国連の「幸福度調査ランキング」が、3月20日に発表されたが、日本は155カ国中の51位であり、先進国の中では最低のレベルであった。
安倍政権がいくら経済の発展に貢献したと強弁しても、この客観的な事実には、反論する術もないであろう。
正社員と非正社員の格差が拡大し続けて、平均的な賃金の格差が広がり、今や40%くらいの差がついている。
非正規雇用は4割を超えて、しかも過酷な労働条件をしいるブラック企業を野放しにしてきたツケは、消費者としての購買力の低下により、デフレを長引かせる。
これでは、希望しても子供を産んで育てる環境が悪化し続ける不安で、少子化、晩婚化が進むのは当然である。
高齢化は老人の健康管理が個人ベースで進み、医療の進歩も伴って、幸福度向上にはよい影響のはずだが、それ以上に成年層と若年の婚期適齢層には、不安感が増加し続けている悪政が続いたので、その当然の結果である。
特に「グローバル化社会」の到来で、無防備な貿易奨励策で「海外との価格競争力」を維持することに最優先政策としたために、労働価値を引き下げてしまった。
【非正規雇用社員の拡大】も、その一つの要因だが、民間企業の【正社員のベースアップ凍結】も、全体の経済水準を停滞させる最大の要因である。
高度経済成長期には高いベースアップ獲得に貢献した労組も、グローバル化とバブル崩壊以後には、【労働者代表としての志を失い】、貢献度はゼロに転落した。
既存の労組の組織を守ることだけに専念し、この期間には、「日本中の労働分配率は低下し続けてきた。
政府は労使の賃金交渉に介入することはタブー視されてきたので、無罪とは言えるが、政府所管の「最低賃金の引き上げ」は、サボりっぱなしであった。
ついには生活保障レベルよりも低い最低賃金が露呈して、慌てて最小限に引上げをした体たらくで、働く人の労働価値を下げ続ける「怠慢ぶり政治」であった。
その原因を全て、グローバル化と円高の影響にして、無策を隠してきたのである。
労働者の代表である政党の「民主党政権」が誕生しても、【最低賃金の1000円への引上げすら実行できない】無責任政党の本質をさらけ出して、追放された。
政権交代した自民党政権は、すでに過去の幻想となっている【ドロップダウン効果】に依存した賃金の上昇を期待したが、甘い幻想であることが露呈した。
今は躍起となって「官製春闘」に励んだが、3年で行きつまり、「同一労働同一賃金」の野党のスローガンを横取りして、取り組みを糊塗している。
しかし、実質賃金の低下傾向は下げ止まらずに、庶民層の買い控えと「エンゲル係数の上昇」は、止まりそうも無い。
20年間にわたって、「働く人たちの賃金低下を放任」して、「労働価値を下げ続けたエリート層の犯罪」は、すぐには是正できない凋落の悪の潮流である。(続)