桜宮高校事件から(信頼関係のない体罰は暴力にしかならない)
昨年の12月23日、大阪市の桜宮高校のバスケット部の主将が顧問からの体罰を苦にして自殺した。そして21日、橋下大阪市長は桜宮高校体育科の入試を中止すると発表。「体育科を志望していた受験生のことを考えると入試中止には反対」という意見等様々な波紋を呼んでいる。
昨日、あるTV番組に出演した橋下市長は、「今、桜宮高校は新入生を受け入れる状態にない。だから入試を中止した」と発言。さらに「人一人が亡くなっているのに、早く練習を再開したいとか、試合に出たいとか。教員、保護者、在校生、OB、学校関係者が問題を認識していない。最悪なのは何も考えずに混乱回避のためだけにとりあえず入試をやろうという判断・態度。入試を中止することで解決しないが、しかし今の状況では中止せざるを得ない。今も僕のところには様々な情報が上がってきている」という。
体罰容認派の私が今回の事件で思ったことは、「主将が弱かった?」「顧問と選手の間に信頼関係がなかった」「信頼関係のない体罰はやっちゃいけない」「それを見分ける感性が顧問に欠けていた?」等、自分なりの思いと共に大学時代のことが思い出された。陸上競技部の青葉監督から20発くらい殴られたことがあった。練習に身が入らず外出することが多くそんな状況に怒っての鉄拳制裁だった。他にも鉄拳制裁を受けた者がいたが、ある時、決して器用でない青葉監督の殴ったあとの寂しげな表情を見たことがあった。35年を過ぎた今でもあの時の表情は思い出される。今となれば全てが貴重な体験だった。だからという訳ではないが、今回の事件に乗じた安易な体罰反対論にも異を唱えたくなる。
悲しいかな今回の桜宮高校では体罰が常態化していたという。それは今も昔も変わっていないのかも知れない。しかし、生徒は変わってきている。信頼関係ができているかどうかは、指導者が常に感じとっておかなければならない必須の事項だ。「信頼関係のない体罰」は暴力にしかならない。
スポーツには理不尽な面も多々ある。強い人、実績のある人が正しい。正しくなくても正論になる。世の中にも同じようなことはいっぱいある。それは決して正しい事ではないが、それを経験することは決して悪いことではない。
橋本市長を深く考え込ませたのは、桜宮高校で実施した生徒、保護者へのアンケート。「早く試合をしたい」「顧問の指導を受けたい」という回答が多かったとことだという。「仲間が命を落としたのに異常な世界だ。この雰囲気が怖い。親が意識改革をしないといけない」とツイッターで語っている。こんな状況だからこそ入試を中止するという方向性を示したのだ。
決してスポーツの世界ばかりではない。経済の世界でも、日常の中にも、同じような過ちをおかしきれない根っこが潜んでいる。だからこそ我々は日々、感性を大切に生きていかなければならない。 2013年1月28日 笹原 真二
昨年の12月23日、大阪市の桜宮高校のバスケット部の主将が顧問からの体罰を苦にして自殺した。そして21日、橋下大阪市長は桜宮高校体育科の入試を中止すると発表。「体育科を志望していた受験生のことを考えると入試中止には反対」という意見等様々な波紋を呼んでいる。
昨日、あるTV番組に出演した橋下市長は、「今、桜宮高校は新入生を受け入れる状態にない。だから入試を中止した」と発言。さらに「人一人が亡くなっているのに、早く練習を再開したいとか、試合に出たいとか。教員、保護者、在校生、OB、学校関係者が問題を認識していない。最悪なのは何も考えずに混乱回避のためだけにとりあえず入試をやろうという判断・態度。入試を中止することで解決しないが、しかし今の状況では中止せざるを得ない。今も僕のところには様々な情報が上がってきている」という。
体罰容認派の私が今回の事件で思ったことは、「主将が弱かった?」「顧問と選手の間に信頼関係がなかった」「信頼関係のない体罰はやっちゃいけない」「それを見分ける感性が顧問に欠けていた?」等、自分なりの思いと共に大学時代のことが思い出された。陸上競技部の青葉監督から20発くらい殴られたことがあった。練習に身が入らず外出することが多くそんな状況に怒っての鉄拳制裁だった。他にも鉄拳制裁を受けた者がいたが、ある時、決して器用でない青葉監督の殴ったあとの寂しげな表情を見たことがあった。35年を過ぎた今でもあの時の表情は思い出される。今となれば全てが貴重な体験だった。だからという訳ではないが、今回の事件に乗じた安易な体罰反対論にも異を唱えたくなる。
悲しいかな今回の桜宮高校では体罰が常態化していたという。それは今も昔も変わっていないのかも知れない。しかし、生徒は変わってきている。信頼関係ができているかどうかは、指導者が常に感じとっておかなければならない必須の事項だ。「信頼関係のない体罰」は暴力にしかならない。
スポーツには理不尽な面も多々ある。強い人、実績のある人が正しい。正しくなくても正論になる。世の中にも同じようなことはいっぱいある。それは決して正しい事ではないが、それを経験することは決して悪いことではない。
橋本市長を深く考え込ませたのは、桜宮高校で実施した生徒、保護者へのアンケート。「早く試合をしたい」「顧問の指導を受けたい」という回答が多かったとことだという。「仲間が命を落としたのに異常な世界だ。この雰囲気が怖い。親が意識改革をしないといけない」とツイッターで語っている。こんな状況だからこそ入試を中止するという方向性を示したのだ。
決してスポーツの世界ばかりではない。経済の世界でも、日常の中にも、同じような過ちをおかしきれない根っこが潜んでいる。だからこそ我々は日々、感性を大切に生きていかなければならない。 2013年1月28日 笹原 真二