甍の上で

株式会社創瓦 社長 笹原真二のブログです。

梅雨空の 鬱憤晴らす ひと時は 生の演奏 生の歌声

2020-06-28 12:07:17 | Weblog
 続「51対49」「52対48」の問題

 コロナウイルスが、日本国中に蔓延していた4月4日、清水紹音さんの家で、愛媛県大三島のシャンソン歌手の安土明中子さん、大阪のピアニスト辻本貴子さん、岡山のギタリスト石井真由美さんのライブがあった。

2000円のチケットを買って聴きに来た人は7人。少しさみしいような、違った見方をすれば、随分贅沢な音楽会となった。3月の春分の日、紹音さんの家に遊びに来ていたシャンソン歌手の安土さんに、お袋が好きな「風雪ながれ旅」をリクエストしていた。そんな無茶ぶりにもちゃんと応えて下さった。

 その日の帰り道、お袋が何を思ったか?「家にあるピアノを、事務所の2階に持って来れば、紹音さんの家の狭い所よりも、多くの人が聴けるし、駐車場も確保できるし、道路事情もうちの方が良いから、お客さんが来やすい。」と

 5月に入って、40畳ほどある二階のカーペットタイルを張り替え、ピアノを移動して即席のライブ会場が出来た。しかし、コロナによる緊急事態宣言は東京大阪を含む7都道府県を除いて5月25日に解除されたものの、当然の如く自粛ムードは、今現在も続いている。

 6月21日、井原高校音楽室で19世紀のスタインウェイのピアノを使って、ピアノ谷川賢作さん、パーカッション宮本香緒理さん、ボーカル大塚ひろ子さんのレコーディングに合わせて、前日の20日、場所は未定だったが、ライブを開催することは、正月明けから予定されていた。しかしコロナ騒動。

 GW、大塚ひろ子が来られなくなった。紹音さんは、童謡歌手の深川和美さんにお願してOKをもらう。状況は良くなるだろうという希望的観測において決定した6月20日土曜日のライブ会場は、うちの事務所の2階。
 
 会場名はStudio Roof-funと命名。Roofは屋根、funはfunkyから、意味は、楽しい、かっこいい、泥臭いetc、瓦は土で出来ているし、泥臭いも良い。部屋内の張桁、壁には、これは面白い、かっこいいと思った瓦をいっぱい張り付けて瓦ミュージアムに、これも良い。

 それでも、ライブを開催するかしないかの判断はコロナの状況を見ながら、日々気持ちの中で揺らいでいた。それは私だけでなく、紹音さんも、妹尾啓典さんも、三宅敏文さんも同じ気持ちだったに違いない。

 4月、5月の緊急事態宣言による自粛要請の効果が表れて、GW時には10,000人を超えていた感染者は、6月10日以降は1000人を切った状況が続いた。

 それでも見えないウイルスへの恐怖感は強く、開催にあたって、マスク、消毒液を用意する。1mのソーシャルディスタンスを取るという言わば気休め程度の約束事において当日を迎えた。客数は50人を目途にチケットを販売。結果的に、うちの家族5人を含め、70枚のチケットが売れ、最終的に67人の来場。想定をオーバーした10人少々は、40畳の会場内には入ることが出来ず、ガラス戸を取っての居間で音楽を聴く形となった。

 コロナ渦中でのライブ、家内や娘の反対もあった。こんな時期にという声も聴いた。コロナの状況も鑑みながら、チケット販売をした。「コロナのおかげで、自粛、自粛で、何処にも行けなかったし・・・嬉しい。」と言って買ってくださった方もかなりいた。

 そんな中、中学時代の音楽の三宅先生の家にチラシとチケットを持って行った。三宅先生は、ひいおばあさんの実家の分家で、忘れられない思い出がある。「笹原君、あんた、うちとは、縁続きなんじゃけえ、しゃんこらせにゃいけんで!(ちゃんと、やらないと駄目よ)」と言われたことがある。ハーモニカも縦笛も出来ない、歌を歌わせたら音痴。今では笑い話なのだが、音楽の授業が本当に憂鬱だった。

 その三宅先生に、「谷川俊太郎さんの息子さん・・・」と説明しよとすると、「俊太郎さんの息子さんは、有名なピアニストじゃが」と唯一、賢作さんのことを知っていた。先生は「よく、声をかけてくれた」と言って、2枚買ってくれた。その上に、大西さんという友達も紹介してくださった。

 客層は、三宅先生、大西さん、釈囲先生、スマイル美容室の先生、東屋の早川さん、お袋と80歳代の女性が6人。70代後半の方も結構いた。当然、少子高齢化の街だから、そんなことになるのは当たり前かもしれないが、そういう年齢層がライブに来るというのが、何とも言えないお洒落な光景に感じた。

 前半休憩前の曲は映画パピヨンのテーマソングをJAZZアレンジして賢作さんのピアノと、宮本香織理のパーカッションは見応え、聴き応えのあるセッションとなった。

 後半もあっという間に過ぎて行った。リクエストしていた「シェルブールの雨傘」深川さんのきれいな声に魅了された。背筋がゾクゾクとするような、CDじゃない深川さんの生の歌声に感動した。

 佐藤物産の佐藤さんも「シェルブールの雨傘が、良かった!」と言って帰って行った。少し遅れて来た同級生の森は「感動した!」と言って帰って行った。成羽の東さんは、翌日電話で「良かった。「涙そうそう」が、良かった!次やる時も、是非、声かけて!」と。

 先日、三宅先生の家に行った。やはり音楽の先生の感想が聞きたかった。「良かったよ!ありがとう久しぶりに、良い音を聴かせてもらった。パーカッションが良かった。もちろん賢作さんのピアノも、深川さんもきれいな声じゃったなあ。もっとセッションが聴きたかった。私はJAZZも好きなんじゃ!」

 そんな声を聞けたことが、嬉しかった。一流のミュージシャンが井原に来てくれる。全て福の神52%の紹音さんのお陰だ。この日、48%の貧乏神はどこかへ出掛けていたようだ。   
                                令和2年6月27日    笹原 真二

追伸  ライブの2日前、6月18日は、雨だった。午後4時頃、ミュージカル劇団、劇団「ふるさときゃらばん」のプロデューサーをしていた祖父江真奈さんから、4月に送ったマスクのお礼として、美味しい新茶と、ご主人で、劇団「ふるさときゃらばん」の歌曲をすべて作曲し、画家でもある寺本建夫さんが画いた、疫病を退散させるという「妖怪アマビエ」のカラーコピーの絵が送られてきた。

 コロナ騒動の最中にこの絵。しかもライブの2日前、タイミングが良すぎるというか、根拠など無いが、今回のライブは、天が見守ってくれているような気分になった。アマビエの絵をカラーコピーで拡大して、会場内の梁桁に貼り付けた。お客さんに、団扇代わりに使ってもらおうとラミネートして配ることにした。

 真奈さんにアマビエの絵をラミネートして配ることを、「寺本さんに承諾してもらって」と連絡したら、Roof-funで、「寺本さんのコンサートをすること」という条件がついた。また一つ楽しみが増えた。

コメント
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