国はどうなってしまうのか・・・
たしかに現時点の同法案の中身であれば政府が言うとおり、わが国の自衛隊の活動は限定的なものにとどまるかもしれません。しかし上記のように、同法案の重大なポイントはこれまで違憲とされてきた集団的自衛権の行使を合憲とした点。ということは今後、自衛隊ができる活動がなし崩し的に攻撃性の強いものにエスカレートしていくおそれは十分です。なぜなら、同盟関係にある他国―――ようするにアメリカ様―――が武力攻撃を受けた場合、日本がアメリカとともに武力をもって戦うことこそが、政府が合憲!と強弁する(?)集団的自衛権行使に当たるからです・・・
ここでアメリカがこれまで関わってきた近現代のメジャーな「戦争」の発端を振り返っておきましょう。まずは第一次世界大戦。これにアメリカが参戦したきっかけが「ルシタニア号事件」(多くのアメリカ人が乗っていた英国籍の同船をドイツのUボートが撃沈した事件)でした。つぎに第二次世界大戦。これは言うまでもなく「真珠湾攻撃」。そしてベトナム戦争は「トンキン湾事件」(北ベトナム軍が同国沖に展開中の米艦船に先に攻撃を仕掛けたとされる事件)。さらにアフガニスタン戦争は「2001.9.11同時多発テロ」といった具合。
で、ここで重要なのは次の2点。まずは、真相は別(←コレ、チョ~~重要!?)として、これらのどれ一つとして、アメリカが先制攻撃を仕掛けたものがない―――先に武力攻撃をしてきたのはいつも相手のほうだ―――ということです。そして・・・どの場合もアメリカは「Remember Pearl Harbor!」(やられたらやり返せ!)なとと叫んでなだれ込んでいったわけです、「戦争」へと・・・