なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

骨髄異形成症候群

2024年01月11日 | 血液疾患

 1月10日の外来に、血液内科のある病院から骨髄異形成症候群の92歳女性が紹介されてきた。

 

 隣町の内科医院に高血圧症・心不全で通院している。昨年(2023年)に8月に、汎血球減少症があり、先方の病院に紹介された。(白血球2400・Hb5.5・血小板9.5万)

 骨髄検査で典型的な異形成は認めなかったが、除外診断的に骨髄異形成症候群(MDS)とされた。紹介前の12月28日にも骨髄検査を再施行していた。芽球の増加はない、ということだった。

 本格的な治療の対象にならなかった。対症療法として輸血(濃厚赤血球2単位)をしていたが、月に1回から月2回に増えていた。

 高齢で通院も大変なので、近くの病院で輸血をしてくれる病院を当たっているという照会があった。もっと近い病院もあるが、引き受けるのはこの地域では当院くらいしかない。

 外来の看護師長さんに相談した。看護師不足で、特に午前中は外来患者の採血や点滴、発熱外来・救急外来の対応で忙しい。昼近くに来てもらってならば、外来で輸血することはできるという。当院で引き受けることにした。

 

 1月5日に輸血をしていたので、受診時はHb9.0g/dlで十分な値だった。どのくらいの間隔になるかわからないが、2週間後に再検とした。

 車椅子で診察室に入ってきたが、年齢を考慮すれば元気だった。指示の通りにHb7.0g/dlを目標に輸血をしていくことになる。当院では診断が正しいかもわからないが、何かいい治療はないのだろうか。

 

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インフルエンザでした

2024年01月10日 | インフルエンザ

 1月9日(火)の午前中は救急外来(発熱外来を兼ねる)の当番だった。回転性めまいがあると、56歳男性が救急搬入された。

 市内の会社で(立位で)会議をしていた。途中でめまいがして、立っていられなくなって倒れた。冷汗もあったというが、搬入時は血圧が165/99mmHgとむしろ高かった。体温36.1℃。

 救急隊から1月6日から咳が出ていたそうです、と報告があった。コロナ・インフルエンザの鑑別で咳・鼻・のどの症状と発熱の有無を訊いている。発熱はなかった。

 搬入時は意識清明で、開眼して普通に会話ができる。めまいはと訊くと、軽くなりましたという。感冒症状があるので、コロナとインフルンザの迅速検査を提出すると(救急室で施行)、思いがけなインフルエンザA型陽性だった。

 本当に回転性めまいだったのだろうか。改めて訊いてみると、回転性めまいではなかった。冷汗もあったので、意識消失はないがpre-syncopeだったのかもしれない。(自覚的にはふらついたとだけ表現)

 救急隊はめまいと聞くと、回転性ですかと訊いて来るので、そうだと答えてしまったようだ。救急隊は頭痛はなく、耳鳴・難聴はありません、とBPPVを想定したような報告だった。

 朝からそれほど体調不良は自覚していなかったが、インフルエンザに罹患していたいところに、立っての会議が長引いて症状が出たのかもしれない。

 心電図は正常洞調律だった。血液検査ではCRPが0.9と若干の上昇を呈したので、インフルエンザの影響はあるのだろう。(胸部X線で肺炎はない)

 処置室でしばらく休んでもらうことにして、ペラミビル(ラピアクタ)点滴静注した。午後に家族(妻、息子)が迎えにした時には、起き上がっても何ともないので、息子の運転する車で帰宅とした。

 

 8年前に脳梗塞で医療センターに入院した既往があった。症状は記憶の障害だったそうだ。そうなると、一過性全健忘と思われるが、ワーファリンが処方されて現在も3か月に1回通院している。

 心房細動でも深部静脈血栓症(奇異性脳塞栓症)でもなさそうだが、抗凝固薬(それもDOACではなくワーファリン)が処方されているのはどういう治療なのだろうか。

 一過性全健忘はまず脳梗塞にはならないらしいが、予防するとしても抗血小板薬だと思う。そもそも病態が違うのだろうか。なにしろ医療センターなので、意味があるはずだが。

 

 

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婦人科救急

2024年01月09日 | 産婦人科疾患

 1月3日の当直の時に、午前0時過ぎに下腹部痛の33歳女性が救急外来を受診した。バイタルは問題なく、発熱はない。

 午後10時ごろに突然下腹部痛が出現して、持続していた。身体を前に曲げてうずくまった格好で受診した。歩行すると同部に響く。

 12月1日に最終生理があり、間隔は規則的だった。そろそろ生理の時期だがまだ来ていないという。下腹部正中からやや左側に圧痛があるが、腹部自体は平坦・軟だった。

 腹部エコーで見ると、膀胱近傍にエコーフリースペースがある(ように見える)。尿の妊娠反応は陰性だった。

 腹部CTを行うと、右卵巣が40×45mmくらいに腫大して、内部に円形の低濃度域(20×23mm)がある。卵巣と子宮の境界がはっきりしない。子宮の周囲に液体があるようにも見える。矢状断・冠状断でみると婦人科臓器が一塊になっている?。

 時間外のMRIは頭部に限っているが、例外的に頼み込めば婦人科領域も撮像できなくはない。ただ当方は読影できる自信はない。婦人科救急は、子宮外妊娠(異所性妊娠)以外だと、卵巣出血と卵巣嚢腫茎捻転になる。

 とりあえずこれだけの情報で、産婦人科医もいる地域の基幹病院に連絡して相談することにした。病名は仮に卵巣出血疑いとしたが、CT所見を述べてよくわからないことも伝えた。ちょっと待ってくださいということで、数分待っていると(婦人科に連絡?)、受け入れてもらえた。

 夫が連れてきたが、いったん自宅に戻っていた。子供は寝かせてきたという(両親も同居しているので、頼める)。救急搬送は患者さんだけにして、夫は直接先方の病院に向かってもらうことにした。

 これは何だろうか。

 

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6日目のインフルエンザ

2024年01月08日 | インフルエンザ

 12月31日の午後7時に50歳男性が救急外来(発熱外来)を受診した。12月30日から発熱があったらしい。午後6時に39.0℃の発熱があり、頭痛・咽頭痛・倦怠感・関節痛もあった。

 インフルエンザとコロナの迅速試験は陰性だった。家族や周囲に両疾患に罹患した人はいない。症状は感冒症状(インフルエンザ疑い)なので、アセトアミノフェンで経過をみるところだった。

 患者さんが肺炎が心配なので、検査してほしいと希望した。当直は皮膚科医だった。血液検査と胸部CTを行った。白血球4000・CRP0.8とウイルス感染らしい結果だった。

 胸部CTでは、左肺下葉背側の胸膜下に淡いすりガラス陰影がありそうと、撮影した放射線技師さんが指摘した(皮膚科医は謙虚なので、教えて欲しいと依頼する)。

 その日の日直だった内科医(その日の内科当番)に電話で相談すると、抗菌薬内服を処方するよういわれた。レボフロキサシン500mgを2日分処方した。

 1月1日の午前中にもう1回迅速検査をすることにしていた。やはりコロナとインフルエンザは陰性だった。その日当方が日直で出ていたので、相談された。とりあえず、休み明けまで抗菌薬を継続して、1月4日に内科外来を受診してもらうことにした。

 

 1月3日は当直をして、4日は午前中救急当番(発熱外来も兼ねる)だった。発熱外来は時間を決めて、まとめて一定数の受診者の検査をする。発熱外来担当の看護師さんから受付が終わると、迅速検査をまとめて入力するので、この患者さんの検査も入れていた。

 後で、レボフロキサシンが処方されていた31日から受診していた患者さんと気づいた。ところが、その日の迅速検査でインフルエンザA型陽性と出た。発症が12月30日なので6日目になる。

 欧米ではインフルエンザに罹患してもすぐには受診しないそうだ。症状が続くと発症5日くらいで受診するので、迅速検査(抗原検査)が陽性にならない。それで迅速検査は推奨されていないということだ。

 日本では発症当日か翌日の受診なので、迅速検査が陽性になりやすく、検査として信頼されている。発症6日目だと、肺炎併発で入院なる時くらいしか検査はしない。発症6日目でも陽性になるものだと思ったしだい。

 その日今更だが(48時間はとっくに過ぎている)、抗インフルエンザ薬としてペラミビル(ラピアクタ)を投与した。(点滴と血液検査を提出していたので、そのまま点滴静注にした)

 その日もまだ発熱があり、すっきりしないという。胸部X線(正面・左側面)も行ったが、肺炎像は指摘できない。血液検査は白血球2900・CRP0.5とウイルス感染症らしい結果だった。

 食事摂取もできるし、入院は希望しないというので、今更投与の抗インフルエンザ薬の効果をみてもらうことにした。(入院になる場合は48時間過ぎても投与可能とされる)調子が悪い時は翌5日に受診するよう伝えたが(また3連休になるので)、来なかった。

 胸部CTの陰影も有意だとすれば、ウイルス(インフルエンザ)による陰影なのだろう。COVID-19肺炎は有名だが、インフルエンザでも胸部CTを撮りまくれば、一定数のウイルス性肺炎像(軽度の淡いすりガラス陰影)はあるのだろう。

 

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腋窩リンパ節腫脹

2024年01月07日 | 血液疾患

 アルコール性肝硬変・糖尿病で外来通院している86歳男性が、昨年12月29日に救急外来(発熱外来)を受診していた。

 非代償性肝硬変の悪化(腹水貯留・全身浮腫・肝性脳症)で7年前に入院したことがある。その後、禁酒して娘さん(二人暮らし)が生活と薬剤の管理をすることになり、病状は安定した。1か月に1回の外来通院を続けていた。

 

 12月27日から発熱があり、12月29日は上気道・呼吸器症状はないが、型通りにコロナとインフルエンザの迅速検査が行われた。結果は両者陰性。

 日直は腎臓内科医だった。カルテ画面に非代償性肝硬変なども簡単な病歴が付箋をつけているので、血液検査と画像検査を追加していた。

 血液検査では、白血球10600・CRP18.8と上昇していた。(ただし検査技師がいなくてできる簡易検査)

 胸腹部CT(単純)で肺炎はなかった。肝臓はわかりやすい肝硬変像。おそらく思いがけなかったと思うが、右腋窩リンパ節が複数腫脹していた。頸部・左腋窩・鼠径部のリンパ節腫脹はない。膵周囲のリンパ節も腫脹しているように見える。

 悪性リンパ腫疑いと判断していた。とりあえずのアセトアミノフェンと、念のためということで抗菌薬内服(ケフレックス)も処方していた。後は年末年始の休み明けに受診とした。

 

 1月4日に外来に来てもらったが、12月31日には解熱したという。食事摂取はまだ本調子ではないが、6割くらいに戻っているそうだ。案外元気だった。抗菌薬が効いたような経過だった。

 血液検査の再検と頸部~腹部(骨盤・鼠径部も)の造影CTを行った。右腋窩リンパ節は変わりなかった。膵周囲のリンパ節腫脹はあるようだが、それほどは目立たない。

 白血球6500・CRP6.3と炎症反応が軽減している。普通は悪性リンパ腫疑いだが、腹部の問題がないとすれば、右腋窩の化膿性リンパ節炎はあり得るのだろうか。

 肝硬変と皮脂欠乏性皮膚炎で体幹・四肢の掻痒感が強い。軟膏は2種類出しているが、それでも掻いてしまう。右上肢の皮膚化膿巣(診察時は瘢痕だけで、明らかな化膿はない)からのリンパ節腫脹の可能性も出てきた。

 入院するほどの病状でもなく、希望もしなかった。可溶性IL-2受容体抗体の外注検査を提出して、結果待ちとした。同じ抗菌薬を1週間追加した。

 

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間質性肺炎

2024年01月06日 | 呼吸器疾患

 1月4日に発熱外来を92歳女性が受診した。症状は数日前からの鼻汁・咽頭痛・咳・発熱で、それだけ見れば上気道炎だった。コロナとインフルエンザの迅速試験は陰性だった。年齢だけでも精査の多少になるが、この患者さんは間質性肺炎があった。

 

 2013年2月に長引く咳で胸部X線・CTを撮影すると、間質性変化を認めた。地域の基幹病院呼吸器内科の外来に紹介した。

 当時でも82歳なので、一度診て戻されるかもしれないと思いながらの紹介だった。(家族が予後についての説明を受けるだけでも紹介の甲斐はある)定期的な経過観察となり、3か月に1回通院継続となっていた。

 高血圧症当院にも3か月に1回通院していたが、2022年9月に高齢で通院も大変なので(実際は家族が連れて行くだけ)、あとは貴院で経過をみるようにということだった。送られてきたCD画像では、間質性変化は漸増して肺全体に及んでいた。年齢を考えると元気だった。

 

 1月4日の血液検査では白血球11300・CRP18.8と高値で、LDHが254と有意に上昇していた。胸部X線・CTで両側の網状影とすりガラス陰影を認めた。

 呼吸器外来に来ていた先生に、COVID-19の79歳男性に続いて相談した。間質性肺炎の増悪のようだが、細菌性肺炎の併発も否定できないということだった。

 

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COVID-19肺炎

2024年01月05日 | COVID-19

 12月29日にCOVID-19 と診断された79歳男性が1月4日に救急搬入された。

 高血圧症・糖尿病・認知症で市内のクリニックに通院している。12月29日は腎臓内科医が日直で出ていた。SARS-CoV-2の抗原検査で陽性だった。ラゲブリオ内服が処方された。

 その後1月2日と1月3日に食欲不振・低血糖で救急搬入された。処方はDPP4阻害薬(エクア)+メトホルミン500mg/日+SGLT2阻害薬(ジャディアンス)だった。外来で点滴をして、SGLT2阻害薬を休止するよういわれていた。

 1月4日は発熱が続き、食欲不振・体動困難での救急要請だった。救急当番の外科医(大学病院から)が血液検査と画像検査(CT)を施行していた。

 胸部X線・CTで右肺野にすりガラス陰性が散在していた。発症7日目になる。

 その日は呼吸器外来(大学病院から呼吸器内科・感染症内科に専門医)が来ていた。相談するとウイルス性肺炎にようだといわれた。デキサメサゾンと念のための抗菌薬(セフトリアキソン)で治療することになった。

 この程度なら入院治療自体は問題ない。認知症で自宅でも暴れるという点が一番の問題だった。体幹抑制はするとして、点滴を抜かれない工夫も必要だった。

 

 発熱外来ではほとんどがインフルエンザだが、COVID-19 がちょっとずつ増えてきた。

 

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膿胸

2024年01月04日 | 呼吸器疾患

 1月1日の日直の時に、76歳男性が救急搬入された。脱力で救急要請があり、体温が37.6℃あるということだった。感染症による脱力と思われたが、ちょっと経過が違った。

 高血圧症で市内のクリニックに通院している。一人暮らしだった。11月末から食欲が低下して10kgの体重減少があった。どこがが痛いということはなく、本人としては食欲不振としか認識していなかった。発熱には気づいてしない。

 その日息子が訪問して、動けないというほどではないが、やせてふらふらしていたので救急要請していた。通院しているクリニックを12月に受診しているが、話はしていなかったようだ。

 1か月以上前からの食欲不振だと、悪性疾患になるが、発熱がある。何だろうと思ったが、診断はすぐに付いた。胸部X線で左肺に膿胸があり、相当な大きさを呈している。胸部CTで確認した。

 これは胸腔ドレナージをしないと難しいだろう。地域の基幹病院に連絡すると、受けてもらえた。年末の連絡(病院宛のFAX)では病棟逼迫が解除されたというお知らせが来ていたのを思い出した。受け入れがダメだったら、呼吸器センターのある遠方の病院に当たるつもりだったので、助かった。

 確かに1か月以上の食欲不振で発熱があるとなると、膿瘍が当たはまるのだった。

 

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上腕骨大結節骨折

2024年01月03日 | 整形外科疾患

 1月1日は日直だったが、当地域の外科当番医になっていた。当院は常勤外科医は不在だが、時々(というか結構な頻度で)外科当番医にまだ入っている。

 大学病院外科からバイトで来てもらっている時はいいが、常勤医の場合は内科系の医師が診ることになる。簡単なケガならいいが、中等症以上は無理だった。骨折は整形外科が再開したので、入院させておけば(大抵は)休み明けに診てもらえる。

 午後になって、神社にお参りに行って、その帰りに転倒して右肩を打撲した58歳女性が受診した。打撲後から右肩が痛くて上肢を上げられなくなっていた。

 右肩関節のX線を撮ると、上腕骨の大結節に骨折があるようだ。CTの骨条件で確認した。

 その日は整形外科医が当直だったので、外来でそれまで約2時間待ってもらうことにした。カロナール500mgを内服して、外来処置室で休んでもらった。

 整形外科医に、こんなところが骨折するんだ、といわれた。確かに上腕骨は骨頭骨折や骨幹部骨折は多いが、この部位は少ないのかもしれない。

 

 放射線技師さんがけっこう読めるので、専門外のことについては訊くことが多い。12月31日の当直は皮膚科医だったが、発熱で受診した患者さんの胸部CTで、下肺野背側の淡い陰影を放射線技師さんに指摘してもらって、抗菌薬を処方していた。

 

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低酸素血症

2024年01月02日 | 呼吸器疾患

 1月1日(月)は病院の日直で出ていた。救急外来に出ていた看護師長さんから、12月30日の日直の時にあった低酸素血症から一時的に心肺停止になった患者さんの話が出た。

 前日29日の当直は新任の小児科医だった(それなりに年配)。救急隊からの搬入依頼が午前8時ごろに2件入ったらしい。搬入は午前8時半過ぎになり、その日の日直の担当になる。2件ともに受けたことをそのまま申し送った。日直は消化器科医だった。

 そのうち隣町の救急隊が搬入した67歳女性は、酸素吸入10L/分でも酸素飽和度が90%満たなかった。コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。

 点滴と血液検査を提出して、胸腹部CTを撮影した。両側肺に肺炎らしい陰影はあるが、著しい低酸素血症は説明できなかった。人工呼吸器管理を要するので、当院では手に負えないとして、地域の基幹病院に搬送する手配をした。

 ところが搬送前に、呼吸が弱くなり、徐脈になった。意識が消失して、一時的に心肺停止となったため、気管挿管をして用手的に人工呼吸を開始してアドレナリンを投与した。心拍と自発呼吸は戻ったが、意識は戻らなかった。

 用手的人工呼吸をしながら、救急車同乗での搬送となった。その日当直の内科医が病院に入院患者を診に来ていたので、もう1台の救急搬入の方を診てくれていた。普通の急性肺炎として入院になった。

 著しい低酸素血症の原因は何だったのだろうか。肺にそれほどの所見がなくて低酸素だと、肺血栓塞栓症になるが。

 

 

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