甍の上で

株式会社創瓦 社長 笹原真二のブログです。

敵見えぬ コロナウイルス 先見えぬ 打ち出す術は 竹槍に似て

2020-04-28 21:07:23 | Weblog
   こんな時代(とき)に出会った歌

 19日の日曜日、音楽プロデューサー清水生紹音さんの家の屋根修理をして、お昼をご馳走になった時のこと。紹音さんが、「石川セリでも聞こうか。」とCDを掛けてくれた。

 その歌声は、私の知っている「ダンスは上手く踊れない」「八月の濡れた砂」等を歌う石川セリではなく、まるで動揺や唱歌でも歌っているかのような優しいきれいな歌声で・・・思わず「石川セリってこんな声、していました?」と紹音さんに聞き返した。

 そのCDは、親父と同年代の作曲家、武満徹が作曲した歌を石川セリが歌った「翼、武満徹ポップソングス」というアルバム。その中でも、一番惹かれた曲が「死んだ男の残したものは」(作詞谷川俊太郎)という曲だった。

♪死んだ男の残したものは♪一人の妻と一人の子供
♪ほかに何も残さなかった♪墓石一つ残さなかった・・・


石川セリのきれいな優しい歌声に遣られてしまったというか?・・・帰って、パソコンを開いて、YouTubeでこの歌を捜したが「ダンスは上手く踊れない」「八月の濡れた砂」のステージ動画はあるのだが、「死んだ男の残したものは」は、可愛らしい切り絵をバックに歌だけが流れていた。

 石川セリに魅せられてこの歌をきいていると、今度はこの詩に遣られてしまった。無常で無情の切ない詩から、後半一気に情が溢れ出すような、そして現実に転換してさらに力強く奮い立たせてくれる。そんな詩に感動した。

 この歌は、多くの歌手がカバーしている。何人かの歌を聞いてみたが、やはり女性では、石川セリが良い。母親が子供に歌っているような・・・聞いていると、何か包まれるような優しさを感じる。
 
男性では、フォークの大御所、小室等の歌が突き刺さった。朴訥と語り掛けるような説得力ある歌に、涙腺が緩んでしまう。是非、YouTubeを見て小室さんの歌を聞いてほしい。

「死んだ男の残したものは」という歌は、1965年、ベトナム戦争(1955年~1975年)の反対の意思表示として、谷川俊太郎さんが作詞をし、武満徹さんに作曲を依頼したという(ウイキペディアから)
 
 今、世界中がコロナウイルスに振り回され右往左往している。日本国内においては感染者13,000人を超え亡くなった方は351人、世界中では、感染者数は279万人を越え、亡くなった方は20万人に迫ろうとしている。人間同士の殺し合いはしていないが、コロナウイルスとの戦争に入っている。世界中が見えない敵と戦っている。こんな時代(とき)に出会った歌が55年前の反戦歌だった。

  令和2年4月28日        笹原 真二


コメント
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