さすがは福士加代子! がんばれ!新谷仁美!
弟96回日本陸上競技選手権大会は、6月8日~10日大阪の長居陸上競技場において開催された。ロンドンオリンピックへの最終選考会、暑い日中を避けて少しでも記録が出るようにと決勝種目は夕方以降へと配慮され、さらにNHKが3日間TV中継。8,9日においては午後7時半からゴールデンタイムにライブ中継、いやが上にも選手のモチベーションは上がった。
10日の17時から女子5000m決勝には母校興譲館高校のOG新谷仁美(ユニバーサルエンターテイメント)が出場。マラソンで先にオリンピック出場を決めている重友梨佐と共にオリンピック出場を目指す。(在学当時は主将重友、副主将新谷)同級生がそろってオリンピックへ行くなんてことは陸上競技の世界では前代未聞、そんな夢みたいなことが実現するかと思うと、朝からテレビ中継が待ちどうしかった。
5000mのスタート前、新谷の表情が映し出される。この1本でオリンピックが決まるというプレッシャー、いつもの新谷とは違って落ち着きがない。スタートは牽制しあって400mを77秒(16分04秒のペース、オリンピック参加へのA標準は15分20秒)で通過、新谷はレースの位置取りに迷っているのか?レース全体もぎこちない出足となった。ここで、2日前10000mで2位に入ったベテランの福士加代子(ワコール)が前に出てペースアップ、新谷がすかさず福士に着いた。3000m手前から新谷が前に出て独走状態、見事A標準を切って優勝。その場でオリンピック出場が内定した。ゴール後、新谷は2000mあたりで「福士さんにA標準狙って行け!」と声をかけられ、福士、吉川(パナソニック)両先輩に引っ張ってもらった。と感謝と共に喜びを口にした。
福士は2日前の10000m決勝も、最初から積極的にレースを引っ張った。全盛期の切れはないものの、長年この種目で第一人者を自他ともに認めてきたプライドがこのレースを作った、ラスト1000mで吉川に交わされたもののA標準を切って2位に入る、3大会連続のオリンピック出場をほぼ手中にしていた。だからあえて5000mに出場しなくてもよかった。しかし、福士は5000mに出場。牽制したレースになれば自分がレースを作ろうとして?・・・長年、日本の女子長距離界を引っ張ってきたベテランが若手を奮起させるため?・・・さらに言うならば才能ある新谷仁美をオリンピックに連れて行くため?・・・勝手な想像かもしれないがベテラン福士の味のある走りに「さすが福士!」と賛辞を贈りたい気分だった。
追伸 大器、新谷仁美がオリンピックへ。5000m、10000mの両種目への出場となるだろう。最高にうまく行けば、両種目入賞も夢ではない。マラソンの重友と共に嬉しい報告会が出来たら最高だ。頑張れ!重友!頑張れ!新谷!
あと一月でオリンピックは始まる。 2012年6月28日 笹原 真二