庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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NHK放送の「原発メルトダウン」の特集で事故当時の混乱が。

2017-03-12 | 核エネルギー・原子力問題

福島原発の大事故が起きた当時の事故現場の対応を詳細に分析した結果、原発の安全に対する事前の備えと事故対応の現実が大きな誤算であったと報告された。

当時から、津波に対する備えの杜撰な想定が、大事故の原因であったが、其れだけではなく、種々の安全装備や事故対応訓練が、形式的であった。

最悪時の原子炉内部の冷却装備は、電源を喪失しても、かなりの長時間を自動的に冷却ができる装備をしていたが、肝心の操作する技術員の訓練は全くなかった。

そのために、机上での想定では自動的に冷却が可能な装備を備えながら、操作の判断を誤って、作動を停止してしまった。

 

現在の段階で、事故当時の対応処理が適切にできていたかは、記録を見る限りは【人間の能力を超える事態の連続】で、適切な処置ができる状態にはなかった。

なかでも大きな問題点は、大きな危険性のある原発を一つの敷地内に6基も近接して設置したことである。

万が一の想定を、いかに甘くしていたかの典型的な事例である。

津波の想定以上に「危険性のある事態は数多く予想できる」その万が一の事態でも、被害を最小に抑えるには、一箇所の敷地に原発の設置は一基だけに制限しておけば、炉心溶融(メルトダウン)のような大事故は防げたはずである。

それが防げなかったとしても、放射性物質の飛散量は少なくできたのだ。

 

このような事故の対応ができない現実を踏まえて、「原子力規制委員会」が、メルトダウン事故を絶対に起こさないように、世界一の安全対策をすべきなのである。

ところが、【机上論の技術的な細部の基準】を作るばかりで、肝心の人間が対応できる判断や意思決定、など、人が関連する分野は、抜け落ちたままである。

それを、安倍晋三という政治家は、専門家の判断に委ねるといって、責任を回避する言い逃ればかりしている。

原発事故を引き起こした「東京電力の経営陣」は、事故現場から遠くに離れた【東京の安全な建物】のなかで、とにかく責任を逃れることに終始した指示を出す。

このように人間が絡んだ組織の問題や、非常時の対応が適切にできる体制などの、「ソフト面(人、組織、役割分担、判断、命令系統の整合、など)」の対策を反映しないままに、【再稼動の申請を認可】してしまっている。

 

原子力技術委員会の専門家と責任者の説明では、そのような事項に関連する要因でも、【技術面以外の分野は規制委員会の役割を逸脱】しているから審査対処ではない、との言い分である。

それならば、安倍内閣としての「ソフト面の安全対策」が的確かを審査し、合否の判定をする組織はどこなのか。

その判定できる専門家は、福島原発事故の要因と対策を十分に評価して「必要な基準を国民の納得いくレベルに高めたのか」は、全く説明できない状態だ。

その段階で、二基以上の原発を設置した発電設備の再稼動が進んでいる。(続)