安倍政権が「デフレ経済からの脱却」として、2014年から取り組み始めた【官製春闘】が、4年間の短期間で早くも息切れが生じている。
2017年の4月からのベースアップは、月額で1000円から1500円程度で、これでは収入増加は1%にも届かないであろう。
大企業の平均的な年収の増加に換算すると、僅か0.5%程度であるから、政府が主導し、日銀が目標としている「物価上昇率2%」には、はるかに届かない。
実績では物価上昇率の平均的な値は1%程度で推移しているから、この程度のベースアップでは【実質賃金ダウン】であるのは確実だ。
これでは、国民の消費意欲の改善は全く不可能で、アベノミクスの失敗と合わせて、トリクルダウン効果もなく、大企業主導のベースアップも実現不可能である。
あとは、人手不足を引き起こして、就労していない「女性の新規就労」を増加させていくことしか手立てはない。
共働きが増えることで「一世帯の合計年収」が増えることを期待するだけになる。
それを奨励するためにも、待機児童ゼロの目標を必達する必要があるが、7割くらいの自治体では、とても実現はできないと悲鳴をあげている。
さらに、働き過ぎの人材の健康を守るとして、超過勤務時間の削減を、声高に主導しているが、それも、大企業のわがままを聞いて、最大100時間を認めている。
何をやるにも及び腰の「既得権擁護」優先では、国民の消費マインドの改善は望むべくも無い。
安倍政権の政策は、中途半端な及び腰のために、国民は自分の生活を守るためには、消費を手控えて、「将来に備えての蓄えを増やす」ことを優先するしかない。
大企業は、このような国内市場の状況を見ているから、新規の投資は海外に向けるばかりで、それも世界の経済が不安定だから、社内留保を増やすことにする。
「官製春闘」などと、お願いだけの政策で、「大手企業の賃金引き上げ」を継続させようとするのは、企業経営をした経験の無い【世襲政治家のあまごと】である。
あらゆる政策を検討し、給与の引き上げに鞭を打ち、物価上昇率以上に賃上げをした企業だけを、税制的に優遇するような政策で誘導しなければならない。
政府が強制的にでも引き上げが可能なのは、「各地方ごとの最低賃金」であるが、これを2%以上引き上げたのは、2016年になってやっと実現させた。
民主党政権時代の3年半は、【何も成果がなく政権公約違反の怠慢】であった。
自民党に政権交代しても、2013年から2015年の3年間は、何もしなかった。
このように、「下からの賃金押し上げ効果」を実現するにしても、とにかく怠慢であり、遅すぎると言わざるを得ない。
安倍政権の失策を取り戻すには、2017年から「最低賃金の引上げ」を、「経済成長率目標の3%以上を確実に実現する」ことから始めなければならない。
それも及び腰では、すでに政権担当能力は落第である。
即刻退陣しかない!(続)