昨年の5月にアメリカのオバマ前大統領が、広島訪問に尽力をした安倍政権は、「核兵器禁止条約」の交渉会議に「積極的に参加」していくと表明していた。
日本政府としては、「核なき世界」の実現を描きながら、「今すぐ条約を制定するのはマイナス」と主張して。一定の理解を得るために交渉に参加するとしていた。
ところが、アメリカのトランプ大統領との「日米首脳会談」では、核の傘による日本の防衛が盛り込まれた共同声明が優先されて、アメリカに歩調を合わせる。
北朝鮮などの「核ミサイルの開発の脅威」を挙げて、「核兵器禁止条約」に反対する立場に変更を迫られたのである。
トランプ大統領は、新たな核兵器保有国の挑発を受けるなら、それ以上の「核兵器強化策」をとって、世界での最強の核兵器を保有する、と宣言している。
日本政府は、この核兵器の保有強化による【核の恐怖による抑止力】に頼るしか、今のところ方策がない。
だから、核の傘を提供してくれる「アメリカの核兵器頼み」の国防策しか、選択の余地がないのだ。
それで、「アメリカの核兵器頼み」から抜ける政策は、全く打ち出せないでいる。
これは「政権与党だけの日和主義」だけではなく、野党の主張も無責任な安全保障政策に終始している。
日本が「唯一の被爆国」としての立場から、世界の悲願である「核兵器の廃絶」に向けての【主張も外交政策方針もない】状況が露呈しているのである。
世界最大の核保有国のアメリカとロシアが、「核兵器の軍縮への意欲を失う潮流」の中で、日本が実践可能な役割をはたすには、一体、何が必要なのか。
「保有国と非核保有国との橋渡し役」を、果たすのが難しくなったのは、状況の変化により直視するべきだが、その判断の結果が「交渉への不参加」なのか。
これは、問題が難しくなって、【成果が期待できなくなったから逃げ出す。】後ろ向きにしか、客観的には見えないであろう。
トランプ大統領の核兵器の強化策に踏みこむ姿勢を、たとえ「核の傘のもとにいても」、アメリカの方針を諌める提言もできないほどの、無節操ぶりだ。
こんなに自国の防衛の方針がぐらついて、【将来展望も持てない国のリーダー】が、世界の核保有国から、一目置かれる可能性はゼロである。
世界の無法者国家の北朝鮮からも、【日本の腰抜けぶりは、侮られる】日和見主義にしか、映らないであろう。
口先だけは、「カッコ良い事だけを言って」、いざ事態の悪化が起きると、すぐに言い訳を見つけて逃げ出すようでは、日本の外交力は、蔑まれるだけである。
アメリカのトランプ大統領の核兵器の増強策を諌めて、一方の、ロシアとの「領土返還を含めた安全保障政策」の理解を深める積み上げが必要である。
逃げているばかりのリーダーには、絶対に信頼感が深まる事はないのだ(続)