甍の上で

株式会社創瓦 社長 笹原真二のブログです。

幾ばくか 朝の寒さも やわらいで 新芽の川辺 もうすぐ春に

2023-02-28 22:19:53 | Weblog
  
運命の決断

 26日、日曜日午後9時から、NHKスペシャル「ウクライナ大統領府緊迫の72時間」というゼレンスキー大統領の側近たちが、緊迫の舞台裏を語るドキュメント番組を見ることが出来た。
 
昨年、2月24日、未明、ロシアから100発のミサイルが、ウクライナ各地に撃ち込まれ、地上からは19万とも言われるロシア軍部隊がウクライナへ侵攻を始めた。
侵攻二日前、ベラルーシ国防相が、北側ベラルーシからの攻撃はないとウクライナ国防相に語っていたにも関わらず、ロシア軍はベラルーシからも侵攻、キーウは72時間で陥落するとみられていた。

 2014年、ロシアは、浮く以来なの領土であるクリミア半島に軍事侵攻、一方的に併合した。ウクライナはアメリカやヨーロッパの国々に軍事支援を求めたが、返事は「不可能」ではどうすれば?「塹壕でも掘れ」欧米は「武器供与はロシアを刺激し、侵攻を招く」と。

 今回の軍事侵攻が始まってもその姿勢は、変わらなかったという。「欧米は3日か4日で、私達はいなくなると考えていた。」「ウクライナは、おそらく立ち上がれなくなり、独立を守り切れないだろうと。」「同情します。取りあえず見守ります。」

 すでに私達が、攻撃を受けている時点でも、ウクライナに対する欧米の態度が大きく変わることはなかった。」「ロシアが怖いので、ウクライナを諦めたと。」言っているのに等しかった。

 侵攻から24時間、ロシアの戦車がキーウに入ってきた。ゼレンスキー大統領の命も狙われた。暗殺の危機を察知したのは侵攻2日前の事。24日、侵攻が開始すると、キーウに潜伏していた工作員が一斉に蜂起した。身近にいる人の誰が工作員か分からない。大統領暗殺計画は分っているだけでも13回。

 軍事侵攻から32時間後、ベラルーシ国防相から、ロシア国防相からの伝言だとして、「抵抗しても誰の利益にもならない。ウクライナが降伏文書に署名すればロシアの侵攻を止めることが出来る。」と。

 ロシア大統領府からは降伏を促す電話「必要なことが一つある。それは降伏することだ。」ウクライナの大統領府長官は丁重に断ったという。さらにはプーチンが揺さぶりを掛ける。「ゼレンスキー政権が抵抗しているから、市民に犠牲が出ている。」ウクライナ軍にクーデターを起こせと呼びかけてきた。

 欧米各国は、ゼレンスキー大統領は、キーウから脱出すべきだと提案してきた。「ここにヘリコプターがあります。」と30分おきに、「街は包囲されているすぐに脱出すべきだ。」と。亡命政府を準備していた。

 ロシアに国を乗っ取られたら私達は、西のリビウか、ポーランドに行き「侵略に反対、避難する。」ということになるはずでした。
いろんな人がここに来て「諦めよう。その方がいい。」と言ってきました。本質は同じで「諦めろ。」でした。

 大統領顧問も脱出を提案した一人でした。大統領に降伏するのではない。司令部を異動するだけだと伝えました。このままでは死んでしまうか、別の場所から防衛の指揮を続けるかのどちらかでした。

 「抵抗を止め、ロシアの支配を受け入れるか、それとも市民の犠牲を伴う抵抗の道を選ぶか」

 ゼレンスキー大統領は、地下壕に避難していた政権幹部全員(約100人)を集め。「20~30人残す。そうすれば60~70日は食料が持つ。ここに長く籠城できる・・・最悪なのはインターネット回線が切れ、ロシアに捕まったか誰も分らなくなることです。国民にメッセージを伝え続けること出来るよう衛星回線を手配してほしい。」と頼んだのです。みんな泣いていました。「またね」と言って、気がつくとハグをしあっていました。

 ゼレンスキー大統領は側近たちにも、ここに残るかどうか、自分で決断してほしいと迫った。与党幹部の一人は、「正直、時間がほしい、自分だけでは決められない。」と。妻に電話して「こんな状況だけどここを離れるつもりはない。」と。

 大統領府顧問の一人は「私はプロの軍人なので、もう終わりだと思っていました。我々は勝てない」と。息子にあてたメッセージ「お母さんを助けてあげて。あなたを一人で育てることになりそうだから、男の子として、お母さんを守るんだよ。勝利したら帰るからね。愛している元気でね。さようなら。」

 侵攻開始から37時間余り、ゼレンスキー大統領は、4人の側近と共に地下壕を出ました。「自分たちは逃げない。ロシアに屈しないという決意を世界に示すために。機銃掃射の煙が空に見えていました。警護の担当者は慌てましたが、それでも彼らは出て行き撮影をしたのです。大統領府前の広場で。

 「皆さん、こんばんは。与党幹部、大統領府長官、首相、大統領府顧問、大統領もここにいます。私達はここにいます。私達の軍隊もここにいます。市民もここにいます。みんな、我が国の独立を守っています。これからもずっとそうあり続けます。ウクライナを守る人たちに栄光あれ。ウクライナに栄光あれ!」

 ウクライナに取って大きな転換となったこの決断。

 国際社会の、向き合い方も問われていくことになります。

 侵攻開始から3日目、降伏に応じないウクライナに対し、ロシアは力でねじ伏せるかのように攻撃を激化していった。しかし、ウクライナ市民の激しい抵抗
は、ロシアに取って想定外の事だった。歓迎されるとすら思っていたロシア兵は戸惑う。

 「ロシアは、私達の社会を理解していません。私達は民主的な社会を持っています。彼らはウクライナをロシアの一部だと思い込んでいるのです。私達が何故戦っているのか、何のために戦っているのかを分っていないのです。自分たちの国を守ろうとみんなが立ち上がったのです。」

 「武器をもっと人たちから、キュウリやトマトの瓶詰めを持ったおばあちゃんまで。侵攻当初、こうした多くの人たちがいなければウクライナは決して立ちゆかなかったでしょう。職業や立場に関係なく、自ら行動する人々が現れたことでウクライナは抵抗できるというわずかな希望が確信に変わりました。」

 私たちが、勝つためには、世界を納得させなければなりません。私達は身を守り、勝つために全力を尽くすことが出来る。それを世界に示せたとき、私達は武器の支援を受け始めたのです。

 侵攻開始から3日目、欧米各国は、ウクライナへの軍事支援を発表しはじめました。

 軍事侵攻から72時間。ロシアに屈しなかったウクライナ。しかし、それは、長く厳しい闘いの始まりでもありました。

  NHKスペシャル「ウクライナ大統領府緊迫の72時間」から

 改めてこの戦争、ウクライナが負けるというようなことがあってはならない。「市民の犠牲を伴う徹底抗戦という決断」をしたゼレンスキー政権には大義がある。もしウクライナがロシアに負けるようなことになれば、その大義がなくなる。ウクライナが勝って戦争が終わり、改めてこの戦争の総括がきちんとされなければならない。と思うのは当然のことだが・・・

 「私達が、勝つためには、世界を納得させなければなりません・・・」この言葉の重みをしっかりと受け止めなければならない。

       令和5年2月28日       笹原 真二
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