最大野党の民進党が、2大政党制の役割を全く果たしていないのが、日本の政治を停滞させている。
国の将来を専門家の立場で戦略的に構想して、実現への具体策を競い合うことで、次元の高い政策の論争が交わされて、どちらの政治家もレベルを磨き上げる。
これが、2大政党制の理想の姿であるが、日本の場合は、55年体制時代の社会党は「万年野党」と言われて、その役割を果たせなかった。
自民党の一党支配が長期間に渡って続いていたが、その頃の自民党は、伝統的な派閥が活躍して、若手政治家を育て、中堅の政治家が大臣になって経験を磨く。
その中で、次の世代の首相候補が育つことで、政治の活力を生み出していた。
たしかに【派閥を維持すると政治資金が不透明】となって「金権政治の弊害」が生まれるが、今のように「小選挙区制が重点」の選挙制度では、その弊害は無い。
しかし野党の力が弱く、少数野党の乱立になるようでは、「2大政党制」のメリットは全くなくなり、一党独裁で、選挙の公認権の力が強くなりすぎている。
自民党政権は、安倍政権の一強支配下になって、政策論争もなくなり、将来展望に沿った「革新的な政策の具体化」は、全く低レベルになってしまった。
ただ、アベノミクスの掛け声の元で、金融緩和だとか、規制緩和をするとか、企業活動を自由にすれば、経済の成長が上向きになると勘違いをしている。
次世代を牽引する新産業は、そんな簡単なスローガンでは育成は不可能なのだ。
対抗する民進党は、民主党時代の政権交代時には、無駄の削減とか官僚主導をやめさせるなど、引き締めることばかりに力を入れてきた。
その成果は何も生まれないうちに、迷走しはじめて、ついには財源を確保するには、政権公約では【否定していた消費増税】につき進んでしまった。
給料が上がらないままの状況で、増税だけを先行すれば、政権を失うことぐらいは、一年生の政治家でもわかる。
民主党の政治家たちは、新産業を生み出す方策と、その促進政策の環境作りには全くの素人集団で、何一つとして、産業育成政策を打ち出せないでいた。
4年以上の野党生活でも、自民党政権に対抗できる【新産業政策は皆無】である。
自民党政権が優れた産業政策を打ち出せているわけでは全く無い。
しかし、今の民進党には【国民は全く期待が持てない】から、止むを得ずに、安倍政権の支持を表明するしか、行き場の無い有権者ばかりになる。
それなのに、既得権益を守ることの政策を優先する安倍政権には、対抗できるスローガンも打ち出せない。
一時期は「コンクリートよりも人への投資」といったが、インフラの整備の遅れた地域や、老朽化が激しい国土の保全など、「現実的にはコンクリートも必要」だ。
その上で、人に投資するには財源を生み出す具体的な提案をするべきだが、今の民進党では、消費増税、など、理解が得られない増税ばかり言い出している。(続)