甍の上で

株式会社創瓦 社長 笹原真二のブログです。

いつの間に 柿も色付き 秋深し 日々の暮らしも 早く過ぎゆく

2020-10-28 21:26:53 | Weblog
     米寿の母

 今まで、お袋も、亡くなった親父も、還暦、古希、喜寿、傘寿の祝いは、一度もやったことがなかった。例年の誕生日と同じで、家内が作ったお寿司と食後のショートケーキが恒例のうちの誕生日だった。

10月25日は88歳になるお袋の誕生日。その一週間前、京都にいる妹から電話が入った。「24日、お母ちゃんには内緒で、家族みんなで行くから、米寿のお祝いをしよう。子供たちもサプライズなプレゼントを考えとるから・・・」という電話から、妹家族と、うちの家族でお袋の米寿の祝いをすることになった。

 休みが取れたと言って、大阪から帰っていた三女の菜穂は、古いアルバムを開いて、「おばあちゃんの若い時の写真は?おじいちゃんの写真は?」と言いながらスマホでその写真を撮っていた。「何をしてるの?」と尋ねると「京都の美奈ちゃんに送っとるんじゃ」と

 24日の朝、妹家族が来た。お袋は何事かと思って驚いたようだったが、やはり嬉しかったのか、様々な野菜が早く収穫してと、言わんばかりの畑を孫たちに案内していた。その様子を孫の康士郎が、写真に収めていた。

 夜帰ると、居間には色紙を切り抜きして、「安枝おばあちゃん、おめでとう88」バルーンで“HAPPY BIRTHDAY”お月様やお星様も散りばめられている。これは、幼稚園の先生をしている孫の千賀子が飾りつけをしたという。

 お祝いの食事は、お寿司と、しゃぶしゃぶ。しばらくすると照明が落ちた。テレビの画面からは、菜穂が従姉の美奈子に送っていた写真が。若い頃の親父とお袋、子供の頃の妹と私。親父とお袋は50代から60代にかけてよく旅行に行っていた。北海道の写真、ハワイの写真、グランドキャニオンの写真もあった。親父が最後に行った鹿児島旅行、お袋と成美が一緒に写っている。まだ、半年前は元気だった。これらの映像は高校で情報処理を教えている孫の美奈子が、「喜んでくれる!おばあちゃんのために」とパソコンで編集した。

 妹が買って来たケーキはとんでもなく美味しく、それをいただいた後は、再び照明が落とされた。エンディングは、今日一日の出来事、朝、京都から妹の家族が来て、驚きと喜びが入り混じった写真、畑で、うちの事務所で、今夜の様子の写真もいっぱい。さっきまでのことが次々と画面に映し出された。お袋にとって、この日の全ての出来事がサプライズプレゼントだったに違いない。
 88の手習い麻雀。 栗山の下草を草刈り機で刈る88。1反近い畑を耕運機で耕して、野菜を作り人様に上げるのが好きな88。運転免許返納も考えてはいるのだが、まだ大丈夫な88。一昨年、マツダスタジアムに行った88。また連れて行けと言う88。相撲が好きな88。生の音楽を聴いてピアノとパーカッションが好きになった88。そしてライブが好きになった88。JAZZも聴く88。なんと粋な米寿の母か! 
                            令和2年10月28日        笹原 真二
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