後藤さんの思い出
今月の20～21日と、奈良瓦センターの飛鳥会の総会が仙台で開かれた。それに合わせて、前日の19日、岩手県北上市まで足を伸ばした。大東文化大学陸上競技部の2年先輩、後藤さん（57歳で永眠）のお墓参りに、1年先輩の埼玉県の石川さんと一緒に行ってきた。
1月31日、後藤さんへ電話をすると、奥さんが「主人は20日、夜勤で倒れて、そのまま亡くなりました」二の句が継げなかった。「そうですか。お気の毒です・・・今年も、東北に行くことがありますので、その時は線香を上げさせてください」というのがやっとだった。
後藤さんは陸上競技部の合宿所（入寮者は当時37名）の部屋長で、同部屋には石川さんと私の3人。部屋は江戸間の6畳で、おもちゃのような箪笥とファンシ－ケースが。3人分の布団を敷けばいっぱいで、冬になれば部屋の中でも湯沸かしポットの水が凍った。
口数はあまり多くないが、桜田淳子の大ファンだった。アルコール好きで、練習後時々、酒屋で札幌ジャイアントという大きなビール瓶を抱えては、細い眼をさらに細くして、おいしそうに飲んでいた。「お前も飲め」とお裾分け。下戸の私にはありがた迷惑。さらにある時は、缶ビールを買ってきて、「これを飲まんと寝させんぞ」と２本、一気に700mlを飲んで寝る。しかし夜中に目が覚め全部おう吐。それがいまだに多量飲酒の生涯記録となっている。
19日、午後3時32分、北上駅に到着。後藤さんの奥さんが迎えにきてくださった。その足でお墓へ行く。「お父さん、石川さんと笹原さんが来てくださったよ・・・」手を合わせていると、奥さんが「今日が、月命日なんですよ。20日ということになっているけど、本当は19日の深夜だったんです・・・」そこへ社会人の長男史門君と、大学4年生の次男吉宏君もお参りにきた。
そして家では、先日、電話口に出てくれた小学校6年生の三男俊介君が留守番をしていた。彼が一番、後藤さんの面影を残していた。
仏壇に線香を上げた後、お茶をいただく。家は掃除が行きとどき、新築して間もないような家。「きれいな家ですね。いつ新築されたんですか？」「5～6年前です。お父さん、休みの日なんか掃除ばっかりしてました」「後藤さんらしい。きれい好きだったもんな・・・僕が掃除したあと、お前、これでも掃除したのかと怒られたこともありましたよ・・・」「雪かきも、4時間、5時間、何も言わずに、もくもくとやっていました。だからうちの前だけ雪が無いんです・・・」「うちのお父さん、桜田淳子のファンだったんですか？・・・松島奈々子とか、酒井紀子が好きだったみたいです。でも、ノリピーも悪いことしたら、もうダメだな。なんて言ってました」すべての話が後藤さんらしかった。
家族全員で歓待の夕食は市内のお店でご馳走になった。後藤さんの思い出話に花を咲かせることが出来た。「これを飲まんと寝させんぞ」と言われた時の話をすると、奥さんと、史門君が同時に「生前中は、大変ご迷惑をおかけしました。故人に成り替わりまして、お詫び申し上げます」「はい、大変迷惑を被りました。しかし、あの時のお陰で、多量飲酒の生涯記録を作ることが出来ました」そんなたわいもない話を出来た事が嬉しかった。
卒業以来、何度か電話で話はしたが、やはり、元気だったころの後藤さんに会いたかった。2年前、震災の年の4月、被災地を巡った東北の旅、北上に来た時、時間に余裕が無かったことも確かにあったのだが、それでも会いに行かなかったことが悔やまれる。
平成25年10月28日 笹原 真二
追伸
13日の夕方、「後藤さんのお墓参りに、行きませんか？」と、石川さんに誘いの電話をした。「分かった。俺も行くよ」と一言。
19日は箱根駅伝の予選会だった。会場の立川昭和記念公園で石川さんと待ち合わせ、会場のモニターを見ながら応援。その応援も途中で切り上げて北上へ向かった。道中、石川さんの携帯電話に、予選会を通過して箱根駅伝出場権獲得の一報が届いた。
今月の20～21日と、奈良瓦センターの飛鳥会の総会が仙台で開かれた。それに合わせて、前日の19日、岩手県北上市まで足を伸ばした。大東文化大学陸上競技部の2年先輩、後藤さん（57歳で永眠）のお墓参りに、1年先輩の埼玉県の石川さんと一緒に行ってきた。
1月31日、後藤さんへ電話をすると、奥さんが「主人は20日、夜勤で倒れて、そのまま亡くなりました」二の句が継げなかった。「そうですか。お気の毒です・・・今年も、東北に行くことがありますので、その時は線香を上げさせてください」というのがやっとだった。
後藤さんは陸上競技部の合宿所（入寮者は当時37名）の部屋長で、同部屋には石川さんと私の3人。部屋は江戸間の6畳で、おもちゃのような箪笥とファンシ－ケースが。3人分の布団を敷けばいっぱいで、冬になれば部屋の中でも湯沸かしポットの水が凍った。
口数はあまり多くないが、桜田淳子の大ファンだった。アルコール好きで、練習後時々、酒屋で札幌ジャイアントという大きなビール瓶を抱えては、細い眼をさらに細くして、おいしそうに飲んでいた。「お前も飲め」とお裾分け。下戸の私にはありがた迷惑。さらにある時は、缶ビールを買ってきて、「これを飲まんと寝させんぞ」と２本、一気に700mlを飲んで寝る。しかし夜中に目が覚め全部おう吐。それがいまだに多量飲酒の生涯記録となっている。
19日、午後3時32分、北上駅に到着。後藤さんの奥さんが迎えにきてくださった。その足でお墓へ行く。「お父さん、石川さんと笹原さんが来てくださったよ・・・」手を合わせていると、奥さんが「今日が、月命日なんですよ。20日ということになっているけど、本当は19日の深夜だったんです・・・」そこへ社会人の長男史門君と、大学4年生の次男吉宏君もお参りにきた。
そして家では、先日、電話口に出てくれた小学校6年生の三男俊介君が留守番をしていた。彼が一番、後藤さんの面影を残していた。
仏壇に線香を上げた後、お茶をいただく。家は掃除が行きとどき、新築して間もないような家。「きれいな家ですね。いつ新築されたんですか？」「5～6年前です。お父さん、休みの日なんか掃除ばっかりしてました」「後藤さんらしい。きれい好きだったもんな・・・僕が掃除したあと、お前、これでも掃除したのかと怒られたこともありましたよ・・・」「雪かきも、4時間、5時間、何も言わずに、もくもくとやっていました。だからうちの前だけ雪が無いんです・・・」「うちのお父さん、桜田淳子のファンだったんですか？・・・松島奈々子とか、酒井紀子が好きだったみたいです。でも、ノリピーも悪いことしたら、もうダメだな。なんて言ってました」すべての話が後藤さんらしかった。
家族全員で歓待の夕食は市内のお店でご馳走になった。後藤さんの思い出話に花を咲かせることが出来た。「これを飲まんと寝させんぞ」と言われた時の話をすると、奥さんと、史門君が同時に「生前中は、大変ご迷惑をおかけしました。故人に成り替わりまして、お詫び申し上げます」「はい、大変迷惑を被りました。しかし、あの時のお陰で、多量飲酒の生涯記録を作ることが出来ました」そんなたわいもない話を出来た事が嬉しかった。
卒業以来、何度か電話で話はしたが、やはり、元気だったころの後藤さんに会いたかった。2年前、震災の年の4月、被災地を巡った東北の旅、北上に来た時、時間に余裕が無かったことも確かにあったのだが、それでも会いに行かなかったことが悔やまれる。
平成25年10月28日 笹原 真二
追伸
13日の夕方、「後藤さんのお墓参りに、行きませんか？」と、石川さんに誘いの電話をした。「分かった。俺も行くよ」と一言。
19日は箱根駅伝の予選会だった。会場の立川昭和記念公園で石川さんと待ち合わせ、会場のモニターを見ながら応援。その応援も途中で切り上げて北上へ向かった。道中、石川さんの携帯電話に、予選会を通過して箱根駅伝出場権獲得の一報が届いた。
