庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

総理大臣の意向を汲みとりすぎる官僚が蔓延している。

2017-03-27 | 国創り政治問題

現代は情報の量が飛躍的に拡大している時代であり、技術の進化によって、情報量の拡大は続ける一方である。

しかし、その質の面が進化するには、技術ではなくて「社会の制度の進化」が、伴わなければならない。

組織のリーダーは、この錯綜した情報のなかで、重要な判断をする責任があるが、末端の仕事の指示ができるはずはないから、その現場に近い責任者にまかせる。 すべての件の結果を把握できていることは不可能だから一方通行になる。

それゆえに、巨大な官僚組織のなかでは、上司の判断がどのような意向で左右されるか、常に気を使って、上ばかり見ながら仕事進めている。

 

今回の森友学園問題は、末端の近畿財務局の官僚が、国有地の払い下げを実施するにあたって、【特別の忖度をして格安に実施した】ことが発端である。

官僚機構のトップは、総理大臣であり、その意向が反映されることが確かであって、手続き上は法律の範囲でも、トップの意向が忖度されている。

これを、安倍総理は、問い合わせに対する「役所の回答内容」だけの文面で、【官僚の忖度はない、「ゼロ回答である」】と強弁している。

これには、野党も、マスメディアも、疑問だらけであるから、国民の信用は得られない状態だ。

総理大臣の意向が忖度されるのは当然の話であり、その判断を自分の責任外であるという方が、トップの意識が薄すぎる。

 

仕事が動くのは、組織で働く人の忖度で動くのである。

その忖度の基準が、上司の命令と、組織の規則による決定プロセスであるが、その範囲を超える判断は、末端の組織で働く人の意識に頼るしかない。

中国のような後進国の組織では、上司の命令だけで【規則が曖昧】であれば、末端の役人や企業人は、自分の利益になるかどうか、で判断する。

上司の意向やトップの方針など、判断の意識からは抜け落ちているから、自分の利権の範囲での最大の利益、つまり、【賄賂が取れるかの忖度】で判断する。

しかし、情報の量が発展して、秘密のできる状態が減るにつれて、「賄賂のリスクが付きまとう事態を避ける」ために、「上司の意向に添えるかの忖度」に変わる。

 

日本の官庁や大企業の仕事は、上司の意向、つまり、最高権力者の意向を汲み取る「忖度の実行」によって、仕事が進むのである。

組織を効率的に動かすには、命令系統はもちろん、組織の規則の充実を図った上で、『トップの意向が全組織の人に明確に伝わる』ように徹底する必要がある。

命令がおざなりで、トップの意向が表明もなく曖昧では、実務者の判断に忖度を入れることができず、つまり、わかるまでは仕事を遅らせる。

「森友学園問題は、首相夫人が名誉校長になった段階から、あらゆる手法を使っても、早期に建設が進み、認可が降りる方向に忖度して、突進したのである。(続)

 


森友学園問題は総理大臣の意向を忠実に忖度する官僚の誠実さ。

2017-03-27 | 国創り政治問題

最近の一ヶ月以上も、マスメディアのトップを騒がせている問題に、「森友学園問題」が挙げられる。

国会での証人喚問も実施されて、この先の結末もわからない状況だが、安倍政権の対応が不備であったことだけは確かである。

もっと重要な問題が山積しているというのに、高々、8億円の国費が無駄に値引きされたと論評する指揮者も多いが、音大の本質が金額ではない。

従来の政治家や官僚の不祥事は、民間の事業で特別の便宜を図ってもらい、その見方として、多額の賄賂や、地位を保証する天下りの斡旋などであった。

 

しかし、今回の森友学園の学校敷地を斡旋して、廃棄物の処理まで、ご丁寧に多額の処理費を支給するなど、賄賂の正反対の「官僚側のサービス」ぶりである。

政治家側が賄賂も受け取らず、官僚側の利権のメリットもないのに、なぜ、このような忖度が働いたのか、現在の官僚機構の性格をうかがわせる事例である。

「ロッキード事件」の象徴されるように、大きなお金が動く政府案件では、裏取引で他悪の政治献金や賄賂が飛び交うのは日常茶飯事であった。

しかし、金権政治批判が、世論の反発で「政治的には命取り」になるリスクを抱える現代では、そのような単純な裏取引は通用しないし、リスクは犯さない。

そのような政治情勢であり、官僚もガードが固くなって、民間事業者の便宜を図ることは、単純な利権や天下り斡旋には動くはずは無い。

 

今回の「森友学園問題」のベースには、安倍総理大臣の個人的な意向が、意図せざる官僚の忖度を誘導した「官僚機構の欠点が表面化した」と見るべきだろう。

安倍総理大臣は、常々、右翼的な国つくりの意向を、いつも表明していた。

その総理夫人が、支援する「右翼的教育者」が、小学校を建設しようとしてが、通常の手続きでは「官僚機構の非効率」で、全く前に進まない状況になる。

そこで、【安倍総理からの寄付金がわずかでも入っている】との情報を流せば、「官僚機構は天の声の予兆と判断」して、直接に指示が全くなくても動き出す。

こうして、支援を要請した籠池理事長もびっくりするくらいの速さで、認可適当が出されて、想定外の廃棄物処理費相当額が、税金から支給されたのである。

 

安倍総理夫人には、金銭的な意図がなくても、その後ろだてにいる総理大臣の意向を想定すれば、最大限の忠実さを発揮して、迅速に対応したのである。

まさに、日本の官僚たちは、総理の一声がなくても、その意図を組んで動きを早める誠実さが備わっていると、今回の問題では「日本中に証明した」のである。

これくらいに一国の総理の意図を、「忠実に忖度し、迅速に誠意を持って実行」する官僚制度を備えているのだから、首相の意向表明は非常に大切である。

しかし、経済対策も滞り、「一億層活躍社会」と掛け声をかけても、具体策にはならない現実は、いったい何が原因なのであろうか。

筆者の推測は、安倍総理は具体的な国作りの意向を、打ち出せないでいるから、官僚は首相の意図を忖度して、「今は何も動かない」ことが適切だと判断する。(続)