安倍政権が実施する経済政策とそれを支えるエネルギー戦略は、いつも時代を逆向きに進んでいく方向ばかりを打ち出している。
実例を挙げてみると、発電電力のエネルギー資源の構成が、21世紀の将来を見据えた視点が欠けていて、常に昔はよかったとの回想に陥っている。
原子力発電所の集中立地を、当然のように推進して、「表面的な経済合理性の上に立って、日本中に拡大してしまった。
この悪影響では、福島原発での安全対策を、手抜きとも言える「津波対策不足」によって「集中立地の弱点」を露呈したが、それすらも反省にしないで、集中化の良き時代の幻想にひたっている。
昔はよかった成功例にこだわり、相変わらずの旧時代技術のしがみついている「石炭火力発電所」の新設計画を、推し進めたのも安倍政権の古き幻想主義である。
石炭火力発電は、燃料の備蓄が有利だから、エネルギーの安定供給には有利だからとの主張は、1960年代に逆戻りしている。
21世紀中頃には、世界中の潮流が「脱化石燃料」「脱CO2排出」に転換しているのに、一時的な発電コストの有利さにしがみついて、石炭火力発電所を進めた。
しかし、世界多数の賛同国で「パリ協定」を発効させた流れに逆らうことはできなくなり、近い将来には「CO2排出規制」を、国内法でも実施せざるを得ない。
環境省が、電力会社にこの流れを経営に考慮するように勧告してきたが、安倍首相は聞く耳を持たなかった。
ついに、国内での新規建設を計画中の「東燃ゼネラル石油と関西電力」は、千葉県市原市に計画していた「2024年稼働開始予定の石炭火力発電所」を中止した。
理由は、将来には確実に「CO2排出規制」が実施されるから、【この時期には追加の対策で発電コストは大幅に上昇】する【経営リスク】を抱える。
4000億円に達する新規投資を、償却する経営計画は達成不可能で、今のうちに断念するのが正常な経営判断である・
同様の計画には、「東京電力、中部電力(神奈川県に2基新設)」、「中国電力、JFEスチール」、「九州電力、出光、東京ガス(千葉県に2基)」などが続いている。
これらも、同様に【経営リスクを抱える羽目になる】が、未だに、迷走している。
福島原発の大事故を受けて、「世界中での原発の安全対策が厳しくなる」のは当然の流れであった。
それを、安易に軽視した「東芝・エスチィングハウス社」は、原発建設にのめり込んで、ついに【経営破綻に瀕する膨大な負債】を抱え込んだ。
この経営判断には、安倍政権の無知な「原発依存症体質」が、破綻への道をあと押したのは、今や明確になっている。
石炭火力発電の新設にのめりこむ企業が、将来には赤字となる石炭火力発電を、抱えこむ経営判断を進める責任の大半は、安倍政権の頑迷さにある。(続)