アメリカのトランプ大統領が「オバマ前政権が主導してきた地球温暖化対策」を【全面的に見直す「大統領令」】に署名した。
しかし、国際的な温暖化対策の枠組みである「パリ協定」は、欧州と中国では、実務が進行中であり、アメリカの州レベルでは、対策の強化が打ち出されている。
トランプ大統領が主張するのは、「アメリカのエネルギーの足かせを外す。政府の介入をやめ、雇用をダメにする規制は撤廃する」と宣言している。
エネルギーの生産に関して、規制を外せば、「石炭産業には有利になる」ので、石炭の採掘が進み、雇用が促進される、との目論見だ。
ところが、石炭の使用拡大には環境汚染の弊害がつきまとい、採掘にはメタンガスが排出され、燃焼時には火力発電では最大の「CO2排出」が伴う。
これらの悪影響については、すでに数十年の論争と科学的見地による将来世代への悪影響は、もはや明らかになっている事実である。
それに目を背けても、現在の雇用創出の方が大事だとの論法である。
ところが。アメリカ国内の石炭火力発電の割合は、2007年には50%を下回って下がり続け、2016年には31%にまで低下した。
天然ガスの採掘技術が進化して、2016年には石炭火力発電の割合を上回り、さらに増え続ける状況である。
オバマ政権時代には、各州での「再生可能エネルギーの割合を増やす目標を、電力会社に課している。
全米50州のうちの30州で、特にカリフォルニア州やニューヨーク州が熱心だ。
このような状況の中で、アメリカの石炭産業の雇用は7万人以下であるが、再生可能エネルギー分野では、65万人を超える勢いだ。
今では「再生可能エネルギー分野での技術進化は目覚ましく」て、新規参入企業は積極的に投資する。
必然的に雇用創出が活発になって、周辺産業への波及効果も大きい。
トランプ大統領がアメリカ人(白人系)の雇用を増やすと選挙公約をしているのならば、石炭産業に力を入れるのではなく、再生可能エネルギーを重視すべきだ。
大統領になってまだ100日も経っていないから、政策ブレーンの意見を聞けば、方向転換するのは当然の政策変更である。
今は勉強不足の状態で、不動産投資のことしか知らない大統領の欠点である。
もう一方の日本では、原発事故の教訓もまともに勉強をせずに、相変わらず【石炭火力発電を拡大する政策】に、固執する安倍内閣の頑迷さが目に付く。
表向きは「温暖化対策に積極的に貢献する」と言いながら、原発が動かない現状にイライラして、代替の火力発電を石炭に依存する安易な路線をとっている。
その影響で、日本国内での「再生可能エネルギーへの新規投資」は、伸び悩んで【世界の進歩と拡大から取り残される】状態に落ち込みつつある。(続)