甍の上で

株式会社創瓦 社長 笹原真二のブログです。

 休日の 早い夕暮れ 見渡せば 残暑の中にも 秋の気配が

2022-08-28 18:40:20 | Weblog
「世の中は、優しさで満ちている」金澤泰子

 いつ頃だっただろうか?雑誌致知で、建仁寺の国宝、俵屋宗達の「風神雷神図屏風」と、金澤翔子の書「風神 雷神」の屏風が並んで掲載された。絵と書の違いはあっても、全く同じものに見えたことに感動したことは、ずっと心に残っている。金澤翔子のお母さん、泰子さんが、井原に講演に来られたことがある。講演後、市の公報で知った。本当に悔やまれた、それも何年も前のことだ。

 7月30日、朝5時半過ぎテレビを付けると、静岡放送の「テレビ寺子屋」が。講師は金澤泰子さん、ダウン症の書家 金澤翔子のお母さん。その中で「翔子は、一人暮らしをしているんです。商店街の人たちに助けられながら、お料理も一人で作っています。とても上手で、美味しいんですよ・・・」

 十数年前、感動したと言いながら、金澤翔子に関する書籍は何一つ買っていなかった。だが今回は、インターネットで調べ、「翔子の書」という書の写真集、「金澤翔子の一人暮らし」「金澤翔子、涙の般若心経」の三冊を購入した。

 you tubeでも、検索し、20kgの大筆を持っての席上揮毫のライブ、お母さんの泰子さんの講演を次々と見た。東大寺の別当は、「女性とは思えないようなダイナミックな力強さ・・・.筆の運びは慎重なんだけど、書いたあとはスピード感が見られる・・・驚きました・・・」まさに言われる通りだった。

「翔子が26歳の時NHKさんが、平清盛を書くために、広島に連れて行ってくださったんですね。そこで大きなホテルを取ってくださって、お風呂に入ったんです二人でね。お風呂に入ったら窓がとても大きかったのでホテルの電気を全部消して、外を見たら四国が見えてね中空に月が浮いてて、その月の光に照らされて、翔子が私に「お母さま、幸せ?」って聞いてくれたんです。私は「幸せだよ」って言ったら「お母さま、嬉しい?」「嬉しいよ」「楽しい?」って聞いてくるんです翔子が。私は涙が止まりませんでした。
 
 26年前、私は、翔子がダウン症って告知されてから、あまりに苦しかったので日記を付けはじめていたんですね。その日記に私は「今日、私は世界で、日本で一番悲しい母親だ」って書いたんですね・・・26年経って、我が子に「幸せ?」言われて、私は「お母さまは、日本一幸せだよ」って言えたんです。こんな日が来るとは思いもしなかった。」 千葉県山武市での講演you tubeから

 お盆の15日、購入した3冊の本を読んだ。1冊は写真集だが、読み終えて、「この親にして、この子あり」一冊、一冊に、愛が溢れている。金澤翔子は、お母さんに照らされ、母泰子さんは、娘翔子に照らされている。

 幸せのお裾分けをもらったみたいだった。翌日、この感動を、鹿児島の友人、吉元政明に伝えた。写真集「翔子の書」を、「金澤翔子の一人暮らし」を、「金澤翔子、涙の般若心経」を買って読めと。 令和4年8月28日  笹原 真二

 追伸1
 翔子はダウン症の27歳の娘です。幼いころから何をしてもゆっくりで、何をしても最下位。そんな娘を育てていた私は、救われる手立てもなくオロオロと悲嘆にくれていました。しかし翔子はそんな親の嘆きをよそに、けなげに元気いっぱい生きてきました。

 そんな翔子がどのような子かと申しますと、例えば・・・
ある日、夕暮れの散歩の時に、翔子が「お母さま、お空を買って」と言って来ました。空は買えなかろうと思いつつも、手を引かれて街の方へ行くと、あった!「空あり」駐車場の(空あり・月決め2万円)の看板が出ていました。翔子は駐車場の「空」を蒼い「お空」だと思ったのです。
 また、新幹線夷乗る時は、どうしても自由席がいいと言い張ります。グリーン車の券をもらっても、翔子はスタスタと自由席に行ってしまいます。自由席の「自由」を「フリーダム」の「自由」と思い、自由席で自由になりたいのだそうです。

 ある撮影の時には、見物にいらしていたご夫婦に連れられた犬にも、翔子は丁寧に両手を添えて「どうぞ」と言って名刺を差し出しました。犬もその名刺を前に神妙にすわっていました。周りの人たちは爆笑していましたが、翔子の絶対平等感の前では、「人間は皆平等だ、どんな人にも尊厳あり・・・」などと言う私の平等感など、とても陳腐なもののように思えます。

 花を見ては手を合わせ、いつも翔子に寄り添うようについてきてくれる(ように見える)お月様には、玄関に入るとき「ありがとう」とお礼を言っている。そんな翔子にはすべての命が同じで、すべてに尊厳が見えているのでしょう。「この犬にも丁寧に名刺を」事件以来、私は花でも、犬でも、路傍の石ですら、私の心を動かしてくれていることに気が付きました。・・・・

  ダウン症の書家・金澤翔子の作品集
   「翔子の書」  書 金澤翔子 文 金澤泰子  はじめに から抜粋
 
追伸2
 最高の三冊でした。是非、買って読んでみて下さい。「広島のホテルのお風呂」の場面も、他にも心暖かくなる物語がいっぱい書いてあります。最高の教育書だと思います。幸せになれます。そして誰かに伝えたくなります。
コメント
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