(前回からの続き)
先述したように、中国の不動産大手「中国恒大集団」(China Evergrande Group)の債務危機は、同社の株主、債権者・・・のなかでも同社ドル債をしこたまかかえた欧米金融機関に大損害を食らわすほか、これが対中投資のアブナさを顕在化させることで海外マネーの中国流入が止まり、これに依存していた同国の民間企業の多くが資金ショートに陥って次々に破綻・・・といった危機の連鎖が始まる寸前となっています(?)。これ実際に起こったら、かの国のバブルは派手に崩壊し、不動産価格は暴落して、資産効果も失われて消費が冷え込んで・・・中国経済は非常に厳しい局面を迎えるでしょう・・・
・・・って、それを回避するのは簡単です(?)。上記でご紹介の「三道紅線」(3つのレッドライン)と呼ばれる不動産融資規制を緩和・撤廃すればいいだけのこと。そうすればレバレッジ(借金)を利かせた不動産投機が再開でき、同バブルは再度膨張し、恒大ほかの支払い能力は回復し、各社の株価や社債価格も上昇して・・・などと、いいことずくめです(?)。なので、高額のマンション等をいくつも持っているような共産党特権階級はもちろん、彼ら彼女らと利害が一致する欧米投資家もまたこの環境に戻すよう、水面下では中国当局に対して上記規制緩和を求めているに違いありません(?)。
が、あくまでも現時点での個人的な観測では、習近平政権は本気でバブル退治に乗り出しているように思えます(?)。そこには、不動産バブルを軟着陸(と言われるが、実際にはハードランディング?)させて、その価格を、ある程度の収入のある都市住民が何とか入手できる程度にまで引き下げることで、習体制への支持の拡大や、バブルに乗っかっている政敵の弱体化を図るなどの狙いもあるのでしょう(?)。そのあたり、上記の実行には、恒大の危機に代表される強烈な副作用は避けられないので、どこまで現政権がこれに耐えられるか、はたまたバブル組(中華資産家層&欧米投資家)が巻き返すのか、恒大債権なんぞほとんど持っていないわたしたちは「高みの見物」といきたいところです・・・
・・・って人ごとのように余裕こいていたら、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人:公的年金の運用期間)が先月末、中国の人民元建て国債への投資を当面見送る、なんて投資方針を明らかにしました。ということは、戦慄すべきことに?これまでGPIFは中国債をけっこう買ってきたことになりますね。何度も書いているように、人民元建て債券など、市場原理が回復すれば(1ドル110円→同50円になれば)、その円建て価格は現状の半分程度まで一気に暴落するから手出し無用だし、そもそも「Quad」の一員たるわが国は中国におカネ(それも虎の子の年金原資!)を貸すようなことは手控えるべき(?)・・・なのにもかかわらず、実際にはこの有様です。ここから分かることは・・・共産主義者(≒国営金融機関とか国営企業等)のやること(ボロい債券の高値掴みやボロいプロジェクトへの乱脈融資等)は、中国や日本の違いによらず、どこも同じ・・・ってことなのでしょうね・・・